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2017年3月17日金曜日

中国経済の穏やかな不気味さ

 日本ではそろそろ花粉症の季節だと思いますが、よく駐在員の間では「この時期だけは中国にいたい」と話す人が多いです。というのも中国だと花粉症はなく、心地よく空気吸えるからだそうです。私自身は花粉症ではないので実感はないのですが、よく中国というと空気が悪いというイメージで話されるものの花粉はPM2.5に入らないのかとかいろいろ考えると、この時期に関しては日本の空気もどんなもんかねという気がします。
 さてかなり久々に中国経済の話をしますが、結論から言うとやや不気味さを感じています。そしてその不気味さに気が付いているのは私くらいではないかとも思います。

 まず中国全体の景気ですが、この規模の経済力にしては依然と世界最高水準の成長率を維持してはいるものの、やはり依然と比べるとその速度は落ち込んでいます。これ自体は問題ではないものの、経済戦隊の成長率が鈍化する中、私も以前に取り上げた給与の昇給率に関しては10%弱を維持しており、GDP成長率を上回る数値を維持しています。これがどういうことを指しているのかというと、実体経済以上に所得は増加しているということです

 所得が実体経済以上に増加しているということそれ自体は問題ではないのですが、気になるのは鉄鋼や石炭を始めとした重工業系産業が落ち込んでいるにもかかわらず所得が増加している点です。重工業は雇用吸収力が高い、言い換えれば売上げが大きく雇う従業員が多いことから雇用の安定で重要な要素となるのですが、その重工業は先ほどの鉄鋼、石炭共に中国では物凄い落ち込み方をしているにも関わらず、どこも国有系企業のため統廃合もなかなか進んでいません。
 これはどういうことを意味するかというと、収益が悪化しているにもかかわらず給与が増えているということで、実態に合わない給与支払いが続いているということです。そのため産業転換も進まず、会社自体のリストラも進まずということで、今はともかく今後かなり大きな問題になるのではないかという風に思えてなりません。

 私がこの事実に着目したきっかけは、GDPがこのところ落ち込みを見せている遼寧省の実態に関するニュースをみたことからでした。遼寧省などまさに国有企業の巣窟というくらい国有企業が多く、実際にどこも経営が悪化しているのですが、現場の報道によると市民自体はそれほど切迫感を感じているようでなく、生活もそれほど悪化していないと報じられていました。
 私自身の実感で言っても、二次産業系企業は自動車産業を除きほとんどどこも苦しくなっており街の人も「景気が悪くなった」とよくいいながら、消費それ自体はそれほど落ち込んでおらず、むしろ政府の支援もあってますます盛んになってきています。強いて言えば、「以前ほど大きく昇給しなくなった」といったところで、経営が悪くなっていながらどこも昇給率を抑えつつも昇給自体は続けているようにも見えます。

 具体的に何が言いたいのかというと、二次産業を中心に収益モデルが限界を迎えている、或いはすでに越えているにも関わらず、雇用を維持し過ぎてリストラや再建が全く進んでいないのではないかと言いたいわけです。日本の90年代の様に短期的にはともかく、長期的に見てリストラや企業同士の統廃合は早ければ早いほどよく、遅ければ遅いほど悪影響は大きくなります。
 中国政府も馬鹿じゃないですから「ゾンビ企業」という言葉を使って産業の統廃合を進めようという姿勢自体は示していますが世間から、「リストラ(クビ)にあって生活が大変」なんていう意見はあまり聞こえず、お世辞にもこうした指導は行き届いていない様に感じます。

 全体景気が悪化していて景気が悪いと言いながらもどこが他人事のよう、そんな感じが今の私が感じる街角景気です。割と中国びいきの私ですが、この辺については確かに大きなリスクでもっと強く対策に取り組むべきだと提言したいところです。

2 件のコメント:

上海忍者 さんのコメント...

今年、中国のGDP成長率は6.7%増加と推測され、引続き経済高成長が実現できると思いますわ。勿論、キミを含めて、給料も10%以上上昇します。

花園祐 さんのコメント...

 俺の給料そこまで上がるかわからんがな。でもまぁ、社会全体でこれだけ昇給している国っての夢があるよ。