2011年1月11日火曜日

寿命の尽きない時代に向けて その二

 昨日の記事に続き、技術が発達して不老不死が実現する世界について考察を行います。

 昨日は不老不死のうち不老のみ実現したらという仮想のもと、人体のサイボーク、クローン化が行われる世界について考えてみましたが、これとは逆に老化はありうるけれども不死である世界についてはあまり考察する必要がないかと思います。何故かと言うと不老ではないけれども不死になるということに魅力を感じる人間が多いとは思えず、よっぽど酔狂な人か脳味噌単体となってでも知識を集めたがる人でない限りはこんなことしようと思わないでしょう。
 それでは今日はどんな場合を想定するかですが、いよいよ本番というべきか不老不死が完全に実現する世界についてです。

 昨日の記事でも書きましたが人間は恐らく文明を持つ以前からこの不老不死というテーマについてその思考をめぐらしてきたことだと思います。不老不死が当たり前なギリシャ神話の神々はもとより日本においては人魚伝説と組み合わさった不老不死の八百比丘尼の話や、古事記において食べると不死身になれる常世の実を探しに行くスクナビコナ(都市伝説の小さいおっさんとは彼のことだろうか?)の話など不老不死に関する話は枚挙に暇がありません。

 そういった不老不死が出てくる話で最近に私が読んだというかはまったのに、漫画家の弐瓶勉氏による「BIOMEGA」があります。現代漫画家の中ではハードSFを描かせると恐らく右に出る人はいない弐瓶氏ですが、基本的にこの人の漫画の主人公や登場人物は不老不死であるのが当たり前で最新作の「シドニアの騎士」でも数百歳の人物がごろごろ出てきますが、今回取り上げたい「BIOMEGA」では最高で600歳、次点で300歳の人物が出てきます。どちらも医療技術の発達を受け延命手術を行いつつ生き続けているのですが、作中ではさらに効率的で無限に生き続けられる可能性を持つ技術が見つかったことからいろいろと抗争が激しくなっていき、その技術に対して対立する二人が以下のような会話を行う場面があります。

「無限に人が生き続けても、星が人で溢れ返るだけだ」
「人口抑制こそが、人類の理想形だ」

 ちょっと原作が手元になく上記の台詞は私の記憶によるもので不確かですが、不老不死が実現する世の中について実に的確な一言だと思って最近あちこちに聞かせまわっております。
 不老不死が実現するとなると単純に人口が爆発することとなります。現時点ですら医療技術の発達、防疫の普及によって地球が持つ資源以上に人間が溢れてしまって(先進国並みの生活が世界中で行われたら資源が持たない)いますが、不老不死が確立されるのであればそういった資源がどうとかと言っている場合じゃ済まないでしょう。そのため不老不死が実現するとなれば必然的に、その不老不死の処置を受けられる人間を限定するか人間の生殖を厳しく制限して人口を抑制せざるを得ません。

 可能性としてありうるのは前者の不老不死処置者の限定の方で、先ほどちょこっと書いた「シドニアの騎士」では特別にそのような処置を受け続けられる「不死の船員会」というメンバーが出てきますが(っていうか、そいつら以外はほぼクローンで光合成するし)、社会的に重要な地位や役割を果たすもののみ、場合によってはその処置を受けられるだけのお金を持っている人間に不老不死技術が独占される可能性が高いと私は見ています。私自身はそれほど魅力を感じないので気にしませんがこれだと中には反感を持つ人も出てきて、不老不死者に対してむやみやたらな攻撃が加えられたりするかもしれません。
 また単純に適者生存というわけじゃありませんが、そのような不老不死処置者の選定において恐らく重要視されると思われる要素として遺伝子が挙げられて来ます。サラブレッドじゃありませんがより優秀な遺伝子を残すことで人類の質を向上させようという考えが浸透するかもしれません。これは不老不死までは行かずとも、世界人口が深刻なほど膨張した際にも生殖の限定方法として使われる可能性があります。

 ただもし人類がそれこそ宇宙内でも活動できるようになったり、無尽蔵なエネルギーを得られた場合は案外簡単に人類全体が不老不死化するかもしれません。それはそれで結構かもしれませんがもしそうなった場合に私が想像することとしては、殺人や事故死といったものへの忌避感が極端に高まるのではないかと思います。
 それこそ脳味噌吹っ飛ばされても蘇生が可能になるまで技術が高まるのであれば話は違いますが、不老不死者が死ぬとしたら殺人など外部的要因に限定されるようになればその死への恐怖は今以上に劇的に高まることでしょう。となるとどうなるかですが、やはり起こるとしたらそういった殺人をやらかしそうな人間を徹底的に淘汰するのではないでしょうか。それこそちょっとした行動や発言、もしくは過去の殺人者の傾向と一致する人間を見つける傍から徹底的に隔離、排除する密告社会化していくような気がします。それがいいかどうかは別として。

 私自身は人生は細く長くよりも太く短くを信条としており、二十歳くらいまでで生きれれば御の字だと思うほどだったのでこの不老不死にはまだそれほど歳がいっていないのもあるでしょうがあまり魅力は感じません。ただ興味があろうとなかろうと現実に人間の平均寿命は伸び続けており、今後もさらに伸びることを考えるとこうしたテーマについて何かしら準備というか考える必要があるだろうと思ってこうして書いてみることにしました。見る人にとってはほかの記事よりもつまらないと感じられるかもしれませんが、たまにはこういうのを書かないと思考が現実側に偏ってしまうので……。

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