本日はどのニュースも一色といっていいほど大阪府で行われた大阪都構想の賛否を問う住民投票の結果をどこも報じており、相も変わらず日系メディアは同じ内容を各社で垂れ流すんだとやや呆れながら見ています。
そんな長く書く話題でもないのでちゃっちゃと内容をまとめると、まず今回の結果は反対派が賛成派を僅差で上回る結果に落ち着きましたがこの点に関しては各メディアの事前予測とほぼ一致しており、きちんと予測を的中させたメディア各社はもっと褒められてもよいでしょう。ただ予測と結果が一致したということは言い換えるなら選挙戦中盤から後半にかけて有権者の意思にほとんど変化が起きなかったとともいえます。
次にこの大阪都構想を主導した橋下大阪市長についてですが、かねてからの宣言通りに次回の任期満了に伴って政界を引退する旨を明らかにしています。私としては今回の投票では反対派が上回ると見ており橋下市長の動向だけがどうなのかと気になっていたのですが、この辺は筋を通したというか、このまま政界に居残ってもあまり益がないというのも見えているだけに悪うない選択じゃないのかと個人的に考えています。
最後に世の中のこの投票結果に対する報道を含めた受け止め方ですが、はっきり言って強い違和感を覚えます。たまたま自分が見たニュースやネットの掲示板がそうだっただけかもしれませんが、どこも有権者のどの層、どの地域で賛成・反対が多かったのか、高年齢層で反対が多かったのかなど世代間闘争を煽るようなしょうもない内容ばかりで、肝心の大阪都構想の中身については全く触れていないというか議論が起こってないからです。
大阪都構想については以前に私も記事にまとめていますが、結論から言えば実行した所で大阪市の財政は改善するどころかむしろ支出が増える可能性が高いだろうと見ています。本来ならばこの点、大阪都構想のメリットデメリット、予想が正しいのかどうか政策の中身が議論されなければならないのに、選挙中はもとより選挙後に至ってもその内容の検証が全く行われないというのはなんやねんと違和感を覚える限りです。イメージだけでこの投票は争われたのか、誰もこの点を突いていないのがおかしいでしょう。
確かにこの投票ではイメージ先行で具体的な政策中身については各政党もあまり話題にしてこなかったというのは間違いありません。特に旗振り役の維新の党でこれが顕著で、なんでかっていうと細かく検証するとあまり目に見えたメリットが出てこないということが有権者にわかってしまうと本人らも自覚していたのではと思える節があります。
ただイメージ先行とはいえ、ちゃんと中身を比較しながら投票に行った有権者も少なくなかったのではないかとも思えます。何故かというと逆説的ですが投票の理由について、大阪都構想の中身がよく理解できなかったと話しており、自分なりに比較した私もそう答えるのが自然だと思えるほど中身のない構想だからです。
では中身がないのに何故維新の党は大阪都構想を推し進めたのか?誰も言わない意見ですが私個人の推論で述べると、大阪市を大阪都に変えたという実績を作った上で橋下市長は国政選挙に出て、政界でのし上がるという野心を描いていたのではないかと思います。本人も多少なりともこの政策実現によってメリットが得られると考えていたことは間違いないでしょうが、それ以上に野心による動機がこの政策を推し進める理由の中心だったのではないかと見ていて感じます。
それだけに、そうした野心が案外透けてみていたからこんな結果になった、そう私に思わせる結果でした。
7 件のコメント:
僕も同じような印象を持ちました。 特に某サイトの大阪都構想についてのコメント欄をみてみると、政策内容に関する具体的な言及は全くなく、花園さんの言うように世代間の一票の格差についての言及が目立ち、印象による投票者が多かったのではないかと思います。そもそもこの大阪都構想が可決されたからといってすぐに大阪都になるわけでもなく法整備が必要であることなどもあまり報道されていなかったような気がします。
多少はイメージが先行するってのはしょうがないとは思うのですが、それにしても今回のこの投票はいくら何でもと思ってこんな記事にしましたね。記事にも書いていますがこの政策の具体的な中身ってのがやや複雑で、政党もメディアも詳細な説明を敢えて避けていた節があります。しかし逃げちゃダメだろって思うと同時に、投票結果が出た今だからこそ検証しなくちゃと思うんですがねぇ。
維新のHPを見ても、大阪都構想の具体的なメリットって示されてますかね?
二重行政が解消されたら、これだけ予算に余裕ができるっていうわかりやすい試算表がないですよね。
市や府の職員に見込額を作らせても、いまいちな結果になったんでしょうね。
当初は維新は二重行政の解消で4,000億の支出軽減と主張してたけど、自民党が検証したら僅か30億程度の軽減にとどまるという結果になったんでしたっけ。
まあ具体的な財政改善とかどうでもいいでしょうね、橋下さんは。花園さんの言うとおり、大阪都構想は橋下氏の立身出世のためのパフォーマンスでしかないんでしょうね。
この記事にリンクした過去の検証記事でも書いていますが、大阪都構想が実現すれば府と市の二重行政は確かに解消されるものの、今度は新たに区議会(+区議員)を新設し、区ごとに水道局などの事務所も作る必要があり、どう考えても支出が増えるようにしか見えないんですよね。仮に人口が増え継続けているのならともかく、大阪市のように面積の狭い地域で切り分ける必要があるかといったら私は強く疑問に感じました。
突き詰めるとこの記事で書いたように橋下市長の実績作りというのが最大の目的だったのではと私は考えましたが、意外にも同じことを言う人がほとんどいなかったので、こうして同調していただけるといろんな意味で助かります。
大阪都構想に賛成しますわ。
そりゃ君は賛成だろうね。ただこの政策はあんまり意味ないよ。
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