2016年5月8日日曜日

マージン率を公開することによる派遣会社側のメリット

 先日、私が以前に書いた派遣会社のマージン率統計関連記事を読んだという派遣社員の方からメールをいただきました。内容としては貴重なデータを公開してくれて大変参考になりましたという、書いた本人からしたら努力した甲斐あったと感じさせられるお礼メールだったのですが、一緒に書かれていた内容の中に、「今まで業界内のマージン率の実態がわからず、派遣元の会社に自分はどれだけピンハネされているのだろうかという不信感が強くあった」と書かれてあったのが目を引きました。

 そのメールをくださった方が私のマージン率統計記事を読んだ後で派遣元の会社に自分のマージン率を公開するよう要求して(営業担当の人は最初、「マージン率?」という反応だったらしい)データを見せてもらったところ、当初は50%くらい取られているのではと思っていたものの実際には業界平均を大きく逸脱するようなマージン率ではなく、またその費用内訳についてもきちんと説明してもらえたことから不信感から一転、納得感が強く得られたそうです。まぁその派遣会社も事業所別のマージン率を公開してはおらず、また個人マージン率も要求される前にきちんと公開しろよと苦言を言いたいところではありますが。

 なにもこのマージン率に限らずとも「数字が見えない」という状況にあっては、ましてやそれが給料に関するデータであれば普通どの人も少なからず不信感が芽生えると思います。しかしその内訳を公開されることによって労働者側はある程度は納得感が得られるというか、見えずにお金を取られている状態から脱することである程度気持ちに踏ん切りがつくと共にその業務に対してもある程度やる気が得られるものだと私は思います。

 一連のマージン率関連の記事で私が何度も訴えてきたことですが、あの一連のマージン率の記事は派遣業界や派遣会社を批判する目的で書いたものではありません。むしろ、マージン率を公開し合うことによって派遣社員、派遣会社双方でメリットが得られると共に派遣業界全体で整理淘汰にもつながり活性化されるはずだという信念の元で一連の調査を行ってきました。
 未だにマージン率の公開を拒む派遣会社が数多いというか圧倒的多数ではありますが、どう考えたってきちんと公開した方が派遣会社側にとってもメリットが大きいように私には思えます。公開した方が派遣社員のモチベーション向上に必ずつながるし、また他社と比較してマージン率が高いとしても、きちんとその理由を説明すれば普通は納得してもらえるはずです。むしろ隠すことによって先のメールの方の様に、「実は半分くらいピンハネされているのでは……」という不信感を招きかねず、業務にも支障を与える可能性すらあるでしょう。

 実際、マージン率などの社内データを率先して公開していて私もアドバイス面でお世話になっている株式会社リツアンSTCの野中社長によると、ネットで情報公開を行ってから評判はうなぎ登りで(掛川の会社なだけに)、派遣会社の移籍すら申し出てくる方も増えたと話しています。元経済紙ライターとしての立場から言わせてもらえば、周りが隠そうとしている情報ほど公開する価値は高くなるもので、このマージン率についてもみんなが揃って隠そうとしているからこそただ義務に従って公開するだけで、「えらい!」と言われちゃうほど公開価値は高いです。
 ただ普通にマージン率を公開するだけでも抱える派遣社員からは信頼感、納得感が得られ、また大多数が公開していない現状においては公開するだけで、「うちは一味違う」という宣伝にもつなげられるため、これで公開しない手はないと私には思え、引き続き派遣会社の方々には常識ある決断ともに情報公開に取り組んでもらいたいところです。

4 件のコメント:

  1. 技術系派遣会社の賃金コンサルをしたことがありますが、派遣会社は若い人で儲けて、年齢の高い人の人件費を補填している、という部分がありました。(登録派遣ではありません。1つの会社に何人も派遣しているようなケース)
    優秀なベテラン技術者を養えるだけのコストを派遣先からもらえない、というのが根本原因です。
    そうい背景も含めた上で、マージンの公開と説明力(考課)が大事と思います。
    派遣会社にとって一番難しいのが派遣している人材の評価なのです。派遣先からの評価はけっこういい加減なことが多いんです。

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    1.  貴重な情報ありがとうございます。
       自分も聞いてる話だと、なんかアイドル業界みたいですが大量に稼げる派遣労働者がたくさん派遣元から稼いで、逆に稼げない派遣労働者はほぼトントンみたいな感じの構造が多いそうです。そういう意味では派遣先、派遣元、派遣労働者の三方がそれぞれ派遣料金とそのマージン率、その人への評価を確認し合うシステムじゃないと後々弊害が出てきそうですね。

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  2. 最近の派遣業界だと付随業務で通訳や翻訳やらせていることが多くなっています。
    もちろんプロの翻訳者ではありません。
    派遣先の社員も語学の責任は取りたくないし、
    派遣会社も付随業務で契約書になければ責任を取らない。
    誰も責任をとらない仕事が横行しています。
    上場企業の公式ページなんかもこの有様です。
    似たようなケースはシステム開発でも見受けられますし、
    おそらく建設業も似たような状況でしょうね。

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    1.  コメントありがとうございます。
       日本はただでさえ職責分離が全くなされていない企業風土であるだけに聞いてて納得できる話です。特に事務スタッフなんて派遣されたら結局は契約外のことも何でもやらされるのが落ちでしょう。
       翻訳に関しては一家言ありますが、専門的なプロなんて意外と掃いて捨てるほどいるんだからケチケチせずまともなお金出してちゃんと雇えばいいのに、そうした方が質のいい翻訳原稿も出来るというのにと声を大にして言いたいです。

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コメント、ありがとうございます。今後とも陽月秘話をよろしくお願いします。

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