・谷口ジローさん 仏語で書き下ろし作品 “漫画化”のベテラン、新境地(産経新聞)
何かとタイムリーなニュースだったので、ちょっとここでも取り上げる事にしました。
ニュースの内容は漫画家の谷口ジロー氏がフランス語の漫画を新たに書き下ろしたことについて報道しているニュースです。日本で出版された漫画が海外で翻訳されるという事は今の時代ではそう珍しくないのですが、今回のように日本の漫画家が初めから海外で作品を書き下ろして現地で出版されるということはこれまでほとんどなく、海外での日本漫画の高い評価とともにそのような需要があるというフランス事情を伺わせるニュースです。
この漫画家の谷口ジロー氏というと、ネット上でよく画像ネタや台詞回しの引用が多い「孤独のグルメ」という作品が一番知られているかと思います。私もそのようなネットでの改変ネタからこの作品を知ったのですが、一言で言って一回見たら癖になる絵柄と言うか、緻密でありながら漫画らしさを失わっていない写実性のある絵で、詳しい内容は知らないくせに以前から興味を持っていた漫画でした。ちなみに、最近一番ツボにはまったのは以下のサイトでの改変です。
・【ネタ絵】孤独の冒険(DLab.)
実は私は先月にこの谷口氏の作品を折角だからこの際購入して読んで見ようか思い立ち、購入する前に私より歳下にもかかわらずやけに趣味が古い友人にこの話を振ってみた所、案の定谷口氏の漫画をよく読んでおり、谷口氏の傑作と呼ばれる「坊ちゃんの時代」も読むように薦められました。その友人の言う事なのだからきっといい漫画に違いないだろうと「孤独のグルメ」と合わせてまとめて買いましたが、結論から言えば確かに面白い内容でした。全体的には事実に基づいて書いているもののフィクションの部分も多く、もしかしたら読者が事実だと誤認してしまうような箇所も多いとは感じましたが、それでも作品全体の完成度は高く、谷口氏の緻密な絵柄が明治時代の情景を深く表現しているのにはため息が出ました。「孤独のグルメ」でもそうですが、街並みという背景表現において谷口氏の描く絵がこれまで見てきた中で最も上手に思えます。
またもうひとつ、この「坊ちゃんの時代」を改めて読んだことで意外な発見、というより再会を果たす事が出来ました。実はこの「坊ちゃんの時代」の第二部、森鴎外が主人公の「秋の舞姫」を私は以前にも読んだ事がありました。今回改めて読むまであの時に読んだ漫画がこの「坊ちゃんの時代」だとは全く覚えておらず、確か読んだのはそれこそ十年近く前だったとは思いますが作品の内容はしっかりと覚えており、森鴎外の名を見るたびに昔にあんな漫画を読んだなと思い出すほど印象深い作品でした。
思えば私が森鴎外を贔屓にしだしたのも、この作品からだったような気がします。
なお谷口氏は鳥取県の出身だそうですが、鳥取には他にも私が尊敬してやまない「ゲゲゲの鬼太郎」の水木しげる氏、「名探偵コナン」の青山剛晶氏の出身地でもあります。人口が少ない割にはやけに漫画家を輩出しているわけですが、私自身鳥取とは縁があるのでこのままの勢いで島根に負けず頑張ってもらいたいです。あとどうでもいいけど、鳥取県はカレールーの消費量が全国で一番高いのも不思議です。
3 件のコメント:
本当にカレールーの消費量が全国1位というのは、不思議ですね。と言いつつ、昨日は夕食が久々のカレーで、さっきも残っていた2日目のカレーを食していたりするんですが、、、 有名な漫画家がいるのも不思議。花園さんが挙げられた3人の漫画家も、それぞれ作風が違いますが、独自の世界を作っていて、漫画界で、活躍されているのは感心します。
やっぱり鳥取の人はカレーばっか食べてるんだ……。
今回は鳥取に絞って漫画家を挙げましたが、なにか地域によって特徴がないのか出身地ごとに調べてみたら面白いかもしれません。同じく海外で評価の高い「釣りキチ三平」の矢口高雄氏などは物凄く作品に表れていますし。
そうですね、矢口高雄さんの作品も有名な【釣りキチ三平】ではありませんが、自分の少年時代の思い出を描いた【蛍雪時代】や【ふるさと】を読んだことがあります。どちらの作品も、ご自身の故郷である秋田の自然や村での生活の体験がふんだんに織り込まれていて、まさに矢口さんしか書けない作品でしょうね。書きながら思い出しましたが、ファンレターを出した記憶もあります。 あと、いわゆる戦後、中国からの引き揚げを少年時代に経験している人の中に、後に漫画家として活躍している人が多いです。【あしたのジョー】のちばてつや、【天才バカボン】の赤塚不二夫、【釣りバカ日誌】の北見けんいちも確かそうです。 単なる偶然か、あるいは大陸の雄大な風景が少年の感受性や絵心に影響を与えたのか?昔から気になってました。
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