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2009年4月8日水曜日

麻生邸見学ツアー逮捕事件について

 先月から今月にかけての一ヶ月間、自分にしては珍しく大量に本を読んでいました。よく人から、「それだけいろいろ知っているのだからいつもたくさん本を読んでいるのでしょ」などということをよく言われるのですが実際には私は恥ずかしいくらい本をあまり読まない人間で、18歳くらいの頃に知り合った友人らの読書量と比べて自分が全然本を読んでいなかったのを我ながら呆れたくらいです。
 そんな自分が毎月読んでいるのは文芸春秋くらいなのですが、なんか体調が悪かったのも影響してかこの一ヶ月間は自分にしては大量の本をさばけたのでちょっと記録がてらに下記に羅列します。

・「文芸春秋四月号」(文芸春秋社)
・「徹底抗戦」 堀江貴文著(集英社)
・「日本の10大新宗教」 島田裕巳著(幻冬社新書)
・「<満州>の歴史」 小林英夫著(講談社現代新書)
・「未熟者」 藤川球児著(ベースボール・マガジン社新書)
・「関ケ原合戦・あの人の「その後」」 日本博学倶楽部(PHP文庫)
・「日本史ライバルたちの「意外な結末」」 日本博学倶楽部(PHP文庫)
・「ジャーナリズム崩壊」 上杉隆著(ジャーナリズム崩壊)
・「第三次世界大戦 左巻、右巻」 田原総一朗、佐藤優(アスコム)
・「排除の空気に唾を吐け」 雨宮処凛(講談社現代新書)

 四月十日にはまた文芸春秋の五月号が発売されるので、今日の段階で最後の「排除の空気に唾を吐け」を読み終えられたのがよかったです。まぁ量こそ十一冊ありますが、読みやすい新書ばかりなのであんまりたいした事はありませんが。
 さてこの中でどれが一番面白かったといえば個人的には上杉隆氏の「ジャーナリズム崩壊」がそうで、前から興味を持ちながらようやく今回手にとったのですが、記者クラブと日本のジャーナリズムの抱える問題についてこれほどわかりやすい本は今までになく改めて言論について考えさせられるいい刺激になりました。

 なのでこの本について延々と書いてもいいですが、実は今日の本題は上杉氏ではなく最後の本の著者である雨宮処凛氏についてです。私が雨宮氏を知ったのはこれまた今月に読んだ「第三次世界大戦 右巻」の中で、私も尊敬している佐藤優氏が田原総一朗氏との対談にて雨宮氏をべた褒めしているのを見てからでした。別に佐藤氏が批判してばっかであまり他人を誉めない人だとは思っていませんが、この対談本の中で雨宮氏への言及が明らかに他の人とは違って熱があり、そうして誉めているのを見て私も興味を持って上記の本を手にとったのですが、佐藤氏が誉めるだけあって「排除の空気に唾を吐け」にて雨宮氏が取り上げた内容は素晴らしく、是非この本は他の人にも読んでもらいたい本です。

 この本の大まかな内容は、去年末から問題になっている派遣切りに遭った人などといった社会的貧困者たちの生々しい現状です。ここ数年で餓死した人の生活記録や派遣難民の現状、そして私も知らなかったのですが池袋通り魔事件の犯人の経歴など、中には目をそらしたくなるほどの苦しい現実などが描かれており、これまでの貧困に対する自分の価値観も一気に引っくり返されるほどの迫力があります。
 その中でも特筆して面白いのは、作者の雨宮氏も是非しっかり読んでもらいたいと前書きで述べている「イラクで料理人として働いた安田純平さん」の章で、貧困と戦争がどれだけ密接に関係しているのか、今後の戦争がどのような形式になるのであろうかという面について非常に示唆に富んだ内容でした。

 そんな雨宮氏のことを佐藤氏は前述の対談本の中で、これまで統計上の数字でしか貧困を考えてこなかった自分らに対し雨宮氏はその目で見た現実や生の心境を話しているのがほかと違うところだと評していますが、私としても同じような感想を持ちました。その上で佐藤氏は続けて、実はここからが本番なのですが下記にリンクを貼った動画を是非見てください。

10/26 麻生邸宅見学に向かおうとしたら逮捕(youtube)

 この動画は総額62億円もの麻生首相の自宅を一度見に行ってみようと有志らが企画してあらかじめ渋谷署に確認を取った上で見学ツアーを行ったところ、突然路上で主催者ら三人が逮捕されることとなった顛末を収めた動画です。見てもらえばわかりますがそれこそ何の前触れもなく突然、しかも路上にて逮捕されることとなった方らが無理やり組み伏せられており、それこそ何かの映画の撮影かとも見まごうかのような強引な逮捕の仕方です。しかもツアーを行っていた方らは別に街宣車を繰り出しているのでもなければ手に鉄パイプなどといった凶器を持っているわけでもなく、詳しい経緯を説明している「麻生でてこい!!リアリティツアー救援会ブログ」で公開されている渋谷署との違法性の有無を尋ねる動画を見るにつけこれほどの逮捕劇が繰り広げられる理由が浮かびません。

 佐藤氏も何故この事件をマスコミはどこも取り上げないのだと激しく憤っていますが、なんでもこのツアーに関わっていた雨宮氏から佐藤氏へと事件直後に連絡があって、佐藤氏経由で鈴木宗男氏や亀井静香氏らが逮捕者の解放するようにと動き、それらが影響したかはどうかはともかく逮捕者らはその後無起訴で釈放されたそうです。こう書いている自分も今の今までこんなことがあったなんて全く知らず、いつの間にか日本はやりづらい国になったのだといろいろな意味でショックを受けました。

 自分は別に警察や公安が市民の味方だと本気で信じているわけではありませんが、今の今までここまで露骨にやってくるとは思ってもいませんでした。他の方らもいろいろ述べていますが、一体今はどんな時代なのかと考えさせられた事件でした。

3 件のコメント:

匿名 さんのコメント...

たびたび興味深く読ませてもらっています。今回の西松建設に関わる検察の動きや貼付されていた動画などを拝見すると、日本は自分たちが思っているほど、民主主義的な国ではないのかもしれませんね。他に、上記の事件と似た事例としては、共産党の党員がマンションなどに、ビラ配りをしていたら、不法侵入として逮捕されたことがありました。そもそも、デモをするとなると事前に警察に届け出が義務付けられていますし、おそらく氏名なども伝えないといけないわけで、非常にやりにくい状況にあったりします。いつのまにか、様々な権利が制限されている状況にあると思います。

花園祐 さんのコメント...

 コメント、ありがとうございます。
 私もここ十数年の間で随分と日本は抗議やデモ活動といったものが制限されるようになってきたと思います。これはあくまで私の実感なのですが、それこそ全共闘の時代のようなことをもし現代でやるとしたら、逮捕どころじゃ済まない気もします。

 日本に元々民主主義があったとは私は考えていませんが、思想や活動の自由という面ではあながち中国を笑えないところまで来ているんじゃないかとまでこの頃は感じています。

匿名 さんのコメント...

そうですね、私も日本は以前は民主主義的な国であったとは考えていません。ご返答ありがとうございます。