2016年8月8日月曜日

習政権の「一帯一路」戦略とは

 中国関連のニュースを見ていたら日系メディアでもたまに目撃するかもしれませんが、中国では以前の胡錦濤政権は「和階社会」というスローガンを多用し、社会的に平等な社会の実現ということを政策目標として掲げていました。その胡錦濤政権を引きついだ習近平政権も同じようにあるスローガンを近年掲げており、それが今日解説する「一帯一路」という戦略です。

一帯一路(Wikipedia)

 この「一帯一路」とは何の意味を表すのかというと、一言で言い換えれば「シルクロード戦略」といったところです。シルクロードといえばシルクロードでそれ以外の何物でもないのですが、簡単に言えば古代にローマから西安までつながっていた交易路よろしく、中国から欧州に至る陸路を一つの経済圏とみなして経済的、人的交流を盛んにしようというのが表向きの中国の方針です。
 この戦略の主な対象となるとのは中央アジアと欧州諸国で、特に欧州諸国に対して習政権はこのスローガンを盛んにアピールしているように思われ、中央アジアについても無視しているわけではありませんが「ヨーロッパと中国は運命共同体」という主張を流行らそうとしているように見えます。

 一応日本も麻生政権の頃に「自由と繁栄の弧」といって中国をすっ飛ばしてほぼ同じルートでの経済共同体思想を提唱しましたが生憎これは全く流行らずに終わってしまいました。そこへきてこの中国の戦略ですが経済的に成功するか否かはともかく一応いくつかのプロジェクトは実際進んでおり、既に一部で始まっていると聞きますが中国から東欧まで海路や空路ではないトラックによる陸上輸送などもあり、こうした方面の活動を今後も中国政府は支援していくと思われます。

 また、経済面以外でもこの方針からは中国の今後の狙いというか立ち位置がいくらか見え隠れする要素があるように思えます。

 ここからはほぼ私の完全な推測によるものですが、この「一帯一路」戦略を提唱した背景には中国の外交方針、特に東西での差別化を一層強くするという意識の表れではないかと見ています。どういう意味かというと東方面、つまりシルクロード沿いの陸続きの国々に対しては融和政策を取り、西と南方面、つまり日本やフィリピン、ベトナムなど海を挟んだ国にはやや強硬な主張を貫き領土争いも辞さない態度で臨む意思の表れではないか、なんて勝手に思っています。
 これと同様に軍事面でも、これまで人民解放軍の主力である陸軍は軽視して空軍や海軍をより重視していくという方針にも見えます。実際、習近平は陸軍に対し冷淡な態度を貫いておりその関係も非常に悪いとされ、護衛の人間もこれまで陸軍特殊部隊の人間が行っていたのを空軍に切り替えています。

 恐らく今後も習政権はこのスローガンを堅持していくと思われますが、胡政権と比べるなら一番の違いは内政より外交重視であるという点で、アジアインフラ銀行を始めその出方に対してはしばらくは静観しつつ動向を見極める必要があるだろうというのが私の意見です。

2 件のコメント:

  1. 気掛かりなのが、中国の場合、属人的な部分が大きすぎる点です。もし仮に習が倒れて執務不能になった場合、どうなるるのか、かなり混乱しそうな気がします。

    個人的には一帯一路政策で雲南からラオスを通ってタイのバンコクまで続く高速鉄道が建設されれば面白そうだと思います。

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    1.  方針的には中国だけでなく周辺各国にもメリットのある抗争なので着眼点は悪くないのですが、習政権以降もこの方針が堅持されるかは確かに疑問符が付きますね。その点日本は島国なだけあってこういった陸続きの問題に関しては巻き込まれずに済む一方、この辺の感覚が疎くてどうにも反応が鈍いような気もします。

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コメント、ありがとうございます。今後とも陽月秘話をよろしくお願いします。

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