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2009年4月6日月曜日

文章表現について

 毎日毎日こんだけだだ長い記事をこのブログで書いていてなんですが、私は文章というのは基本的に短ければ短かいほどいいものだと考えております。
 ちょっと数学、というよりかは算数的にこの意味を説明すると、たとえばある同じ情報を特定の人物に理解させるのに千文字使わなければならない人と百文字だけで説明できてしまう人を比べるのなら、誰が見たって百文字で説明できてしまう人の方が優れていると思うでしょう。実際に少ない文字数でなにかを説明するには多くの文字数を使う説明より要点や順序を筋立てることが要求されるため、文章的なセンスは千文字に比べて要求される度合いが高くなってきます。

 とはいえ、誰にでもわかりやすく説明するのに文字数が大いに越したことはありません。ここら辺が私もこのブログを書いていていろいろとジレンマになるところなのですが、短い方が文章的に優れているのは確かなので短く短くしたいものの、あんまりにも短く端折り過ぎると読者に要求する読解力のハードルも上げることになります。
 大分以前にも書きましたがこのブログは普段新聞やテレビで報道される情報よりややむずかしめの情報を扱うため、なるべくわかりやすく書く努力はしているものの自分でも意図的に読者へのハードルは高めに設定しており、意識レベル的にはちょっと説明がくどすぎやしないかというくらいの感触でいつも記事を書いています。

 しかしそんな風に毎日細かく書くもんだから、書いててやはりジレンマを覚えることがたまにあります。これは私の恩師のK先生の言葉ですが、文章がわかりやすいことに越したことはないもののやはり難しい問題や話題の場合は表現技法的には難しく書かなければその深い内容を表現し切れないものもあり、それらを無理やりわかりやすく書こうものなら結局は浅い範囲でしか内容を伝え切れないとのことで、まさにこのようなジレンマを感じているわけです。
 そうした私の心境を見抜いてか以前に友人から、「君、あのブログの文章は無理して余計に書いているでしょ」とはっきり言われたことがあります。

 それこそもし遠慮無用に自分が読んで理解できる範囲で記事を書いていいというのであれば、恐らくいつもの分量の三分の一くらいで私も記事を書き上げる自信がありますし、正直言ってそのような短い文章の方が記事全体の完成度の点で高いと思います。しかし文芸を追求するのあればともかく、あくまでこのブログは私の意見を世に問う、わかりにくい問題を読者に解説するという目的の元にあるため、そうした文章自体の完成度は捨て置いてわかりやすさと内容を第一に考えながら書いています。それでも友人の中には難しすぎてわからないと言う方も少なからずいるので私の技術もまだまだということなのですが、やっぱり時にはフルパワーで短く完成度の高い文章を書いてみたくなったりもします。

 ここで話は変わりますが、よくどうすればこのブログを毎日更新する位に文章が書けるようになるのか、どうすれば表現技法を高められるのかという質問が来ることがあるのですが、手っ取り早い一つの方法としてはまず自分が考えていることを文章に書き、それが書き終わるやその同じ内容を今度は二分の一の分量で書き、それが終わるとまた二分の一とどんどんと文字数を狭めていくのがいい方法だと思います。こうすることによってその文章の中で何が重要なのか、なにがあまり重要でないのかが峻別されていきますし、また少ない文字数、というよりはこの場合記号数で同じ内容を表現しなければならなくなるので自然と表現の選択も高級なものが求められるのでいい訓練になると思います。

 そういう意味で、現在の大学受験や就職試験などで求められる記述テストというのはかえって日本人の文章力を低下させてしまうものに思えて他なりません。このような試験の問題に「~を100文字以内で説明せよ」という風に書かれていたらまず90文字以上の文字数を埋めねば○をもらうことは出来ず、質問に対する正解の核心部見つけ出した後に言うなれば贅肉のような余計な文章を付け加えるような回答の仕方が大学受験などで定着しているように見えます。
 言ってしまえば質問に対する適切な回答というのは短くて済むのならそれに越したことはなく字数に制限をつけること自体ナンセンスですし、場合によっては短い回答の方がかえって優れていることもあります。そういう風に私は考えていた上に中学校時代に今思えばかなりヘボな文章力だったにもかかわらず、自分の方が文芸は上なんだと妙な意識があってそうした回答をし続けたために毎回の国語のテストは悲惨でした。

 聞くところによると遺伝法則の発見で有名なメンデルは、遺伝法則についての自説の説明をレポート用紙一枚で説明しきってアカデミーに提出したそうです。まぁ当時は評価されなかったけど。
 私にとって一番理想的な文章というのはまさにそういう文章なのですが、また今日も長々書いてしまったと思う辺りその前途はまだまだ遠そうです。

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