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2018年3月31日土曜日
ミグさんちのつばめちゃん(MiG-29)について
きょう午前中に、先週買っておいたタミヤのMiG-29のプラモデルを組んでいました。こちらの商品はタミヤブランドで販売しているものの実際はOEMで、中身を作っているはイタレリです。ほとんどの部品が成形済みなためパーツ数は少なく、すぐに組み終わりました。
そもそもなんでこんなプラモを作り出したのかというと、本人としては軍事研究のつもりです。昨年に「スタンダードなジェット戦闘機」ということからF-16を作りましたが、形状パターン的にはこれだけでは足りないので、先日にはカナード翼機を学ぼうとユーロファイター(タイフーン)も作り、そして今回は東側の戦闘機、そして双尾翼機の代表としてMiG-29を選びました。あくまで軍事研究の一環であり、暇だから作りまくってるわけじゃありません。
少し真面目に話すと、やはり自分で各パーツを見ながら組んでみて初めて感じ取る点も多いです。具体的にはタイフーンのようなクローズデルタ機は翼面積の広い形状からハードポイントが多く作れ、武装搭載上では有利だと思えます。
・MiG-29 (航空機)(アンサイクロペディア)
そんな今回作ったMiG-29ですが、上記のアンサイクロペディアの記事では日本らしいというか擬人化して「ミグさん家の空飛ぶ美女」として紹介しています。そこで今回は自分もこの記事に乗っかる形で簡単にこの飛行機の経歴というか悲劇の歴史を紹介しようと思います。
MiG-29は1970年代、ソ連のミグさんちで生まれました。相性としては小柄な体形になぞらえたのかロシア語で「燕」つけられましたが、西側諸国からは何故か「フルクラム(支点)」という未だに聞いててもよくわかんないあだ名をつけられてしまいました。
とはいえこのつばめちゃん、生まれた当時は米国でケンカに強いことで有名なF-15イーグルがデビューしたてだったこともあり、「この子ならきっとイーグルにも勝ってくれるはず」と周囲から大きな期待を受けていました。ほんの短い間でしたが……。
ミグさんちでつばめちゃんが生まれたのとほぼ同時期、親戚のスホーイさんちでも新しい女の子が生まれていました。その生まれた子というのも「Su-27フランカー」ことふらんちゃんで、体が馬鹿でかい癖にやけに機敏で、しかも非常食(増槽)なしでもロシアの広い国土を縦横無尽に飛び回るという半端ないスタミナ(航続距離4000キロ)の持ち主という、例えるなら「動けるジャイアン」ともいうべき恐ろしい娘でした。
真面目な話、あの時代にふらんちゃんを設計してのけたのはオーパーツもいいところでしょう。
ふらんちゃんが生まれるや一転、つばめちゃんに対する周囲の期待は落胆へと変わりました。攻撃力、機動力、航続距離のどれをとってもふらんちゃんに適うものはなく、唯一勝っているものはコストの低さだけという有様でした。そのせいか、「どうせ傷物にされてもふらんちゃんに比べて惜しくないし」という情けのない扱われ方から、敵軍の制空権空域だとかレーダー防空網の真っただ中だとか、撃墜されてもやむなしとも言うような危険な任務はつばめちゃんにばかり押し付けられ、この世代の戦闘機としては被撃墜記録が特に多い機体となってしまいました。それどころか、「つばめちゃんはケンカが弱い」という認識まで持たれてしまいます。
一応書いておくと、スペック上ではつばめちゃんも優秀で、特に機動力に関しては定評があり後期型に至っては技術確立された推力偏向ノズルの搭載によってあり得ない動き方をすることが可能であり、他国の第一線級戦闘機にも負けないと評価されています。ただ惜しむらくは、この推力偏向ノズルはふらんちゃんにも取り付けられているということです。
話は戻りますが、旧ソ連が崩壊して貧乏となったロシアは外貨を稼ぐために積極的に戦闘機を売りはじめ、コストが安いことからつばめちゃんはやたらいろんな国へ身売りさせられることとなります。セールス的には非常に成功した部類には入るのですが、どちらかと言えば「ふらんちゃんの方がいいけど、あっちは高いから仕方ないね」とばかりに妥協として買われていくパターンが多かったようです。
しかも輸出規制が緩いせいか、第三国経由とはいえ、何故か敵国の米国にまで買われたこともあり、その際には体の隅々まで辱めを受けた(検査)ことはいうまでもありません。
歴史にイフはありませんが、もしふらんちゃんさえいなければ、つばめちゃんは今もロシアの主力戦闘機として西側諸国からは畏怖され、高嶺の花としてみんなにちやほやされていたかもしれません。彼女の不幸はほぼすべて同時期にふらんちゃんという強力過ぎるライバルがいたことから始まっており、「ふらんちゃんさえいなければ」とミグさんちの一員らは多分みんな思っていたことでしょう。
そうした恨みつらみがどこかに通じたのか、とうとう運命の日が訪れます。それはノストラダムスの予言に出てくる1999年の2月のこと、エチオピアとエリトリアの間で起こったエリトリア国境紛争において、エリトリアからはつばめちゃん、エチオピアからはふらんちゃんがそれぞれ出撃しました。
つばめちゃんの不幸な生い立ちはすべてふらんちゃんがいたせいにほかなりません。第三国間とはいえ、そのふらんちゃんとガチでぶつかる機会が得られたというのはまさにその運命を逆転するチャンス以外にほかならず、「今度こそ、あたしはシンデレラになるんだ!」と言ったかは定かではありませんが、長年の忸怩たる思いとともにつばめちゃんは飛び立ちました。
そして一発でふらんちゃんにKOされました。っていうかどう見ても勝てる相手じゃないし。
現在、ロシアの主力戦闘機はふらんちゃんで、あと中国もロシアから買って使ってます。研究対象としてみればふらんちゃんの方を優先すべきであるのですが、上記のあまりにも可哀想な生い立ちぶりからつばめちゃんを選ぶことにしました。やっぱストーリーって大事です。
こっちは前作ったタイフーン。
ハセガワのキットで組みましたが、「航空機と言えばハセガワ」と言われるだけあって、パーツ数が非常に多い上に図面がタミヤより見づらくめちゃ苦労しましたが、その分、仕上がりなどは非常によくできててその異名は伊達ではないと感じさせられました。とはいえ求められる技術は高いように感じられ、次もハセガワのキットを買うかとなるとやや躊躇させられます。
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