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2017年1月28日土曜日

虚報を信じ現実を否定する人々

 昨日私は上海に登場した実物大エヴァ初号機像を撮影してその過程を記事にしましたが、撮影前に現物がどこにあるのか、また日本でどのような報道をされているのかをあらかじめ知ら調べした所、以下のサイトに奇妙さを覚えました。

中国上海に高さ25mのエヴァ初号機が立つ!!かっけえええええええええ(やらおん!)

 直接見てもらえば早いですが、編集したまとめ記事部分の末尾部分にて「なお倒壊した模様」という言葉と共に、倒れている像の写真が載せられています。この写真、見ればわかりますが背景がほかの写真と明らかに異なっており、また私なんかからすれば背景に映っている「E5」という文字だけで、「ああこれ、上海の展示場だな」ということがすぐわかります。
 実際、この写真は昨年の「Chinajoy 2016」というイベント時の写真であることがこの記事からわかるのですが、どうしてまた事実を捻じ曲げてさも作ったはいいが即倒壊したかのように報じるのか、最初のまとめ記事に対しては非常に疑問に感じる編集の仕方がされています。しかもその下のコメント欄を見ると、他にもこのニュースを報じているメディアやサイトは多いにもかかわらず何故か「倒壊した」という事実を本気で信じ込んでいるようなコメントが見られ、率直に言って頭の悪い奴らが増えているんだなという気がしました。

韓国デマサイトは広告収入が目的 運営者が語った手法「ヘイト記事は拡散する」(BuzzFeed)

 これと関連して、上記ニュースをすぐ想起しました。
 このところ私の中で非常に評価が高まっているBuzzFeedのニュースですが、概要を簡単に説明すると日本人女児が韓国国内で韓国人に強姦されたと報じられニュースはとある人物が作った虚構ことデマで、そのデマを流した張本人に対するインタビューが載せられています。何故このようなデマを載せたのかという質問に対しその張本人は、「アクセスを稼いで金を稼ぎたかったから」と述べています。そしてそのデマが大きく広がった理由については、ニュース記事っぽく見せる工夫と、見ている人間が望んでいる情報だったからと自ら分析しています。

 これを見て正直に言うと、非常に呆れました。それこそ韓国人に対し激しい憎悪をもたらしかねない機微な内容にも拘らず平気でデマを流すなど信じ難く、同時にそうした実態に基づかない上にソースの不確かな怪しいニュースを大歓迎して拡散する人々もたくさんいたわけで、普段「マスコミは信用できない」という連中ほど案外デマに踊りやすいのかなという印象を覚えました。

 こうした傾向については私も実体験があるというか、この前書いた上海大江戸温泉の記事ページについたコメントを見ていると、まるで私が中国側を擁護するように書いているとして私の事を中国人だなどと断定する輩がたくさんいました。無論、私は中国人でもないし中国人と推定するような根拠はあの記事の中には何もありませんが、恐らくそのような断定をした輩は、「日本側に不利な事実が現実であるはずはない」という願望からこのような主張を、思うだけならまだしもコメントにまで残したのではないかと考えています。
 なお、まだ記事には出していませんがこの大江戸温泉のニュースについてはその後の関係者との接触によりほぼほぼ真相を掴んでおり、少なくとも前回記事で私が報じた内容には誤った内容は含まれていません。他のメディアも、もうちょっと頑張ればそこそこニュースな真相掴めるのにね。

 社会学で言うならば認知的不協和とでもいうべきなのかやはり近年、現実を直視せず、むしろ耳心地のいいデマを信じようとする日本人が増えてきている気がします。敢えて皮肉な言い方をするとそういう連中こそ彼らが嫌っている国の人間のような行動を取ることが多く、案外ああしたものは同族嫌悪に近いものなのかも知れません。
 ただ歴史的に言って、現実を直視しない国家はほぼ確実に滅びます。戦前の日本なぞまさに典型で、いくらシミュレーションしても勝てない米国に対して、「勝負はやってみなければわからない」などとほざいて案の定負けました。仮に存在するとしても減りつつある状況ならともかく、こうした現実を直視できず大本営発表のような報道にすがろうという人間が増えている状況であれば、あんまその未来は明るくないでしょう。

 だからこそ報道というのは真実性が何よりも優先されるわけで、思想や贔屓などを挟んで報じる様なのは所詮は三流でしかなく、真実の前であれば上司であろうと世論であろうとかなぐり捨てる様な反骨心が求められるわけで、「ただ真実の奴隷であれ」ということを私はジャーナリストの心構えとして持っています。まぁ今の本職は記者じゃないですけど。
 しかしインターネットの発達に伴ってデマが増加する中、そのデマを敢えて信じようとして、一方で不都合な真実は否定しようという人々が増えていることに対し、やはり世の中の危機感が足りないのではないかという気がします。私なんかだったらさっきの韓国関連のデマを垂れ流した人間を向こうの極右集団の中に放り込むくらいの処置が必要だと思うのですが、あんまこういう発言は他では聞けません。推測での記事が結果的に事実でなかったのならまだしも、全く根も葉もないデマを流す人間は国家にとってダニでしかありません。

 ただ、私の中でも少しあきらめがあるというか、恐らく今後も私が「耳障りな真実」を報じれば報じるほどかつてのデービッド・アトキンソン氏のように世間からの批判が増えるだろうと予想しています。しかし上記の通り自分が従うのはただ真実の概念だけで、たとえ百万人に嫌われようとも殺されない限りは自分は真実を追い求める次第です。

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