今日たまたまYahooの知恵袋を見ていたら、世界史上で誰が一番権力を持っていたのかという質問があり、その質問者の方は候補としてインノケンティウス三世を挙げてる辺りはなかなか見識あると感じました。これに触発されたこともあり、世界史だと範囲が広すぎて定義も難しいと感じるので、今日は日本史上で誰が最高権力者だったと言えるのか幾人かの候補を上げようと思います。
1、足利義満
もはや説明するまでもなく室町幕府の最盛期を築いた義満ですが、あまり知られていませんが彼は太政大臣と征夷大将軍の官位を確か初めて同時に得た人物でもあります(後世では家康もGETしてる)。将軍在世時は南北朝の統一を果たしたほか有力守護大名を次々と滅ぼし、また幕府直属の奉公衆(親衛隊)を創設するなど圧倒的な権力を握り、その権力範囲は武士としては歴代ナンバーワンではないかと思います。
ただ逆に義満がそれほど圧倒的な権力を握ってなんでもかんでも決定していた反動からか、彼が逝去すると次代の足利将軍はどれも指導力をいまいち発揮できずズルズルと没落していくこととなります。人間強すぎると周りが駄目になってしまうという典型かもしれません。
2、白河上皇
こちらも有名どころでおなじみの「治天の君」ですが、白河上皇については鴨川の流れ、サイコロの目、山法師(僧兵)の三つだけが思い通りにならなくて「天下三不如意」という言葉とともに語られますが、逆を言えばこの三つ以外は自分の意思でどうとでもなったと在世時から言われたほど強い権力を持っていたとされます。かつて権勢をほしいままにした摂関家の切り崩しに成功しただけでなく、後代の天皇たちですら従うほかなかったとされ、寄進された荘園の量も半端なかったそうです。
白河上皇に限るわけではないですが、この記事書いてて思うのは日本における権力の源泉はやっぱり天皇で、その天皇を裏から操ることが時の政権担当者の必須事項だったと言えるのですが、この白河上皇は元天皇である上に現役の天皇を無視して院宣を出していた当たり、権力の源泉たる天皇を上回るというパワフルぶりだなと言える気がします。
3、天武天皇
歴代天皇で誰が最も強い権力を持っていたかとなると、それは誰がどんな異論をもって来ようとも私の中では天武天皇で揺るぐことはないでしょう。天武天皇は甥の大友皇子と戦った壬申の乱に勝利して天皇についたため、旧来の豪族を大友皇子と共にまとめて駆逐できて彼一人でなんでもかんでも決済出来たと言われています。
実際に「天皇」という言葉を公式に用い始めたのも天武天皇だとされ、また日本初の貨幣である「富本銭」も天武朝に発行されたとされるだけに、日本の皇室は実質的に天武天皇から始まったと言えるのではと密かに考えています。むしろ、天武天皇以前は本当に天皇家が日本の最高権力者だったのか、本当は蘇我氏だったのではと疑問に思える節もあるだけに、皇室の歴史は天武天皇からというのが私の中の掛け声です。
4、マッカーサー元帥
一応前に三人の候補を挙げましたが、真の意味で日本史上最高の権力者といったらこのマッカーサー元帥を置いて他ならないでしょう。強大な米軍をバックに議会や憲法すら無視できるほどなんの法律的拘束もなく、余計なこと言う旧臣もなく、果てには天皇すら言うことを聞かざるを得なかったなど、どこをとってもまさに天井知らずです。実際、彼が日本にいた頃は会社内とかで指示する際によく、「マ元帥の命令である」なんて冗談が飛び交ったと聞きますし。
よく業界ごとの最高権力者のことを、「○○会の天皇」などと表現することがありますが、「○○会のマ元帥」なんていう人はいないのかな。
最後に一応補足しておきますが、明治以降は議会政治が成立したこともあり、歴史を跨ぐような最高権力者と呼べる人間はそれ以前と比べていなくなったと言っていいでしょう。曲がりなりにも議会に従わなければならない以上、やはり権力が制限されています。
強いてあげるなら永田町の闇将軍こと田中角栄が議会制の中では特段大きな権力を持っていたと言えるでしょうが、民意も議会も党も全部無視して推し進める権力者は出て来れない以上、やはり昔とは違うってことです。
4 件のコメント:
日本近代史上、最高権力者に最も近づいた人物に近衛文麿も入るのではないかと思います。
もし近衛に政治的手腕があったなら、独裁者として日中戦争を止めることができたかもしれません(スペインのように権威主義体制が戦後もしばらく続いていた可能性もあると思います)
あと中国の軽自動車について取り上げて頂きありがとうございました。
現代では権力が分散されて、最高権力者は出にくくなっていますが、逆に特定の分野・範囲においては、
最高権力者なみの権限をもった人間も出てきます。権限が通用する範囲が狭いだけで、その範囲の
中では皇帝なみの権限を持つ人間もいます。
例えば山形県には服部敬雄というメディア王がいます。 彼の権力の大きさを表す言葉に
「服部敬雄は天皇だが、板垣は総務部長だ」という言葉があります。
板垣とは当時の山形県知事である板垣清一郎の事です。
近衛文麿、おっしゃる通りで見事なご指摘です!
彼は政・官・財・市民(+皇室)から嘱望されて総理大臣になっており、議会制民主主義下であれば日本での史上最高の権力者に近かったと確かに言えるかと思います。いい補足となり、助かります。
中国の軽自動車市場はあまり大したことは書けませんでしたが、今後も何かリクエストがあればお気軽にご連絡ください。
前ほど露骨に見えるわけではないですが、業界ごとであれば圧倒的な権力者は未だに根強いですね。地方メディアは都市部の人間が考える以上に強力な権力を持っているとは聞いておりましたが、山形県だと知事よりも力があるとは初耳でした。岐阜県の美濃加茂市長の問題といい、地方政治があまり発達しないのはこういうところに原因があるのかもしれませんね。
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