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2010年4月17日土曜日

日本人の労働力としての価値

 よく日本人労働者は賃金が高過ぎると言われますが、必ずしもそうなのかこのところ少し疑問に感じております。というのも欧米やアジアの労働管理の話を聞いていると、やはり日本人労働者は優秀なように思えるからです。
 ではどのような点で日本人労働者が他国の労働者が優れているのかというと、私が思いつくのを挙げると下記の通りになります。

・遅刻、欠勤が少ない(無断でのを含む)
・ストライキを滅多に起さない
・異動、転勤の際に不服申し立てをしない
・超過勤務に文句言わないし、耐えられる
・実力をつけてもなかなか転職しない
・日本国内において読み書き計算はなんの問題もない


 上記項目についてもうすこし詳しく解説すると、まずはなんと言っても遅刻や欠勤が少ない点が挙げられます。欧米などでは家族が病気になったり、下手すりゃペットが体調不良になるたびに休みを取るとまで言われていますが、日本でもさすがに冠婚葬祭に関することでは何も言いませんが、家族の看護や介護で一回ならともかく何度も休みを取るとなると早く辞めてくれと解雇宣告が飛んで来ます。またそうした正当な理由での休日取得に限らず時間にルーズな国だと、始業時刻にみんな平気で遅刻してきたり、作業中に勝手に休憩を取る労働者も珍しくありません。まぁ日本も最近は大分減ったけど煙草休憩がありますが。

 そして二番目の項目のストライキについてですが、これは主にフランスを初めとしたヨーロッパ諸国では非常に盛んです。ヨーロッパの企業では何か企業側が新しい規定や就業規則の改定を行うたびにストライキが行われるのに対し、日本ではかなり無茶苦茶な要求や超過勤務が強制されたとしても今となってはストライキを起こす社員なんてほとんどいません。ましてや三番目の異動や転勤についても、事前通告なしに配置転換されたとしてもほぼ確実に文句も言わず行ってくれます。

 残りの項目については言わずもがなで、韓国を除くとこれだけ企業側に従順な労働者なのは日本くらいな気がします。同じアジアでも韓国の労働環境の劣悪さは今も進行中の「東方神起」の契約問題などのように相当ひどいものらしいですが、中国については従業員側も雇われる傍から独立したり転職したりするので日本よりはマシなような気がします。

 このように日本人労働者は他国と比べて優位な点が多く、唯一英語が話せない点を除くと優秀な労働群のように私は思えます。確かに日本人の賃金は円高の今だとドル換算で比較すれば他国よりもそれなりに高いですが、それでもそのポテンシャルを考慮するならば今の平均賃金、特に若年労働者層の収入はいくらなんでも低過ぎるような気がします。

 それだけに、私は今の日本企業の経営者達がどうして利益を上げられないのか疑問に感じます。そのポテンシャルに対して低い賃金でそれこそ死ぬまで働いてくれる労働者達を行使できるにも関わらず必ずしも儲けられない、厳しい見方をすると経営者達の資質を疑います。

 もっとも今日友人にも指摘された通りに、日本企業の大半は国内にしか市場を持たないがゆえにこの利点を生かせないというのも一理あるのですが、少なくとも大企業の幹部が不振の理由を日本人賃金の高さのせいにするのは間違いなように感じるので、こうして一筆したためる事にしました。

5 件のコメント:

サカタ さんのコメント...

 確かに、若者の労働者に対して厳しすぎる風潮は今の日本には結構あるでしょうね。

 少し時間に遅れただけで、「次やったらクビな。」なんていったりだとか・・・。私の働いている会社の工場ではなさそうですがね・・・。特に今のこの状況だと、派遣で雇われる工場働きの人は厳しい規律の中で働いているのでしょう。

 私は、日本人はもっと時間にルーズになっていいのではないかと考えます。フレックスタイム制の導入などをもっと推奨すべきです。

花園祐 さんのコメント...

 何が一番問題のあるのかといったら、私は正社員制度だと思います。前にもオランダのワークシェアリングを取り上げましたが、同一賃金同一労働を徹底させねば今の問題はなかなか解決されないように思えます。愚痴ってばかりですが。

マナブ さんのコメント...

貯金生活。投資生活。 労働市場におけるサラリーマンの市場価値について考える

この方も同じテーマを対象に書いていますね。全く逆の主張かと思いますが、文体が似ていてブログのデザインも出張所と同じでちょっとびっくりしました。

花園祐 さんのコメント...

 リンクに貼られた先の記事でも書かれていますが、やっぱり雇用市場が日本だと固定的だということがこのごろ一番の問題のように感じてきております。高度経済成長期には効果があった制度も、明らかに今の時代では足を引っ張る遺物でしかないと思うのですが、これをやめるとなると国民健康保険から年金まですべてひっくり返さないといけないので、今のアメリカのオバマ政権みたいにあと10年はどうにもならないでしょう。

 出張所のブログテンプレートは長文がまだ映しやすく、かつシンプルなデザインなので選びましたが、こうして同じデザインの人のを見ると街中で同じTシャツを着た人と出くわすかのようでなんとなく居心地が悪いです。それにしても、相変わらずいろんなブログをチェックされてますね(;´∀`)

匿名 さんのコメント...

>>唯一英語が話せない点を除くと優秀な労働群のように

●日本人そのもののグローバル化の必要性
これが分岐点であると考えます。21世紀にもなって日本人の多くが、海外に、就学や生活拠点を移すことは、発想にさえありません。しかし、もし、日本人の労働市場選択がが欧米並みに国境を超えだしたら・・・。そうなることは、もはや時間の問題と思われますが、労働市場への価値観が欧米並みに変化することでしょう。資源も土地もない生産条件の悪い極東の田舎=日本では、本来、投資対象にもならないのです。発展のための前提条件が本来劣悪なのに、かつての高度成長のような大成長を求めても仕方ありません。あれはイレギュラーです。かくして企業は国境を越え、就業機会は減ります。グローバル化が批判されがちですが、高い物価・悪い住環境・削られる福祉などに耐えかねて、労働力においてもグローバル化が進展すれば、もはや日本的労働慣習は一夜で消えてなくなります。日本の抑圧的労働環境は、日本の労働者の国内就業固執からくる選択肢の少なさ=買い手市場のなせる業であます。