2017年1月9日月曜日

漫画「辱(にく)」を読んで

 なんか一昨日、天気悪くて一日中部屋の中にいてマルクス主義的(=無意味、空虚な)に変なテンションになってKindleの電子書籍で「辱(にく)」という漫画を買って読んでました。知ってる人には早いですがエログロ作品です。

 内容についてはネタバレを防ぐため詳細を省きますが、最近のエログロを標榜する作品の多くはひょいっとバラバラ死体とかを出すだけで全く面白味のかけらもないのに対し、こちらの作品は過程にディテールを置いてあってその面ではまだ読める方のエログロでした。ただそれはほかのエログロ作品と比べての話であって、全体を読み終えた感じの読後感はそれほど大きく残るものはなく、特に最後の話の冒頭で主人公がトラックに轢かれそうになるシーンを何故わざわざ見開きで書いたのかだけがすごい気になりました。ちなみにその後は特に引かれることもなく普通にトラックに同乗して話が進むだけです。

 あくまで素人としての意見を述べると、エロさやグロさが足りないとかどうとか言うのではなく、この作品にはホラー的要素が致命的に欠けているから読後感が物凄く悪いんじゃないかと勝手に想像しています。やはりホラー漫画の大家である楳図かずお氏や伊藤潤二氏の作品を読むとそのグロテスクな造形はもとより、話の奇妙さというか意味不明な名状しがたき怖さが読後も強く余韻に残り、ちょっと怖いけどもう一回読んでみたいという興味が湧いてきます。それに比べて「辱」を含めた最近のエログロ作品は、「どや、エログロいやろ!」と無駄に行為の残虐さや死体の描写を移すだけで、まぁこう言ってはなんですが花がありません。描写が激しければいいというのは映画で言えばB級ホラーにしかとどまれず、「一体何故こうならなくてはならないのか……」と読者が見ていて感じるような舞台設定があってこそ名作ホラーは生まれます。

 なおこの「辱」の舞台設定については、たまたま一致しただけかもしれませんが映画「ホステル」と共通する点が多い気がします。映画の方は文句なしに名作で「SAW」と並んで私が目を背けるくらいリアルに怖い作品だったのですが、漫画の方はそうでもなく鼻歌交じりに読んでました。決してダメな作品というわけではないですが上記の通りホラー的要素が致命的に欠けているように感じるため、続編ではその点をカバーしてくれたらいいなと切に願っています。

 あと最後に余談ですがある新聞社で尼崎支局にいた人が当時の事についてぽつりと、「尼崎だったらバラバラ殺人なんて日常茶飯事」と言っていたことがあり、これを関西出身者に話すと誰も否定しないのが密かに面白かったりします。


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