2011年2月9日水曜日

漫画家の北条司氏について思うこと

 私が現役の漫画家の中で個人的に最も高く評価をしているのは、「シティーハンター」を代表作として持つ北条司氏です。

 「シティーハンター」自体がもう大分昔の作品なのでもしかしたらどんな作品かわからない方もいるかもしれませんが、多分私と同い年くらいの人間なら夕方五時半からよくやっていたアニメの再放送などで見ていた経験があるかと思います。内容については主題ではないのここではあまり解説しませんが、一回このブログにて「男がかっこいいと思う男性キャラクター」というテーマで記事を書こうとした際にまず真っ先に思い浮かんだのがこのマンガの主人公である冴羽獠でした。結局この企画はほかに出てくるのが「ルパン三世」のルパンくらいだったので企画倒れとなってしまいましたが。

 私はこの「シティハンター」を幼児ながら当時同じジャンプで連載されていた「ドラゴンボール」を読む傍ら、放映されていたアニメとともによく読んでいました。とはいってもさすがに幼児の時分で後年になると大まかなあらすじは知っているものの内容についてはほとんど覚えてなかったのですが、大学生時代にブックオフ内で古本が売られているのを見つけ、思うところがあって改めて単行本を買い集めて改めて読んでみたところ、あの「もっこり」という表現を始めとして暗殺などを生業とする主人公が出るなど、よくこんな大人向けのマンガがジャンプで連載されていたなと感心するとともに、そんなマンガを幼児であった自分も楽しんで読んでいたという事実に驚きました。
 その上である程度年齢の乗った状態で読み返してみると、子供の頃にはわからなかった部分がわかるようになってか当時とは違った感覚で読み返すことが出来ました。また買い集めた単行本を部屋に置いていたところ私の部屋に遊びにくる友人らがことごとく見つけては、「シティーハンターや!Σ(゚∀゚ノ)ノ」といっては勝手に読み出し、私の部屋の漫画本の中では「鬼切丸」を越えて貸し出し回数No.1でした。

 北条氏のマンガの特徴を挙げると、何を置いてもまず描かれるキャラクター絵の秀麗さに尽きます。デビュー作の「キャッツアイ」を始めとして女性キャラクターを描かせたら天下一品だとよく言われていますが、私は女性キャラクターももちろんのこと男性キャラクターにおいてもそれぞれの特徴がしっかりと現れているので注目に値するかと思います。
 その上で私なりの着目点を述べると、北条氏のマンガは写実的な背景など現代世界を舞台にしていることが多く、頭身が高くデフォルメの少ないキャラクター絵とあいまってほかのマンガと比べてテレビドラマや映画のような観点で読めるものが多いです。このような現実感の強いマンガは北条氏に始まるわけでなく、それ以前にこちらも私が大好きな池上遼一氏のマンガでも展開されていますが、少年漫画においてこれほどまでスタンダードを作ったという意味では北条氏の功績は高いかと思います。

 さらに言うと、これは私も最近知ったのですが北条氏のアシスタント経験者には「スラムダンク」の井上雄彦氏、「BØY」の梅澤春人氏がいたらしく、二人とも北条氏同様に現代世界を舞台に頭身の高いキャラクターが出る作品を多く書いているだけにそれぞれの初期の作品には北条氏のマンガの匂いがします。両者ともに90年代中盤のジャンプを引っ張る連載作品を出しているだけに良将は良兵を生むといったところですが、どっちももう大御所といっていいくらいの大物なのでこの言い方は失礼かもしれません。

 これは漫画家に限るわけじゃないですが、後藤新平ではないですが人を評価する上でその人物がどれだけの仕事を成し遂げたということよりも、どれだけ後世への影響を与えたかで見るべきだと私は考えています。90年代最大、というより日本のマンガが始まって以来の最大のヒット作は間違いなく「ドラゴンボール」ですが、良くも悪くも「ドラゴンボール」はあらゆる点で突き抜けていたためにその表現技法などを引き継いだ漫画家はほとんどいないのではないかと見ています(しいて挙げれば尾田栄一郎)。
 それに対して北条氏ですが、私は現代の少年漫画は多かれ少なかれ彼の影響を受けているのではないかと考えています。北条氏の後進の漫画家が活躍していることもそうですが、マンガの技法やストーリー展開などで地味に強い影響力を残しているのではないかと思います。

 もちろん厳密にみればもっと影響力の強い漫画家がほかにもいるでしょうが、北条氏を「シティーハンターの漫画家」ではなく、「少年漫画に一石を投じた漫画家」として見てはいかがかと思ってこうして記事にまとめました。

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