2010年4月15日木曜日

ダブルスクールについて

 以前商学部出身の友人に、こんな事を聞いてみました。

「あのさ、もし仮に俺が君に会社の設立から登記を今ここで頼んだらすぐできるかい?」
「いや、無理だって」
「でもさ、君の専門って商学部だろ。会社の設立手続きが大変なのは分るしこういったことは本来行政書士の担当範囲だから法学部のものかもしれないが、商学部を卒業した人間が会社の設立法を知らないってなんだかおかしな話じゃないか?」
「じゃあ逆に君だって社会学科の出身だけど、何か社会調査をすぐにやれる?」
「いい加減なものならともかく、SPSSを駆使した立派な調査報告書を作れって言われても無理だね」

 友人の名誉のために言っておきますが、この友人は非常に勉強熱心で多方面の知識に富んでいる立派な人間です。それにもかかわらず商学部で学んでいながら会社の設立法が分からないというのは、彼の個人的な資質以前に大学がきちんと教えるべきことを教えないゆえだと私は考えております。

 普通に考えるならば、企業の運営法を学ぶ商学からすると会社の設立の仕方は基礎的に学ぶべきものだと思うし、商学部の人間でないなら一体誰がそういったことを勉強するのかと思います。しかし私の友人に限らず、商学部を卒業する大半の人間は会社の設立の仕方なんて全く知らないどころか下手すりゃ基本的な会社法の知識すら危うい人間も数多くいるかと思います。

悲しい事に、これは商学や社会学に限らずどの文系学部学科においても言える内容です。一応それぞれの学科ごとに専門性は分けられているものの、その分野の勉強において必要とされる基礎的な内容は置き去りにされたまま、結構枝葉末節な部分をそれぞれで研究する事になったりします。私もあまり他人のこといえないけど。

 どうも大学の講師陣たちから話を聞いていると、学部生にそんなところまで求めたらにっちもさっちも行かないので、まともに教えるのは大学院生からだという風に割り切っている人が多いように思えます。確かに講師陣がそう思いたくなるほど大半の日本の学生が無気力であるのは私もまだ理解できてしまうのですが、これだと可哀想な事になるのは真面目に勉強したいと思っている学生達です。

 そんな状況を反映してか、このところすっかり珍しくなくなったのは大学に通いながら予備校に通うという、大学生のダブルスクールという行為です。近年の大学生は資格取得を目指して大学入学とともにそうした資格専門の予備校に通う人間が多く、私の友人らも就職を意識し始める三回生頃から急に公務員資格の予備校に通い出していました。
 もちろん大学は資格取得のための場ではないし専門分野だけ学ぶ場所でもありません。しかしあまりにも空辣なことばかりを教え過ぎて、社会に必要とされる人材を送り出す教育がないがしろにされているのも事実だと思います。

 これを話すと非常に長くなるのでやめますが、そもそも資格という言葉と権威が大氾濫し過ぎている今の社会も問題があると感じます。とはいえ大学に通いながら別に予備校に通うというのも無駄にしか思えず、もう少し大学もそれぞれの専門分野ごとに実学的な知識を教育してくれればと感じます。

 もっとも、こんなこといいながら一回生の頃は調査法ばかり教えられて、もっと理論を教えやがれと講師に楯突いたことがあるのですが。

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