2011年8月21日日曜日

韓国のシルミド事件について

 今日msnニュースの方でちょっと気になるニュースがあったので、韓国のシルミド事件について書こうかと思います。

取れなかった「金日成の首」 映画シルミド(SHILMIDO)(産経新聞)

 気になったニュースというのは上記リンク先のニュースなのですが、この記事は2004年に日本でも公開された韓国映画の「シルミド」のロケ地を歩くという記事です。ちょうど今日は韓流ばかり流して偏向報道だとするフジテレビへのデモが予定され実際に決行された日なのですが、産経はわざわざこれに合わせてこの記事を持ってきたのかと少し勘ぐりたくなります。
 ただこの記事の主題となっている「シルミド」という韓国映画については私も実際に観ましたが、名前も全く知らないような韓流アイドルとかは出てこず(おっさんばかり)、変な感情抜きで素直に面白い映画だと思えました。またこの映画を通し、これは韓国でも公開当時はそうだったようですが歴史の闇というかシルミド事件についても初めて知り、当時の朝鮮状況を知ろうとする上でいいきっかけとなりました。

実尾島事件(Wikipedia)

 詳しくは上記のウィキペディアの記事を読んでもらった方が早いのですが、1968年に当時の朴正煕大統領の暗殺を目的とした北朝鮮の特殊部隊が韓国国内に侵入し、韓国の治安部隊と衝突した「青瓦台襲撃未遂事件」というものが起こります。この事件では韓国治安部隊が北朝鮮の特殊部隊を撃退して大統領は事なきを得るのですが、この北朝鮮の軍事行動に激怒した大統領は報復として「金日成暗殺部隊」を北朝鮮に送ることを企図し、特殊部隊の設置をKCIAに指示します。そしてその特殊部隊の養成地として、シルミドこと実尾島が選ばれることとなったわけです。
 このシルミドには高額な報酬に応じた一般人ら31名の隊員が集められたのですが(映画版では死刑囚などが集められたと描かれ、事実と異なっていると遺族らから抗議が起こっている)、途中で7名の隊員が命を落とすなど相当過酷な訓練が実施されていたようです。しかし部隊創設から間もなく、アメリカ側が共産圏への融和策へ外交方針を変更したことにより韓国側も北朝鮮への目立った軍事行動を取ることが出来なくなり、シルミドの部隊についても徐々にその存在価値を失っていきました。

 最終的には1971年に「部隊そのものがなかった」ことにされ、当初隊員らには支払われていた高額な報酬も徐々に減らされていき、待遇悪化に不満を感じた24名の隊員は訓練教官を殺害し島を脱出するや、真偽は不明ながらも直接大統領に抗議をするためとして韓国大統領府のある青瓦台を目指しソウルへ侵入することとなります。しかしソウル市内で韓国正規軍や警察と衝突すると、追い詰められたシルミドの部隊は奪ったバス内で手りゅう弾を使い自爆します。この時の自爆で大半の隊員は死亡し、生き残った4名もその後の軍法会議で死刑を受け翌年に全員処刑されたそうです。

 この事件は内容が内容であるだけに当時はおろかごく近年に至るまで韓国国内でも完全に秘匿されてきましたが、韓国の民主化後に初めて明らかとなり、その後この事件を舞台にした件の映画が公開されたことによって徐々に詳細が公開されるようになりました。
 私自身のこの事件の印象を話すとすれば、確かに非常にドラマチックな内容であり映画とするには恰好な事件だと思います。ただそれ以上に当時の国際状況というか、本当に007やゴルゴ13みたいな事件が現実に起きていたのかと、初めて知った際には驚きを感じました。さらに言えばこれは佐野眞一氏が甘粕正彦についての著書にて、「国家の前に個人の一生などどれほど脆いものか」と、国に翻弄され続けた甘粕の人生を評していましたが、このシルミド事件についても同じような言葉が私の中で浮かびました。

 最後に蛇足ですがあまり映画を見ようとしない自分がこの「シルミド」という映画を観ようと思ったのは、「あの映画はほんまおもろいで!」と、今は亡き叔父が強く勧めてきたからでした。自分も年をとってきたのかこの叔父のことをちょくちょく思い出すようになり、最初の産経の記事も「叔父さんがいなけりゃちんぷんかんぷんだったろうな」などということを覚え、それ以外のことを含め自分にとってはいい叔父だったということを改めて思い起こしてました。ただ叔父と旅行に行った際、叔父のいびきがあまりにもうるさくほとんど眠れなかったのだけはちょっと嫌な思い出ですが。

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