2011年8月27日土曜日

各国の輸出依存度統計について

 先日自殺率について書いた記事で、「日本が最も自殺率が高いと思っていた」というコメントを受けました。実をいうと私もかつて自分で統計を調べてみるまでは同じように、恐らく1~3位には必ず入っていると漠然と考えていたのですが、実際にデータを調べてみると上には上がいるというか2010年度で日本は6位でした。
 しかしこのように「日本は自殺が最も多い国」と誤解するには、断言してもいいですがマスメディアのミスリードが原因でしょう。テレビなどで自殺が取り上げられる際には枕詞のように「先進国中最も自殺率の高い日本」という言葉が付け加えられますが、仮にこの言葉通りだと日本より上位のロシアはG7に入ってるのに先進国ではないということになります。まぁ確かに日本の自殺率は高い方ですが。

 実は最近、この自殺率と同じように実際の統計データを見てみて激しく誤解していたことに気が付いたことがありました。その統計データというのは最近あちこちでちらほら見かけるのでもしかしたら皆さんも知っているかもしれませんが、今日の題になっている輸出依存度です。

統計局ホームページ 世界の統計第9章 貿易

 社会学やっている人間からすれば必ず知っておかなければならない、というより知らなかったら冗談抜きで社会学を真面目にやっていないと言ったっていいくらいの上記統計局ホームページですが、今回私が参考にしているのは、「9-3 貿易依存度」のところにある貿易依存度のエクセルファイルです。このファイルの中には「輸出依存度」といって、どれだけその国が輸出で生計を成り立たせているのかということを示す指標があります。ちなみに計算方法は、以下の通りです。

  輸出額(FOB価格)÷国内総生産(GDP)=輸出依存度

 どうでもいいですがFOBというのは「Free on board」の略字です。最近はクーリエが流行って輸出もCIFで出すことの方が多いのですが、貿易事務屋からすると輸出も輸入もEx worksでやった方がコストの計算がしやすくて助かります。
 そういうどうでもいい愚痴は置いときまして、早速主要国の輸出依存度を紹介します。

<各国の輸出依存度(2008年)>
日本:16.1%
韓国:45.3%
中国:33.0%

シンガポール:179.0%
香港:168.6%
タイ:63.4%
アメリカ:9.0%
カナダ:29.9%
ブラジル:12.1%
イギリス:17.1%
イタリア:23.5%
ドイツ:39.5%
フランス:20.8%
ロシア:28.1%
オーストラリア:18.0%
ギリシャ:7.3%

 統計局のデータでは2009年度のデータが最新ですが、2009年はリーマンショックの影響で世界中で輸出量が大きく目減りしているので、2011年の現状に近いのは2008年ではないかという判断から敢えて2008年データを引用しました。
 このデータを見てもらえばわかる通りに日本の輸出依存度は16.1%で、実は先進国中ではアメリカに次いで低い(ギリシャの7.3%を除いた場いい)という、かなり特異な国だったというわけです。ちなみにシンガポールや香港といった、中継貿易が非常に盛んな国は100%を超えており、元データを見てもらえばわかりますがこの二カ国は輸入依存度でも100%後半に位置しています。

 こういうのもなんですが、GDP規模が小さい国であれば輸出依存度が低くてもまぁありかなという気はするのですが、日本ほどのGDP規模ながらこれほど低い輸出依存度で経済が成り立っているというのは異常な気がします。アメリカの場合はドル体制と財政赤字無視できるという環境があるからまだ理解できますが、よくこれで維持できるなというのが最初見た時の感想です。
 もう少し解説を加えると、輸出依存度が低いということはそれだけ内需の規模が大きいということです。つまりこの数値は日本は内需規模が非常に大きいとともに、必ずしも輸出に依存し切った経済ではないというのを表しています。

 私はこれまで日本というのは内需が小さい国であるから、輸出産業がなければ経済を維持することができないとずっと教え続けられてきました(特に親父から)。しかし上記統計だけで判断するのは早計かもしれませんが、このデータを見る限りですと日本は他国ほど輸出に依存しておらず、内需規模も実質にはかなり大きな国ではないかという気がしてなりません。逆に日本より輸出依存度の高い韓国などは日本の円高以上にウォン高が韓国全体の経済に与える影響は大きく、世界的な景気の影響を受けやすいとも聞きます。

 ……ここでもう記事を書き終えてもあまり問題はない、というかそうした方が差し障りはないのですが、もう少し深く突っ込むとどうして私を含め日本人は「輸出がなければ日本はやっていけない」と考えるのでしょうか(うちの親父を含め)。もちろん内需規模が大きいから輸出産業を疎かにしていいわけでありませんし、むしろ低いのだからもっと引き上げるような努力をやるべきという前向きな意見にまとめても良いのですが、その輸出を増やすために日本は何をしてきたかということです。
 ここで私が言いたいのは、自動車メーカーや家電メーカーといった声のでかい産業企業らが必要以上に日本人の輸出に対する不安を煽って、自分たちの都合のいいように世論や政策を動かしてきたのでは、ということです。今の円高にしたって輸入産業にとってはプラスに働くのですが、そういった方面の景気のいい話はほとんど聞こえず、自動車メーカーや家電メーカーの嘆き節しか報道されていないような気がします。

 そりゃ人間誰だって自分がかわいいはずですし、自分たちに都合のいいように物事を動かそうとするでしょうしそれが悪いことだとは私は毛頭いうつもりはありません。しかし根が真っ正直で真面目に嘘がつけず就職活動で苦労した私からすると、現実を覆い隠すような策謀をする人間は大嫌いですし、二次大戦中の日本みたいに虚飾ばかりの情報が流れていると世の中必ず悪くなるという確信があります。
 くれぐれも言いますが輸出依存度が低いからって日本は安心していいわけじゃありません。ただ輸出ばかりどうこうしようというのではなく、内需においてももっと考えられる方向性を考える道もあっていいのではないか、輸出産業ばかり保護する必要はあるのかというのが、今日の私の意見です。

 今日も太閤立志伝5ばかりやってたから、記事書くの遅れてしまったな(;´Д`)

0 件のコメント:

コメントを投稿

コメント、ありがとうございます。今後とも陽月秘話をよろしくお願いします。

注:ブラウザが「Safari」ですとコメントを投稿してもエラーが起こり反映されない例が報告されています。コメントを残される際はなるべく別のブラウザを使うなどご注意ください。