一方、全く議論に上がらない時代を上げるとしたら考古学で取り扱う先史時代で、かつてあった邪馬台国論争なんてもはや論争の態を成さないほど誰も議論していません。それどころか、大和王朝に関する話題だったり、日本人の民族的ルーツに関する話も何も見られません。
これらの時代は元から決して人気であったというわけではないものの、それでも20年くらい前だったらネットに限らず書籍などでもある程度の話題というか議論の主張を見ることはありました。しかし2000年に発覚した旧石器捏造事件によって、多くの遺跡で発掘物が一切の証明能力をなくしたことから、東日本における考古学はその後研究を行うことは実質的に不可能となりました。
もっともこの事件は日本の考古学が明確に終わるきっかけに過ぎなかったという声もあります。事件以前からも日本考古学会が発表する論文はずさんなものが多く、証拠の管理能力も低かったと言われており、私も専門家でないもののいくつかの発表論文を見ていて疑問に感じる点は少なくありませんでした。
話を戻すとあの事件をきっかけに、捏造を行った張本人である藤村氏が関わっていない西日本の遺跡はその後も研究が続けられたものの、事件のマイナスイメージもあってか冒頭に述べた通り現在考古学は盛り上がりを見せていません。そもそも考古学自体が異常に金のかかる学問で、景気の悪くなった日本においては研究をサポートするスポンサーどころか、国も若干及び腰になっていることも影響しているように見えます。
そんな感じで考古学の「こ」の字すら見なくなっていた私ですが、去年に対馬と壱岐島の博物館に行ったときに、かなり久しぶりに発掘物の展示を見ることがありました。どちらの島も日本本土と比べると道路や宅地開発がそこまで激しく行われてなかったこともあったのと、朝鮮半島からわたってきたと思われる出土品が出るなど、比較的良好な発掘地となっているそうです。
特に壱岐島に関しては比較的平野が多く農耕も行える環境であったことから、当時の住宅の跡地と思われる当たりでまとめて出土品が出るなど、地元も中学生なども呼び集め結構盛んに発掘とか行っていました。
もっとも、個人的には対馬と壱岐島については地形的に東シナ海における倭寇などの海賊活動の拠点だったと思え、この辺の海賊の歴史についてもっと解説されているのかと思い期は完全スルーで、もっとこの辺を掘り下げた方がいいのにと思ったりしています。
ただこうした離島ならともかく、日本本土においては今後考古学で何か大きな発見が出るかと言ったら恐らくないんじゃないかと思います。先の捏造事件の影響もさることながら、先史や古代史学会は古事記の記述を無理やり中国の歴史書の記述になぞらえようとするファンタジー作家が異常に多いことなどから、あまりまともに科学的な活動が行われているように見えません。「卑弥呼は〇〇皇后だ」などと、よく根拠もなくああしたこと言えるなと呆れています。
そうした学会の質の低さから、もし考古学をやりたいっていう人がいるならまず外国語を学び、日本国外で考古学活動をすべきだと思います。ちなみに中国は未開の土地がマジでゴロゴロあり、そこから思わぬ遺物が出てきたりするので結構考古学が盛り上がっています。曹操の墓だって見つかったし。
2 件のコメント:
孫臏兵法も1972年になって漢の時代の墓から見つかりました。その辺の地面を掘ったら伝国璽や和氏之璧(秦の昭襄王と藺相如との逸話で有名)で出てくるかもしれませんね。 なお、私の父親の土地からは産業廃棄物が出てきました。 父親の土地は元々私の祖父の土地であり、親戚に貸していました。 その親戚は鉄工所を経営していたのですが、業務で出てきた廃材等を地面に埋めていました。土地を貸した当時は産廃の処分に対する意識が低かった時代であり、悪意無く産廃を捨てていたのでしょう。しかし親戚は 鉄工所の経営不振,収入減を理由に 産廃を処分しない(できない)まま土地を返しました。 この事件があってから 私の父親は 土地は貸すな、貸すとしても保証金と担保を必ずとれ というようになりました。
中国史にいつもお詳しいと思っていましたが、孫ピン兵法の出土は「Who is 孫氏?」の議論解決で大きな一歩でしたよね。っていうか1972年だったんだ。
産廃の不法埋立は放棄が厳しくなった今でも、知らないふりしてやっている人間は多いと思います。豊洲市場は元の地権者らもあらかじめ警告していましたが、こんなのは激レアケースでしょう。
売り手側がこうした作為を行う立場であるだけに、むしろ土壌などの検査機関に期待する方が建設的かもしれません。最近住宅でもホームインスペクションが認知されてきていますし、企業のM&Aのように、取引前検査が今後あらゆる方面で増えるかもしれませんン。
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