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2020年1月7日火曜日

若さってなんだ

 昨日の記事で昨夜は同僚と夜遅くまで食事して喉潰したってことを書きましたが、食事場所は日本料理屋で、時節柄店内のテレビでは年末の紅白歌合戦の映像が流れていました。ただその映像を見ていて同僚と、「曲も誰もわかんない」という感想で共通しました。

 ここでわざわざ説明するまでもなく、日本の音楽業界は完全な斜陽です。市場規模でいうなら90年代後半が一番大きくCDのミリオン達成数も今とはけた違いに多く、当時の私が青春時代にあったということも影響しているでしょうが、曲としての質や完成度も当時の方がずっと上だった気がします。少なくとも上海のアニソンライブで演奏されるのは同時代の曲ばかりです。

 またセールス面以外でも、いわゆる「時代の流行歌」として数年後も多くの人の記憶に残っている曲が近年どれほどあるのかというと、恐らくほとんどないと思います。それこそ一昨年くらいに何が流行ったのかと聞いて、すぐに答えられる人はほとんどいないでしょう。
 一方、90年代の曲だったらあまり音楽に造詣のない私ですらある程度歌詞とかもそらんじています。前にも書きましたが、以前上海でモー娘。の「LOVEマシーン」のアレンジBGMを聞いた時も、「あれからの日本の未来はWow Wow Wow Wowとはならなかったのか?(;゚Д゚)」などと一人で茫然となったくらいだし。

 こうした点を勘案すると、単純にアーティストの質が下がってきている、もしくは良きものが評価されなくなった時代になったの二つに一つでしょう。もしくは、両方が一緒に影響しているかもしれません。
 かつてこのブログに書いた芸術論でも述べている通り、優れた芸術の定義とは、時代や世代に関わりなく長きにわたり評価され続けることであり、音楽のクラッシックなどはまさにその典型です。そう考えると近年の日本の音楽シーンは使い捨てもいいことで、後年にカバーされることも恐らくないことを考えると、はっきり言えばどんだけ文化が低落してんだと言いたくなってきます。

 などと言う風に今日ブログ書こうかなと思っていたら、ふと思い出したことがありました。それは何かというと先日に会社で年上の同僚と、それぞれが小学生時代に今と違ってどんだけ体力があったのかなどという風な話をしていた際、同僚が音楽の授業の話をして、

同僚「当時、好きな曲を学校に持ってきて歌うというテストがあったから、宇宙刑事ギャバンのカセットを持っていったら――」
花園「若さってなんだ」

 同僚が話し終わらぬうちにまさにその曲の歌詞を私が口にしたのに同僚は驚き、「まだ生まれてないじゃん!?」とか言われました。実際そうだけど。
 何故生まれてもない時代のこの曲の歌詞を知ってたのかと言うと、その宇宙刑事ギャバンの曲は昔、ネットでBM98という音楽ゲーム「ビートマニア」の曲を誰もが自由に作成して遊べるゲームを遊んでいた頃、たまたま拾って演奏していたことがある曲だったからです。ただ、それだけだったら多分記憶にも残らなかったでしょうが、この曲に関してはめちゃくちゃ強い印象に残りました。なんでかっていうと、わかりやすい音程とフレーズに加え、凄まじく記憶に残る歌詞だったからです。

 その辺は実際に聞いてもらえばわかりやすいですが、「若さ、若さってなんだ」とか、「あばよ涙 よろしく勇気」など、一回聞けば一発で覚えるような濃い歌詞ばかりで、私以外にも記憶に残っている人も多いのか、地味にいろんなゲームや漫画などでこれらの歌詞を一部引用している例が見られます。
 そうしたことから年上の同僚に話を合わせられたのですが、これがめちゃくちゃ同僚の琴線に触れたのかしばらくこの話題で盛り上がりました。恐らく私だけでなく、リアルタイムで聞いていた同僚にもこの曲は強い印象に残っていたからこそ、知ってる人がいてめちゃうれしかったのでしょう。

 このギャバンの曲一つとっても、これ以上インパクトのある曲を近年、私は聞いたことがありません。何でもかんでもインパクトが大事ってわけじゃないけど、少なくとも歌詞に関しては記憶に残らないというのであれば、それまでの価値としか言いようがありません。金はなくとも文化は作れる、そういう意味でもっと日本のアーティストには奮起を促したいです。

2 件のコメント:

片倉(焼くとタイプ) さんのコメント...

1990年代後半に日本の音楽業界の市場規模が最大になった理由はいくつかありますが、個人的
にはテレビドラマが理由の一つだと考えていますです。 テレビドラマが人気になると、
そのテレビドラマの主題歌もヒットするという黄金パターンがありました。テレビが人々に
とって娯楽の王様だった最後の時代でした。
2000年代に入るとインターネットも普及し、テレビドラマもそれなりに人気はあるものの 
かつてのフジテレビの「月9」のようなだれもが見るようなヒット作も少なくなりました。
テレビドラマがヒットしなければ、その主題歌もヒットしない、これが日本の音楽業界が
斜陽になった理由の一つだと思っています。

花園祐 さんのコメント...

 テレビとのタイアップは確かにセールスに大きく影響する要因ですね。その観点だとおっしゃる通り、テレビの斜陽化が音楽の斜陽につながったと言えますね。
 またもう一つ、これまたご指摘されているように「だれもが見る」というのも大きなポイントでしょう。そういった共通、一体感が映像、音楽ともに90年代はありましたが、現代だとその手の娯楽は本当になく、朝ドラくらいになったのかなと密かに見ています。