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2012年12月12日水曜日

御殿場事件について

 「陽月秘話」をスタートさせたのは2007年の12月ですので、今月を以ってちょうど丸五周年となります。よく五年もほぼ毎日こんな記事書いてるなと我ながらいろいろと呆れてくるのですが、陽月秘話を始めた際によく取り上げていた問題として司法関連の話があります。
 当時は「国家の罠」でおなじみの佐藤優氏の著作から司法に疑問を持った頃で経済対策や憲法改正以前に司法改革こそが日本に必要なのではないかとよく書いてましたが、それからわずか五年しか経っていませんが随分と日本の司法環境も変わった気がします。最大の変化はやはり裁判員裁判が始まって、当初は私もあまり効果が上がる政策だとは思わなかったものの意見陳述などでなるほどと思える話や、それまで司法の専門家につかわからないほど難解だった裁判の運びなどがわかりやすくなり、導入して正解だったと考え直すに至ってます。また裁判員裁判が始まったことが影響していると思いますが、警察や検察の強引な捜査や冤罪に対する社会的な目も随分と変わってきています。

逆転無罪判決の中被告、釈放 女子高生殺害(NNN)

 ちょうど今日も2008年に起きた舞鶴の女子高生殺人事件で、一審で無期懲役だったのが二審で逆転無罪と、かつてであれば考えられない判決がおりました。というのもあくまで私の印象ですが二審を担当する高等裁判所はしばしばトンデモ判決を出すことが多く、一審無罪を有罪にし直すならともかく逆転無罪を出すなんて隔世の感があります。事件の真相は裁判経過を見ていないので何とも言えませんが、この事件は逮捕当初から状況証拠だけでどんなものかなという印象は持っておりました。
 今回の逆転無罪といい、足利事件や東電OL殺人事件で再審が開始されるなんてかつては考えもしませんでした。更に言えば障害者郵便制度悪用事件に至っては検事の不正操作まで明るみになって、こういってはなんですが司法が開かれてきていい感じだと思っています。
 なもんだから、前置きが長くなりましたがそろそろタイトルに掲げた御殿場事件も再審の門が開かないのかなと考えてるわけです。

御殿場事件(Wikipedia)

 四大公害病に数えられる水俣病の事件を誰かが、「これが犯罪でなければ一体何が犯罪となるのかわからない」という言葉を残しておりますが、この御殿場事件に関して私が言うなら「これが有罪となるなら無罪となる刑事事件はないだろう」とまとめます。
 テレビニュースでもよく取り上げられているので知っている人も多いかもしれませんが、簡単に事件の概要を説明します。この事件は2001年9月16日に静岡県御殿場市で発生した強姦事件なのですが、事の起こりは被害者(自称)の女子高生が当日遅くに帰宅したところ、母親に「強姦されたため帰宅が遅れた」といったことから起こりました。この女子高生の被害訴えから中学校時代の同級生だった少年を含む複数の少年計十人が逮捕され、警察の捜査に対して全員が自白を行いました。ただこのうち4人は裁判で自白は警察に強要されたものだとひるがえしたため刑事裁判に起訴され、ほかの6人は素直に警察に従ったので少年院送致、または保護観察などの処分で済まされております。

 これだけ見るなら冤罪なのかどうなのか判断できず被告となる少年らが否認しているだけにも見えますが、その後の裁判の経過というのは凄まじいものがあり、一体どこから突っ込んだらいいのか本気でわからないくらいひどい有様でした。
 ウィキペディアの記述に沿って説明すると、まず4人全員かどうかはわかりませんが被告らには事件当時にアルバイトをしてタイムカードを押してたり、飲食店にいて伝票が残ってたりとアリバイが存在します。この時点で誤認逮捕だったと素直に静岡県警も認めればよかったのですが、その後にはさらに驚愕の事実というか、被害者とされる女子高生のアリバイが崩れることとなりました。というのも女子高生が事件発生時刻とした16日8時、携帯電話の通信記録からその女子高生は富士駅で出会い系サイトで知り合った別の男とデートしていたというのが判明しました。しかもそのデートをしていた男までも裁判に出廷し、「(女子高生は)親には遅れた理由を誰かのせいにすると言っていた」という証言まで残しております。

 もう本当にこの時点でどうしようもないのですがここにきて静岡県警は女子高生がデートをしていたことを認めた上で、「犯行日は9月16日ではなく、本当は9日だった」と、前代未聞といっていいですが裁判中に突然犯行日を変更してきました。犯行日を変更したにもかかわらず警察が少年らに無理やり書かせた自白調書は16日に犯行があったこと前提で出来ているので、もう裁判なんて成立しないと言っていいと思うのですが、高橋祥子裁判長はある意味で期待を裏切らずに被告の少年らに懲役2年の判決を下しております。
 二審ではさらに女子高生の証言で矛盾が出てきています。犯行当時について女子高生は、「雨など降ってなかった、着衣も濡れなかった」と証言していますが、当時は台風15号が接近中で激しい雨が降っており気象台はおろか、犯行現場とされる公園周辺の商店も日誌などに雨と書いております。にもかかわらず警察は「当時は雨など降ってなかった」と、客観的事実を無視した驚異的な主張をかましてきました。そしてそれを裁判所も通し、最高裁も同じ感じで少年ら、といっても三審判決時には成人していましたが、刑務所に入所することとなりました。

 あくまで二次ソースだけの情報ですが、少なくともこれを見る限りだと理性的な判断が全くない裁判としか言いようがありません。星室庁裁判ですらこれよりひどくはなかったんじゃないのかとも思います。最近ネット上では映画、アベンジャーズのキャッチコピー、「日本よ、これが映画だ」というフレーズの改編が流行っていますが、「市民よ、これが日本の司法だ」と声を大にして言いたいです。

  おまけ
 なにかのフレーズを改変するというネットスラングは中国もあるようで、今日読んだこの人民日報日本語版の記事では最近、中国では「○○はとても感動した。そして断った」というフレーズが流行っているそうです。このフレーズが何で流行りだしたのかというと、こっちである男子大学生が女子学生にラブレターを送ったところ、なんとそのラブレターの文字数は16万字という超長文で、「感動した。だけどムリ(>_<)」と言われちゃったことからだそうです。日本だったら「キモい(;´Д`)」の一言で終わっちゃうだろうな。

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