2011年11月19日土曜日

領土線を巡る東アジアの思惑

 最近めっきり国際政治関係の話が出来なくなってきているので、中国現地紙の情報と併せて東アジア地域における領土線関係の話をちょっとまとめておこうかと思います。

 現在、東アジアにおける領土紛争、問題、議論の主役とくれば中国をおいてほかはないでしょう。対日本においては尖閣諸島、並びに沖縄との中間線地域で冷戦時代だったら真面目に砲弾撃たれてもおかしくなく軍艦による越境行為などをこのところ繰り返しておりますが、それ以上に世界の関心を集めているのは南沙諸島をめぐるベトナムとの対立悪化です。この辺は米軍もフィリピン地域の防衛線が含まれることからかなりピリピリした目で見ており、本人こと中国もそうした地域であることはある程度は自認しているものの、非常に積極的な動きに出ております。

 なお南沙諸島問題に関する中国現地の報道ですが、基本的には尖閣諸島同様に中国の領土であることを前提にしてはいるものの、変な意味で弱気な報じ方がされています。特に目につくのは日本の首相動向に対する報道で、野田首相が就任当初にアセアン諸国を歴訪した際には、「日本とベトナムが南沙諸島問題に対して共同歩調を取る恐れがある」などと、はっきり言って日系メディア以上に細かく大きく報じていました。また外務省がこの関係で何らかの発言をするたびに反応を示しており、露骨と言えば露骨ですが、中国側は日本とアセアン諸国がこの問題でタッグを組むことを明らかに恐れているでしょう。

 では日本は尖閣諸島問題でも中国にプレッシャーをかけるためにアセアン諸国と仲良くすればいいのかですが、少なくとも現在の外務省や政治家はそこまで舵を切る素振りは見せていません。理由ははっきりと見定めておりませんが、恐らく東南アジア重視に舵を切ることで中国との関係悪化、ならびに米国の安全保障にいろいろ絡んでくることから現状維持を取っているのだと思いますが、それでも今回のTPP交渉参加によって以前よりはずっとコミットを強めることができました。
 今回のTPP関連の議論は経済関係ばかりが取りざたされておりますが、私はこの交渉参加を巡る真の論点は安全保障だと考えています。無論経済的な話も重要であることは間違いないですが、日本+アセアン諸国+米国の間で通商関係を強化することでこの東アジアにおける安全保障を強化するというのも目的に入っているでしょう。そのため仮に日本が素っ気ない態度を取った場合、米国は南沙諸島に対しては強く保障するものの、尖閣諸島に対しては急に素知らぬ振りを取ってくるかも、という仮説も立てられます。あくまで仮説ですが。

 このような観点からみてみると、先日の野田首相の発言はなかなかのクセ球だったというように解釈できます。その発言というのは「中国もTPP交渉に参加してはどうか」という中国側を誘った発言ですが、あくまで私の解釈ですが仮に中国側が交渉に参加してきたら日本やアセアン諸国が会議で数に物を言わせて領土関係(やるとしたら漁業権)について厳しい取決め作り、中国の一連の行動を制限するようなルールを押し付けれる可能性があります。中国側もそれがわかっているのか、野田首相のこの発言についてはなんかはっきりしない評価の記事を載せていました。

 ただ中国とともに忘れてはならないのは米国の存在です。米国側としてはこの方面での安全保障をする対価として自国に有利な通称取決めをTPPで要求してくることが考えられるわけですが、そういう意味ではアセアン諸国としては是非日本にも交渉に参加してもらって、米国に対するプレッシャー役を期待しているんじゃないでしょうか。これもあくまで私の想像ですが。
 二国間交渉と比べてTPPは多国間交渉のため、やりようによっては小が大に勝つことができます。ただし無傷の勝利ともなるとなかなか難しいので、何かと引き換えにどれだけ多くの譲歩を引き出せるのか、またどれだけほかの国を巻き込むかが重要になってきます。まぁこういった見方を持ってTPP議論を見ると面白くなってくるのではと思ったので、ちょっと書いとくことにしました。

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