ページ

2008年2月12日火曜日

経済指標の不透明性

 毎年年末になると「今年の経済成長率は~」ってな感じでGDPについて何かしら語られます。このGDPはこれ以前のGNPにかわる指標とし、て恐らく世界で最も使われる国力の指標でしょう。
 しかし、私自身はこの指標について非常に疑問を持ちます。いきなり例証から行きますが、たとえば現在の日本はこのGDPに照らしてみると、神武景気を越えるほどの戦後最長の経済成長の真っ只中にいるはずですが、実際はというと失業率は増加し、格差問題も表面化しています。実際に、各ニュースなどでは「蜃気楼景気」や「実体の見えない経済成長」と評されており、その景気のよさを実感している人はほとんどいないでしょう。またお隣の韓国も、GDPの経済成長率で見るならば日本以上ですが、どうも留学生などから伝え聞く状況を聞いていると、日本以上に貧しい暮らしを庶民は強いられているような気がします。

 言ってしまえばこのGDP、一般民衆から搾取をすればするほど上がる仕組みになっています。たとえば、ある製品がその価値が1000円あるとして、そのうち人件費が500円いるとします。この段階だとこの製品の付加価値は500円ですが、人件費が100円に下がると、その価値は900円にまで跳ね上がり、GDPにも反映されます。
 そんなあほな、と言いたい話ですが、今実際に日本で起こっている経済成長というのはこれが実態でしょう。一般労働者の平均給与は下がりつづけ、その分コストが減って製造効率が上がったと見なされ、結果的にGDPに反映されていきます。この状態を見据えてか、去年にEUは日本の経済成長について、実際の生産力はなにも変わっていないと評していますがまさにその通りでしょう。

 ですが国家や経団連のお偉方はこのGDPを指標に使い、自らの成果を強調しています。はっきり言わせてもらうと、「私はこれだけ労働者らが本来受け取るべき報酬を奪い取った」と言っているのと同義でしょう。厚顔極まりない発言です。
 では一人当りGDPで見るとどうでしょうか。これも自分は指標としては不適格だと思います。これも高所得者層が現在の日本のように増えていってしまうと、どうしても数字が偏り全体の構図が見えづらくなります。まぁ労働分配率などで多少弄くればまだ見れたものにはなるかもしれませんが。

 まだマシなものとして、国連開発計画ではHDIという指標を使っているようです。これは、
  ①基礎医療の充実度を測る出生平均余命
  ②基礎教育の充実度を測る成人識字率と高等教育就学率、
  ③物価の違いを考慮に入れた実質購買力である実質所得
 の三つを計算した数値の事です。ちなみにこれの1位はノルウェーで、日本は13位に入ってます。

 何もこれに今すぐ変えろとはいいませんが、少なくともGDPで成果を現したり、なんでもかんでもの指標に使うのはやめて欲しいです。指標というのは重要で、問題を分析するのも改善するのもこの指標自体ともいえます。自分で言っていてなんですが、何故こんな当たり前の事を素人の私が言わねばならないのかが不思議です。

0 件のコメント: