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2010年6月2日水曜日

鳩山首相の辞任について

 昨日にあんな記事を書いておきながら誠に恥ずかしいのですが、本日鳩山首相が辞任する事を発表しました。私は当初、もし鳩山首相が辞任するとしたら沖縄普天間基地移設に関して談話を発表した際だろうと考えており、その談話時に続投を表明したのだし、昨日の記事で書いたような背景もある事だから参議院選挙までは続けるだろうと予想しました。しかしその談話から一週間も経たない今日のうちに辞任をするとは、報道を見る限りだと野党の議員らも含めて各方面にとっても意外だと受け取られているそうです。

 それで今回の鳩山首相の辞任についての評価ですが、選挙戦を戦う上では辞任しないよりは遥かにいい決断なのは間違いないでしょう。どちらにしたって次回の参議院選挙は神風でも吹かない限りは民主党が敗北することが目に見えていますが、その敗北のダメージを少なくする上では遅れたとはいえまずまずの判断です。また今回辞任するに当たって同じく兼ねてより批判を受けていた小沢氏も幹事長職から一緒に辞任させ、早くも「次回の総選挙には出馬しない」と、今任期限りの政界引退を発表したのも悪くありません。
 特に、鳩山首相自体を私は評価していませんが、今回の辞任を理由にすでに七月十一日に投票が予定されている参議院選挙を引き伸ばさなかったのは麻生政権と比較すれ好感がもてます。恐らく先の政界引退発表といい、本人も麻生政権との対比を狙っているかと思いますが。

 鳩山首相の後継については現時点で菅直人氏が立候補を表明していますが、仮に対抗馬が出るとしても順当に行けばやはり菅氏がなると私は思います。新鮮さ、クリーンさという意味では枝野氏、仙石氏が上ですが、どちらもやや地味な印象は薄く党としての看板であれば知名度がある菅氏の方が有利かと思われます。また菅氏に負けないほどの知名度と来れば前原氏がおりますが、彼には未だに「永田偽メール事件」の禊がまだ続いているように思えるため今回は無理かと思います。

 今回の突然の辞任劇について現在各報道機関は辞任に至った経緯についてあれこれ想像を巡らせて報道しており、小沢氏が引導を渡したとか、かつての細川元首相同様に本人が唐突に言い出したなどとされていますが、昨日に大外れしておきがらまたも私の予想を書かせてもらうとやはり県外移設を断念した時ではないかと考えております。

 もう出し惜しみしても仕方ないのでまとめて放出しますが、鳩山首相は我々が考えるよりずっと長期的視野を持っていたと仮定すると、鳩山首相は初めから沖縄の米軍基地の県外移設はほぼ不可能と認識していながらも敢えて「五月末決着」を打ち出したのではないか、という仮説をこの前立てました。一体何故不可能と睨んでいる外交交渉を敢えて期限を切った上に啖呵を切ったのかというと、単純に社民党を連立に組み込み続けるためだったからではないかと思います。

 理屈はこうです。民主党としては去年の総選挙で勝利した頃より米軍基地の県外移設はほぼ不可能と見ながらも、敢えて県外移設を掲げる事で社民党を連立に囲い込み、彼らがいる間に自分達が通したいと考えているマニフェストに掲げた子供手当てや高校無償化といった政策を議会で通過させようとしたのではないかというわけです。五月末という参議院選挙も間近に迫るこの時期にまでアメリカとの交渉を先延ばしにしたのも、今国会で社民党を今国会就盤まで出て行かせないために打ち出したのではないかと、やや飛躍した考えである事は承知ですがこのように考えました。

 実際に今国会はかつての自民党もびっくりなくらいに強行採決が続き、民主党が目玉として掲げていた政策は高速道路無料化はともかくある程度は通過し、実施されるようになりました。ただ国民新党が力を入れていた、私が反対している郵政改革法案については昨日の徹夜国会の頑張りもむなしくこの分だと流れてしまいそうです。民主党としてももう国民新党に気を使う必要がなくなったのでしょうかね。

 さらにさっきの仮説に立って鳩山首相はこの時期の国会運営をどのように想定していたのかというと、またも飛躍した予想をすると社民党が連立から離脱するのは仕方ないとしても、これまでに通過させ、実施してきた子供手当てなどの法案がもっと世間から支持されて、たとえ県外移設を断念しても選挙で戦えるという甘い考えを持っていたのかもしれません。しかしこの沖縄の問題が想定以上に支持率低下や批判を集める事になり、選挙も完敗する可能性が見えてきた事から今回辞任したという、本当にこれだったら無責任もいい所だけど。

 最後にいい訳をすると、今日ここで書いた内容は根拠もないのにかなり大胆な予想も含まれていて、私自身も本気で信じているわけじゃありません。ただこうした大胆な予想というものは当たらずとも何かしら世間の動き、各プレイヤーの思惑を考える上で取っ掛かりとなる事が多く、読者の方の一助になればという考えからこの際書く事にしました。どうか多めに見てください。

2 件のコメント:

SOFRAN さんのコメント...

私も、鳩山首相は粘り強く頑張り辞任はないだろうと考えていました。6月2日の午後に人伝えに鳩山首相・小沢幹事長W辞任を聞いた際は、思わず「えっ」と叫んでしまいました。 花園さんのご意見では、鳩山氏は当初から沖縄の米軍基地の県外・国外移転は実現可能とは考えていなかったとのことですが、私は、逆に本気で考えていたのではと推理します。両議員総会の発言の中で「ただ、私は本当に沖縄の外に米軍の基地をできる限り移すための努力をしなきゃいけない、その思いで半年間、努力をして参りましたが、結果として県外にはなかなか届きませんでした。」とのくだりで、こみ上げるものがあったのか、その眼にはうっすらと涙が浮かんでいました。
 その前の発言でも、「日本の平和、日本人自身で作り上げていく時をいつかは求めなきゃならないと思います。アメリカに依存し続ける安全保障、これから50年、100年続けていいとは思いません。」と述べています。はっきり言って戦後65年こんな発言をした首相はいなかった。ここまで踏み込んだ意見を述べるとういうことは、それだけの思いがあるという証しだと解します。
 しかし、鳩山氏個人の思いはそうであっても、実際は5月28日の日米共同声明で、普天間基地の辺野古移転(現行案とほぼ変わらず)が盛り込まれました。これが、現実、民主党の限界、大きく出れば【2010年 日本の敗北】でした。
 かつて中曽根康弘は、鳩山由紀夫を評して「友愛なんて甘いソフトクリームなんてすぐ溶けてしまう」と揶揄しました。理想的言辞を述べるのは容易だが、実際にそれを実行、具現化することは非常に難しい。事実、私も口だけですし。
 この拙い文章を読んでくださったなた、どうでしょうか、鳩山氏の発言は信用できず、額面通りには受け取れないでしょうか?また、普天間問題、日米関係についての持論があれば、ぜひ、コメントしてください。
 
 
 

花園祐 さんのコメント...

 ま、私もここで書いた内容は鳩山前首相が社民を引き入れ続けるために交渉を延ばしたのでは、という可能性を書いただけで本気で信じているわけじゃありません。

 本当の所を言うと、恐らく鳩山前首相はSOFRANさんの言う通りに本気で沖縄の米軍基地県外、国外移設を行おうと当初は思っていたのだと思います。ただこの人の性格として、その本気で思う内容がコロコロ変わる、故事成語で言うなら朝三暮四を絵に書いたような人なので、その本気だった期間はそんな長くなく、時期的には「勉強して行くうちに米軍基地の重要性がわかってきた」と言い出したあのあたりで国外移設はあきらめ、徳之島の反対を受けて県外移設もあきらめたんだと思います。

 年寄り臭い言い回しですが、論語に、「出来もしない事は初めから口にするな」という一説があります。また政界用語でできない事を敢えて大口叩いて注目を浴びようとすることを「勧進帳を読む」と言うそうです。たとえどれだけ熱意を持っているにしろ、発言の思い政治家が出来る公算のない内容をあれだけ口にするのは、やっぱりどうかと私は思うわけです。