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2019年12月14日土曜日

東芝のトップ間抗争について

名門東芝を破滅させたトップ間の嫉妬無限地獄(プレジデント)

 日本の名門企業の代表とも言える東芝の不適切会計(粉飾決算)事件の発生から既にもう数年経ちますが、改めてこの問題について経済ジャーナリストで私も尊敬する大西康之氏が記事をまとめています。
 なお後輩が転職活動するに当たり、業界研究用に大西氏の本を以前紹介したことがありますが、何故か後輩はその本をこのブログの広告リンクを介さずに買って、広告料が私のところには入ってきませんでした。また大西氏は私の主戦場であるJBpresでも記事を出していますが、何故か毎回自分の顔アップを入れた写真を投稿しており、陰で「大西フレーム」と呼んでます。

 話は戻りますが今回のこの記事でも大西氏らしく、当事者相手に直接取材を敢行しています。それが冒頭の東芝元会長の故・西田厚聡へのインタビューですが、自宅を訪れたところ中にはいれてもらえず、それでもインターホン越しに30分間もインタビューしてのけたそうです。これ見て大西氏が過去に書いたサンヨーの本を私は思い出しましたが、あっちは「五分だけやで」とかいいながら、自宅に入れてくれた上にめっちゃ長く取材に応じてくれてましたが。

 それで西田へのインタビューでは、なんと延々30分間も自分の後任社長となった佐々木則夫の悪口を言い続けたそうで、肝心の聞きたかったことは聞けずじまいだったそうです。逆を言えば、取材を拒否しながらも元部下の悪口は誰でもいいから言いふらしたかったという西田の強い意志を感じます。
 知ってる人には早いですが、平成以降の東芝歴代社長である「西室泰三―岡村正―西田厚聡―佐々木則夫」の四人は、それぞれがそれぞれの事情から非常に仲が悪く、結果的にこのトップ間の憎悪ともつれた人事任命権が東芝を暴走させたと指摘されており、私もこの説に同感です。その上でこの大西氏の西田へのインタビューエピソードを見ても、西田、佐々木間の仲の悪さが、東芝を大きく迷走させたウエスチングハウス問題をより根深くさせたことを強く示唆されています。

 上記の下りに関しては大西氏の記事をそのまま読んでくれればわかりますが、改めてこの東芝トップ間の確執を見て、皮肉な話ですがトップ同士で仲が悪かったからこそ、東芝の不適切会計問題は明るみに出たのかもと思いました。
 何故このように思ったのかというと大西氏の記事にて、

「証券取引等監視委員会(SEC)への相次ぐ内部告発である。1件目は佐々木の出身である社会インフラ事業部門で、2件目は西田の古巣であるパソコン・テレビ事業でそれぞれ利益の水増しがあったというもの。佐々木を狙って西田側が告発し、佐々木側が西田を刺し返した――としか思えない。」

 という、記述を見たからです。
 私もそうと思うというか、トップ同士が仲が悪く、その地盤とする出身事業部の問題を互いに密告し合って、一気に東芝全体の問題が明るみに出た節があります。1件目の告発に関してはそもそもウエスチングハウスの買収企図、実行自体に問題があるだけに納得感がありましたが、二件目のパソコン・テレビ事業への告発に関しては当時としても、そのタイミングと事業部内容から、西田を狙い撃ちにしたものではないかと当時の私ですら感じました。

 実際に大西氏の指摘通りであれば、トップ・事業部間抗争が起こっていなければ、爆弾を抱えつつ東芝は今も名門日系企業として君臨していたかもしれません。そう思うと、社内に様々な問題を作ったトップ間抗争は、最終的にはその膿を出すきっかけになるという皮肉な結果と捉えることもできそうです。

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