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2013年12月19日木曜日

バランスのとれたメディアは何故存在しないのか

 昨日あんな記事を書いてたら今日になって猪瀬知事が辞めちゃいました。まぁ遅かれ早かれって感じだったし、石原慎太郎議員に言われて辞めたってことだから「俺の所に捜査が来る前に早く辞めろ」とでも脅されたんじゃないかな。それにしてもこれほどまでに天国から地獄へ一気に駆け下りた人は久々に見た感じがします。

 そうした雑感は置いといて本題に入りますが、よくネット上では朝日新聞やフジテレビが偏向報道をしているなどとやり玉にあがることが多いです。その通りなんだけどね
 私個人の資質を考慮したとしてもこの二メディア、ひいてはほかの大手新聞やテレビ局も公正中立な報道といいながら多かれ少なかれ偏向というか偏った立場をとります。特にテレビ局では「ほこ×たて」などのようなやらせ番組がばれた時、大手新聞ではこの前の特定秘密保護法案の時など政治が絡んでくると猛烈に一方向からの意見しか取り上げなくなってきます。

 なお特定秘密保護法案の時に私はこのブログで、この法案を批判している民主党は政権与党時に漁船衝突事件が起こり、明確な法的根拠がないにもかかわらず海上保安庁のビデオを非公開にした挙句にそれを暴露した海上保安庁職員を処罰した事実があり、こうした事実をなかったことの様にして安倍政権を批判するのはフェアじゃないと書きました。その上でどうしてメディアはこういった報道をしないのかといいましたが、それからすぐ後に産経新聞がまさに同じような内容で報じたのですが、だからと言って産経新聞が中立なメディア化というとちょっと悩んでしまうわけです。

 ちょっと脱線しましたが偏向報道が起こる度に、「どうしてバランスのとれたメディアは日本に存在しないのだろうか」といった声がちらほら聞こえてきます。何故報道姿勢にバランスのとれたメディアがいなくなったのかその理由を率直に答えると、単純に市場に淘汰されたから、されるからだと思えます。
 一つ上の文章で妙な言い回しをしましたがなんでこんな言い方をしたのかというと、もしかしたら本当に賛成意見、反対意見をきちんと載せ合うバランスのとれたメディアが日本に存在していたのかもしれないと思ったからこう書きました。存在していたのかもということは現在はいなくなってるということになるわけですが、今日の結論を先に述べるとそういうバランス感覚に優れたメディアだと恐らく売れず、商売が成り立たなくなるのではないかと考えるからです。

 たとえば先ほどの個人情報保護法案を例にとってみると賛成意見、反対意見をそれぞれ隔てなく毎日報じるとします。見る人によっては評価するかもしれませんが私の印象だと、恐らく圧倒的大多数からはどっちつかずのように思え、この法案は正しいのか悪いのかどっちなんだという具合でつまらなく感じると思います。さらに初めから賛成派であったり反対派の考えを持ってたりすると読んでて確実に満足感が得られず、それどころか怒りすら覚えるかもしれません。

 事件報道においてはもっと顕著で、淡々とした文書で芸能人の不倫騒動を報じるとします。それこそ誰それが不倫の現場を押さえられ、相手はこういう人間だと事実だけ書いた文章だとそっけなく感じますが、週刊誌の様に面白おかしく大げさに、「○○はかねてから複数の異性と交遊しているという噂が出るなど……」という風に煽った方が読者も支持するでしょう。
 このような具合で中立的なメディアというものは購入してまで読んでくれるような支持層を作り辛く、なおかつよっぽどいい記事でも書かない限りは読者も面白味を感じ辛い文書校正となりやすいように思えます。そのため、仮にそういうメディアが出来たとしても支持層が出来ないために売上げが伸びず、自然と市場から撤退するため中立的なメディアは存在しなくなるのではというわけです。

 これは逆を言えば、偏った報道をする方が売上げ的にはいいということにもつながります。政治の暴走を抑えるのはジャーナリズムだなどときれいごとだけならいくらでも言えますが、お金が回らなければジャーナリズムもへったくれもありません。
 しかしここで敢えて苦言を呈すと、そうした偏向するメディアを支持し、中立的なメディアを支えないのはほかならぬその社会の市民です。言うなれば中立的なメディアが生まれないのはその社会の構成員にも責任があります。

 一つ昔話をすると、よくネット上で「戦時中は国民を戦争に煽っていた」と批判される朝日新聞ですが、確か満州事変が起きた直後に軍部の暴走が過ぎるという方針の記事を掲載したそうです。すると記事が出るや途端に朝日新聞の不買運動が起こり、関西地区では部数がそれ以前と比べ二割まで、要するに八割も減少する事態に見舞われ、これじゃアカンとばかりに記事方針を一転させてイケイケどんどんな記事を載せていくことにしたそうです。
 この事実について立花隆氏は、「あの戦争は国やマスコミが勝手に始めた物ではなく、国民そのものもかなりの部分で賛同していた」と書いてありますが、私もその通りだと思います。もし仮にこういう不買運動が無かったら、と思うのは私だけでしょうか。

  おまけ
 朝日新聞は戦時中の煽り報道を反省して今ある報道姿勢に落ち着いたと自分で言っていますが、以前は政府を極端に支持し、現在は政府を極端に批判するようになりました。しかし極端から極端に走るのは過ぎたるは猶及ばざるが如しなんじゃないかなぁと思うと同時に、結局極端に走った奴が勢力拡大できるんだなとこの記事のテーマをしみじみと感じる次第です。

5 件のコメント:

おでこ さんのコメント...

メデイアの偏向も問題ですし、「知らされていなかった」「騙されていた」と言う一部の自称リベラルに対して、もの申したい気持ちです。そこには自分自身の反省はひとかけらもない!と心の中でののしっています。しかし、アメリカのNYTも酷いですねえ。半日新聞としか思えないです。

おでこ さんのコメント...

半日=反日でした。。

花園祐 さんのコメント...

 誤字、ドンマイです。自分なんかいつも記事でやらかしてます。
 NYTは明らかに日本に対して敵意丸出しの新聞ですよね。自分も前から思ってましたが、何故だか日本のメディアはさも権威ある新聞の公平な報道課の様にNYTの記事を引用するので余計に腹が立ちます。かといってWSJは日本に友好的かといったらこれまた微妙ですが、NYTよりはマシかな。
 リベラル派というか元左派についてはまた今度まとめ記事を書こうかなと考えてます。今に始まるわけじゃないですが、自分は旧共産圏が好きだったり、明らかに左派層と相性がいい気がします。時代が時代だから学生運動しなかったけど、あの時代に生きてたら山荘に立てこもってたかもなぁ。

上海忍者 さんのコメント...

半中=反中ですね

花園祐 さんのコメント...

 人の間違いに乗っかるなって。しかも微妙に意味が分からないし……。