以前に行われた仕分けを見ていて、「おっ、これも廃止か。そりゃよかった」と思ったものの中の一つに、今日取り上げるスーパー堤防が入っていました。結論から申せば、震災を経た今においてもこの考えに変わりはありません。
・高規格堤防(Wikipedia)
スーパー堤防の正式名称は上記の高規格堤防というそうですが、時期にして大体五年位前にこの計画案を聞いて大いに呆れたのをよく覚えています。今回の東日本大震災では津波被害が深刻だったことからこのスーパー堤防がやけに注目を浴び、事業仕分けで廃止を決定した蓮舫氏には非難が集中して石原都知事もドヤ顔で、「廃止したんだってな( ゚∀゚)」と、直接皮肉を言ったそうです。そうした声がある中、繰り返しますが私はスーパー堤防には反対です。
私が何故スーパー堤防に否定的なのか、その理由は上記に貼ったウィキペディアのページに貼られている図を是非とも直接見てもらいたいのですが、はっきり言ってとても実現できるとは思えない代物だからです。あくまで素人ながらスーパー堤防の中身を解説すると、通常の堤防は川や海沿いに盛土、水門設置などをすることで水かさが増した際に堤防の内側にまで水が入ってこないようにするのですが、あくまで盛土されるのは水のある付近だけです。それに対してこのスーパー堤防というのは水が一切入ってこないように川、海沿いだけでなく、堤防の内側深く、長さにして数百メートルに渡って堤防の高さと同等まで盛土し、言い方を変えるならそのまま丘を作ってしまうという途方もない計画です。
この計画は言うは易いですが実現となると果てしない過程を要します。まず必要なのは丘を作るまでの大規模な工事ですが、そもその話として国土交通省がゼネコンの利権などを失わないためにこのスーパー堤防を提案したとも言われており、仮に現在堤防のある地域をスーパー堤防化させようというのなら一部の箇所だけでも百年単位の時間が必要と予想されるほどの工事になると聞きます。確かにそんな大工事ならゼネコンは一生食うに困らないだろうけど。
そうしたありえない工事量もさることながら、私が絶対に実現不可能と断言するのはすでに堤防周りに住んでいる住人の存在です。計画を実行するのであれば堤防の内側深くまで高く盛土しなければならず、言うまでもありませんが工事をするためには堤防近くに住んでいる人たちには全員立ち退いてもらわなければなりません。私の家の近くの川沿いにも土手がありますが、その周辺は100メートルはおろか道路一本挟んだ先にはすぐ家があり、住人全部を立ち退かせるというのであれば一体どれだけの費用がかかるのか、まさしく天文学的です。
その上、これは技術的なことなので極端に強くはいえませんが、このスーパー堤防は大雨などによる河川氾濫には有効でも津波対策としては価値がないという話を聞きます。私自身も津波のメカニズムやこのスーパー堤防のシステムを考えると、確かにあまり効果がないように思えます。
その一方で、「大量に盛土するスーパー堤防では地震時に液状化現象が起きる」という話を聞きますが、逆にこれはあまり心配しなくてもいいような気がします。液状化現象は高校で地学(独学)を勉強しただけあって管首相が「俺は原子力に詳しいんだ」と言った程度に詳しい自信がありますが、これは湿地帯や海などの水分を多く含む土壌への埋立地にて起こる現象で、元々固まっている地盤の上の盛土であれば液状化は起こらないと思います。だからと言ってスーパー堤防がいいわけじゃないけど。
友人にはネットの意見なんかいちいち気にするなと言われますが、私はこのスーパー堤防を廃止したとして蓮舫氏を非難している方々に対して直接、本気でこんな計画が実現できると思っているのかと問うてみたいです。現在の案では川沿いに住んでいる住人らには工事中は別の場所に住んでもらって、工事が完了したらまた戻ってもらおうとしているそうですが、この案でも家は建て替えなければならないし工事はいつ終わるかもわかんないのだし、そんな案が呑めるとはとても思えません。
なおかつこのスーパー堤防は一部分でも盛土が出来なければ、それだけで価値はなくなると聞きます。いくら津波対策が必要だからと言って、こんな実現性も実用性も低いものには私は支持することができません。
批判、非難はいくらでも受けます。ただその際には技術的な内容とともに実現性について説明をしてもらえば助かります。
おまけ
大学受験で地学は選択者が少なくて点数が稼げるというので、高校に授業がないにもかかわらず独学してセンター試験で受験しました。結果は三ヶ月の勉強で80点だったので、まぁまぁだと思います。もっともそれ以上に、日本史をメインに勉強しつつ世界史で85点取ったことの方が我ながらよくやったと思うのだけれど。
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