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2016年5月25日水曜日

リクルートスタッフィングのマージン率一覧

 なんか前置き書くのもどうかなと思いますが念のため書くと、去年に引き続き今年一月にも私は派遣業界のマージン率調査を調査し、その結果をまとめた上でこのブログにアップロードしました。

人材派遣業界のマージン率とそのデータ 2016年版

 ただネット検索の影響からか今でも閲覧数では2015年版の記事のが多くて書いてるこっちとしては少し「なんやねん」と言いたい気持ちもあるのですがそれは置いといて、今年の調査では大手とされる派遣企業へ直接メールを出して直近のマージン率データを寄越すよう要求しましたが、初めからホームページ上で公開している会社を除き、一部の会社は素直にデータを出してくれたもののほとんどの大手は返答すらよこしてくれず実に不愉快な思いをさせられました。特にスタッフサービスさんに至っては去年は遠まわしな拒否だったものの返答はしてくれたのに今年は完全に無視してくるという対応でした。何か、ブラックリストに載せられたのだろうか。

 そういった全く返答すらよこさなかった会社の中には就職支援でおなじみのリクルート系列の派遣会社、リクルートスタッフィングも含まれていたのですが実は今回、さる協力者の支援を受けてリクルートスタッフィングの全事業所マージン率データを手に入れちゃいました。そもそもマージン率データは改正派遣法に、「ネットなどを活用して公開するように」と定められているデータであり、今回私が手に入れたデータも広く世間に公開した所で後ろ指を指されることがない、むしろ現時点で既に公開されてあるべきデータであるため、余計な遠慮なくどどんと以下に引用させてもらいます。

<リクルートスタッフィングの各事業所マージン率関連データ>

データ対象企業:株式会社リクルートスタッフィング
データ対象期間:2014年4月1日~2015年3月31日
事業所数:31拠点

拠点名
派遣人数
(1日平均)
派遣先数
労働者派遣に
関する料金の
平均額(8時間)
派遣労働者の
賃金の平均額
(8時間)
マージン率
札幌事業所
290人
357件
12,196円
8,883円
27.2%
秋田事業所
58人
81件
11,862円
8,624円
27.3%
盛岡事業所
45人
65件
12,094円
8,636円
28.6%
仙台事業所
436人
594件
13,452円
9,538円
29.1%
高崎事業所
82人
165件
14,327円
10,230円
28.6%
水戸事業所
63人
98件
14,642円
10,499円
28.3%
宇都宮事業所
63人
126件
14,804円
10,703円
27.7%
郡山事業所
36人
76件
12,593円
8,762円
30.4%
つくば事業所
111人
150件
14,896円
10,844円
27.2%
さいたま事業所
396人
596件
15,877円
11,514円
27.5%
千葉事業所
87人
171件
13,663円
9,998円
26.8%
船橋事業所
126人
200件
15,971円
11,704円
26.7%
幕張事業所
155人
193件
14,411円
10,581円
26.6%
銀座本社
12097人
9797件
18,420円
13,691円
25.7%
新宿西口事業所
2457人
2326件
17,475円
12,935円
26.0%
立川事業所
358人
347件
16,651円
12,307円
26.1%
横浜事業所
952人
1018件
17,171円
12,728円
25.9%
みなとみらい事業所
15人
77件
23,250円
16,133円
30.6%
厚木事業所
162人
229件
16,162円
11,832円
26.8%
藤沢事業所
95人
148件
16,132円
11,796円
26.9%
静岡事業所
123人
197件
13,951円
9,972円
28.5%
浜松事業所
85人
124件
14,427円
10,357円
28.2%
豊田事業所
108人
19件
24,051円
11,869円
50.6%
名古屋事業所
1154人
1499件
15,564円
11,395円
26.8%
梅田事業所
2538人
3111件
15,805円
11,672円
26.1%
京都事業所
220人
282件
13,940円
10,310円
26.0%
神戸事業所
229人
341件
15,145円
11,296円
25.4%
広島事業所
105人
191件
13,710円
9,921円
27.6%
福岡事業所
607人
991件
13,183円
9,470円
28.2%
北九州事業所
153人
129件
11,998円
8,813円
26.5%
長崎事業所
26人
47件
13,833円
9,922円
28.3%

 北朝鮮近くに先週行って以来、腹パンされたら一発でゲロ吐きそうな状態がずっと続いているのでここでもう書くのをやめてゲームしたいところですが、データだけ見てもピンとこない人も多いだろうしもうちょっと頑張って解説します。

 まずデータ全体を見て感じた点としては、マージン率は比較的低い方かなという印象を覚えます。今年の業界調査データ平均(29.3%)をほとんどの事業所で下回っておりほかの大手と比べてもいくらか低めの水準に見えます。
 ただその一方、派遣料金と派遣賃金も業界全体の平均(派遣料金:16,509円 派遣賃金:11,457円)と比べると低めで、マージン率は基本的に派遣賃金と連動することから、リクルートスタッフィングが良心的なマージン率を敷いているというよりは低料金低賃金の派遣を数多く行っていることからこのようなデータとなったと見るべきでしょう。

 そんなリクルートスタッフィングのデータ中、ひときわ目を引くのが赤字で太字にしてある豊田事業所のデータです。事業地から察するにエンジニアなどの技術者派遣中心の事業所とみられ、派遣料金も24,051円と他の事業所を大きく上回る一方、マージン率も50.6%と極端に高くなっております。なお今年の業界調査での最大マージン率は51.0%で次点が48.5%だったことから、仮にこのデータが今年のデータに入っていればマージン率上位二位に入ったことでしょう。
 先程にも述べた通り派遣料金とマージン率は連動しており、どちらかが高ければどちら家も高くなるという明確な相関がみられます。なのでリクルートスタッフィングの豊田事業所もマージン率が高い分だけその分派遣料金、ひいては派遣賃金も高いと言える……のかどうか、検証できてしまう辺り我ながら恐ろしいデータ作ってあんなって気がしてなりません。

 早速今年一月に作ったデータを見直してみるとおあつらえ向きに技術者派遣の雄、メイテックが「豊田EC」という事業所を抱えており、そのデータと見比べてみました。

<株式会社メイテック 豊田EC事業所>
派遣人数(1日平均):144人
派遣先数:22件
労働者派遣に関する料金の平均額(8時間):38,569円
派遣労働者の賃金の平均額(8時間):20,899円
マージン率:45.8%

 以上の様に、メイテックの同じ豊田市の事業所のほうが派遣料金がリクルートスタッフィングより高いにもかかわらずマージン率が低いという、「こいつはニュースだ!」と言いたくなるようなおいしいデータが出てきました。ってか冷静にリクルートスタッフィングのデータを事業所同士で見比べると、豊田事業所は派遣料金高い癖に派遣賃金はほかの事業所とどっこいどっこいですね。

 真面目な話、こんなデータ見てしまうとリクルートスタッフィングの豊田事業所で派遣を受けている人はほかの派遣会社に移籍した方がいいんじゃないかとすら思えてきます。あの辺りだったら技術者派遣を専門とする派遣会社もたくさんあるんだし。
 っていうかほかの事業所でも、大量の低料金派遣で全体平均を下げているだけで、比較的高価格な派遣契約者なんか大丈夫なのと、ちょっと心配になるデータだというのが私の見解です。

4 件のコメント:

おっさん労働者 さんのコメント...

いつもちょこちょこ記事を拝見させていただいております。
この記事もなかなかのインパクトはあるかと思いますが、以下のリンクの会社はもっとひどい。

https://www.trust-tech.jp/corporate/margin.pdf

全社平均でマージン率50%越え、かつ60%近いところもあります。
確かにマージンはある程度は必要悪な面はあると思っていますが
このマージン率は全く言い訳の仕様もないブラックだと思いますね。


PS、エイジスさんは私も近畿地方でしたが15年近くほど前にバイトをしていた記憶がw
確かに記憶はしっかりしていましたし、夜間に大規模小売店の棚卸しをしていたのも同じですww
個人的には、金払いはしっかりしてたし労働負荷もそこまで過酷ではなかったので評価は高かったのですけどねぇ。

花園祐 さんのコメント...

 再びのコメント、大変ありがとうございます。
 紹介いただいたリンク先のデータを拝見しましたが、一見してみて本気で目を疑いました。ただこれほど高いマージン率をきちんと公開している辺り、変に正直だなと思うと共に、何か強みでもあるのかと気になってきます。
 あと、まさかエイジスでバイトした方がほかにもいたのかと驚きました。私から見ても金払いはよくバイト対応も悪くなかったので悪い印象は持っておらず、むしろ繁忙期が非常に忙しく深夜にしか作業できないことを考えると、ほかの会社を差し置いて何故この会社がブラック企業として公開されるのかかえって疑問です。恐らく、きちんと残業報告などを行ってきたからこうなったのではと推察しています。

おっさん労働者 さんのコメント...

返信ありがとうございます。
実際、自分も上記資料を見たとき、正気を疑いましたけどね。
派遣技術社員にかかる費用比率を併記しているのはマージン=必要経費だと説明したいからなのでしょうか?
正直、私には全く理解できませんが。
しかもこの会社、一部上場しているし、例の優良派遣事業者認定とかされているんだよなぁ。

労基も、もう少し意義のある仕事をしてほしいと切実に願います。

sin さんのコメント...
このコメントは投稿者によって削除されました。