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2016年5月28日土曜日

燃費不正事件に見る真のリスクホルダー

同僚女性に手紙「老け込み劣化が目立つ」 神戸市職員(朝日新聞)
「ゆとり」市職員、空自で鍛え直し…3年目研修(読売新聞)

 上記二つのニュースはどちらも市職員に関するニュースですが、「劣化」と呼ぶと問題になるのに対して「ゆとり」呼ばわりしても何も問題とならないのはなんだろうかとちょっと思いました。ちなみに私が新卒で就職した年はマニュアルに頼ろうとする「マニュアル世代」などと言われてましたが、私を前にしてそんなこと言える年長者はまずいないでしょう。
 話は本題に入りますが、本来なら先週に書きたかったものの体調不良と北朝鮮のせいでようやく今日になって書くのはこの前起きた三菱自動車の燃費不正事件について、その中でも特に検査方法に関してです。

 既に何度かこのブログでもこの事件は取り上げていますが、三菱自動車の不正が発覚してから約一ヶ月語、同じく軽自動車大手のスズキも「国の規定とは異なる燃費データの測定方法を行っていた」という事実を記者会見で発表しました。この記者会見が開かれる直前にスズキの株価は急落しましたが、記者会見後は一転して価格を戻し、不正発覚前と比べて現在は大きく落ち込んでいる三菱自動車とは対照的にスズキの方は、さすがに記者会見前の水準以上ではないもののほぼ戻しつつあり、現在も回復基調にあることから恐らくはこのまま元鞘に戻るでしょう。

 三菱自動車もスズキも定められた検査方法とは異なる方法で燃費を測定していながらどうしてこれほど差が分かれたのか。理由は実に簡単で三菱自動車は実際よりも燃費を良く見せようとするために行ったのに対し、スズキはより実際の燃費に近づけるため行っていたからです。

スズキ、不適切な計測はしたが、正規の方法と数値に違いが無い神対応(アルファルファモザイク)

 上のまとめサイトにも詳しく書かれてありますがスズキは自社のテストコースは海沿いにあって風などが安定せず、どうしても測定データが不安定になることからやむを得ず国の規定とは異なる測定方法によって燃費データの元となる抵抗値を割り出していたとのことです。自分は今回の一連の騒動を見ていて、そんなに抵抗値が不安定なら風洞実験すれば白黒はっきり出るだろうと思っていたのですが、なんでもこの風洞実験は今の日本の検査には認められておらず、気候条件が必ずしも一定ではないのに外へ出て実際に走ってデータを取らなければいけないそうです。それだからこそスズキは気候条件を無視できる検査方法を取ったというのですから、むしろ国の検査方法よりも厳密な方法によってデータを取得していることになるのだからもっと褒められるべきでしょう。

 実際、スズキが販売する自動車の燃費実績は各方面から高く評価されており、実燃費を投稿し合って確認するネットの燃費比較サイトを覗くとどこもスズキ車はカタログ値と実燃費の差が小さく、変な言い方ですが二心なく検査していたというのがはっきりわかります。逆を言えば不正を許した国の検査方法の方こそ問題があるのではないかと思え、この際だからより実燃費に近い値を測定できるような検査方法、それこそスズキが実施ていた検査法にこの際変えてしまった方がよいのではないかとすら思うわけです。

 しかしここで一つ疑問というか思い当たることがあります。仮にそのような実燃費に近い値がきちんと測定できる検査方法に切り替えた場合にどこが一番割を食うのか、それはもちろんカタログ値と実燃費の乖離率が高いメーカーに決まっております。ではどんな車だと乖離率が高いのかですが全体的に言えるのは「燃費のいい車」ほど乖離率が高くなる傾向があり、燃費なんて知るかと言わんばかりのスポーツカーなど燃費の悪い車は乖離率が低かったりします。
 でもってもう直球で言いますが、ハイブリッド車だと明らかに乖離率が高いです

 大体どこの燃費比較サイトを訪れても乖離率が最も高いのはハイブリッド車で、トヨタのプリウスやホンダのアコードハイブリッドに至ってはもはや常連です。低燃費車だとカタログ値と実燃費で絶対的な差が広がるというのはまだわかりますがなんで相対的にも広がるのか、単に私が無知なだけかもしれませんがその理由がわかりません。しかもハイブリッド車だと特にその傾向が強まるというのだからなおさらです。
 確かにハイブリッド車はガソリン車と比べて運転の仕方で燃費は変動しやすい部分もあるにはありますが、それにしたって同じ検査方法で実燃費との乖離率がガソリン車よりも広がるなんて普通に考えればおかしいでしょう。おかしくないとすれば現在の検査方法はハイブリッド車に有利な検査方法が採用されているということになり、それはそれで改善すべき課題となります。

 最終的に何が言いたいのかというと、この燃費不正事件で一番リスクを抱えているのは大量のハイブリッド車を擁するトヨタなのではないかと言いたいわけです。はっきり言ってしまえばこれだけ乖離率が大きいのだから検査において何かからくりでもやっているのではないかと疑っておりますし、やっていなくても検査方法が今回を機に改められればカタログ値がガクンと落ち込む可能性だって十分にあるし場合によっては逆転すら許すかもしれません。
 ほかの人が同じこと言うのかなと思って黙ってみてましたが案外誰も口にしないのでもう私が書くことにしました。一番主張したいこととしては最初に書いたように、そもそもの国の検査方法に問題があったというのが根本的な原因で、むしろ真摯に対応しようとしたスズキはもっと評価されるべきで、なおかつこの際だからちゃんとした検査方法へ国の規定も抜本的に改めるべきでしょう。

 にしても、明日もミッションがあるので本当に忙しい。多分疲れてるだろうから明日も記事更新はされないでしょうけど、その後の記事は必見です。

6 件のコメント:

匿名 さんのコメント...

ハイブリット車の燃費が悪いのは、運転の仕方が原因でしょうね。いくらハイブリット車といえども、あれだけの乱暴な運転をすれば燃費も悪くなります。

花園祐 さんのコメント...

 コメントありがとうございます。
 うーん、やはり運転の仕方ですか。始動においてはハイブリッド車が明らかに優位を持ちますが、高速道路などでの運転ではディーゼル車に分が上がると言われており、やはりそうした運転姿勢によって実燃費は大きく変わってくるのでしょうね。どちらにしろ、もう少し実態に近い燃費を国も計測してもらいたいものです。

匿名 さんのコメント...

一番リスクを抱えているのは「お役所仕事」です。
全部紙だけでザルチェックで何十年も気づかなかったという。
抜き打ち検査もしてこなかったマニュアル体質が原因です。
似たような事例はほかの官公庁でも多々あり不正が横行しています。
不正が発覚するたびに知らなかった振りをしますが、
官僚OBが指南していたり検査マニュアル漏れていたりが実情です。

花園祐 さんのコメント...

 コメントありがとうございます。
 突き詰めれば最大の責任者はおっしゃる通りに検査方法を決めた政府機関でしょうね。といっても、検査方法を改めると主張していますが恐らく竜頭蛇尾に結局はまた同じような方法に落ち着くような気がします。

rumichan さんのコメント...

実燃費が乖離する一例ですが.
燃費測定をするときは、ドラムの上で車輪が回転するだけで、ステアリングは全く操作しません.
それに対して実際に走行するときは、今の車は電動のパワステで、ステアリングを切れば当然電力を消費します.
どれだけ電力(エネルギー)を消費するかと言えば、重い車ほど多く消費することになります.(プリウスで最大1馬力程度)
つまり、燃費のよい車ほど(ハイブリッドは車が重い)、相対的にエアコン、パワステ等のエネルギー消費が多くなり、実燃費が悪化することになります.

花園祐 さんのコメント...

 続けてのコメントありがとうございます。
 パワステについては初耳ですが、言われる通りに電力消費が燃費のカギであるHV車であることを考えるとこれらが原因で燃費乖離が大きくなるというのは納得できる話です。参考になるご意見をいただき、ありがとうございます。