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2020年4月16日木曜日

緊急事態宣言の朝令暮改

安倍総理が全国に緊急事態宣言を発令、13都道府県は「特定警戒都道府県」に(Abema Times)

 なんかコロナのことばかり書いてて内心自分でもどうかと思いますが、この緊急事態宣言の全国拡大を見て自分が思い浮かべたのは見出しにある通り「朝令暮改」という言葉で、先週まで愛知を加えるか否かで案だけ議論してたことが本当に馬鹿らしく見えてしょうがないです。そもそも最初の宣言の時も、「なぜ対象を東京などに絞るのだろうか?」と、全国が範囲じゃなかった点に疑問を感じていました。
 断言してもいいですが最初の緊急事態宣言の最大の目的は、「対策をしています」というアリバイを作ることにあったと思います。本気でコロナ対策するというのなら初めから全国を対象にした上で、強権を以ってしても隔離措置を徹底しなければ意味がなく、はっきり言いますが対象を絞るよう決断した政策決定者は早く仕事を変えた方がいいでしょう。

 また国民全体の関心事となっているヘリコプターマネー(略してへりまね)についても、30万から10万円へとプライスダウンして配るという方針になっていると報じられています。なんとなくですがこっからさらにプライスダウンしたり、または配り方を巡っていろいろ制限を設けて、実際には現在の報道のようには誰もがって感じでは配られたりはしないと思います。
 この件で一番不思議なのは、どうして最初に30万円という金額が出てきたのかという点です。恐らくは支持を得るために具体的な金額を出した方がいい、配り方や制限は後から考えればいいという安直な判断で打ち出されたのでしょう。何が怖いかって、詳細が何も固まっていない状態で「30万円上げるよ」と政府が言っていたという事実で、案の定というか詳細が固まってきて反発が強くなるや「やっぱり10万円にプライスレス」という風にあっさり前言がひっくり返されている点で、「信なくば立たず」という言葉をもっと重視してほしいところです。

 これだけ書くとさも私が安倍首相を嫌っているように見えるかもしれませんが、実際はそうではありません。安倍首相に関しては森友事件以来明らかに政局勘が衰えており、あの時の時点で政治家としてはこれ以上続けるだけ実績を落とすという風に見ており、今の状況についても別に何も驚きはありません。
 それ以上に驚きなのは日本の官僚の質の低下ぶりです。上記の朝令暮改され続ける政策を実際に構想して作っているのは官僚でしょうが、そのあまりの行き当たりばったりぶりと中身のなさには言葉が出なくなることがあり、質の低下以前にここまで日本の官僚は政策能力がなかったのかと本気で呆れています。しかも緊急事態宣言のように最初から思い切りいかず、ちょっとずつ反発を食うたびに後出しで対策を出していくなど、戦前の最大の問題点と言われた戦力の逐次投入を現代に見ている気がします。

全国緊急事態宣言でも…休校措置は地域ごと判断 文科省「スタンス変わらない」(産経新聞)

 恐らくこの休校措置も、一、二週間したらまた内容が変わるのではないかと思います。私立校を含めて完全休校が強制されるようになるのではと早くも見ていますが、2月の時点で中国でどうなっていたのかをなんで見ていなかったのか、またその時の中国の対応を見てオンライン教育の体制をもっと準備しなかったのか、何やってたんだ本当にという気がしてなりません。まぁこれもはっきり言いますが、どうせ他人事だろうと思っていたんでしょう。

 このコロナの件では政治家ばかり叩かれていますが、私個人としては短期的な対策しか出さない官僚の方が強く疑問に覚えます。そりゃ官僚がこのレベルだったら国も悪くなるよというのが正直な感想です。あと出社理由とかに「ハンコ押さなきゃ」とかが出てくる辺り、一体いまの日本はどうなっているんだと思えてなりません。

5 件のコメント:

アドバルーンに疲れた さんのコメント...

はじめまして。
一律給付の件は経済対策の遅れが産み出した世論の結果だと思います。
コロナ経済対策が出たとき、二階さんが商品券だ、農林族が肉魚券だと、情報が入り乱れました。
マスク二枚が明らかに防疫対策なのに、経済対策だと勘違いしてしまい、岸田さんが1律10万を主張したのに、麻生さん及び財務省にそそのかされて、所得制限ありの一世帯30万に変更してしまい、公明党の山口さんがぶちギレ、一律10万にしろと、できなければ連立から抜けると、安倍さんに迫って、今に至った訳です。
僕自身としてはアドバルーンに疲れたと書いているように政局に絡めないでくれと、政策は速めにやれと呆れました。

花園祐 さんのコメント...

 コメントありがとうございます。
 ここで挙げている政策は明らかに経済対策というよりかは、対策やってますよアピールなのが目に見えるのはさすがに嫌ですよね。でもって公明党の言うことも聞き過ぎだし、メディアもなぜかその辺は突かないしで、真面目にコロナ対策をやろうというやる気が見えないのもあれです。

アドバルーンに疲れた さんのコメント...

返信ありがとうございます。
公明党の件に関しては、政権離脱したら自民党参議院が1/2以下でねじれ国会になりますので、そこは避けたかったんでしょう。ただ、あそこで山口さんが直談判しないと、収拾がつかなかったです。

ルロイ さんのコメント...

自分も安倍首相は周りのブレーンが劣化した(人が変わった?)という印象を受けます。ただ加齢の影響もあるかもしれません。
コロナ関連は事態の推移があまりにも早く、特に定型の業務を処理して生きてきた事務系出身の高齢責任者ではそれに付いていけてない印象があり、年功序列の社会では対応できない問題だと感じています。

官僚の質に関しては、解決すべき問題点を絞り出すのは上手なんですが、その解決策がいつも頓珍漢というか、下部組織や世間の都合を考えないで実行するので上手くいかない、という印象を持っています。

小さい頃からエリートの世界しか知らないので、下界への想像力に乏しい天上人、というのが実際に仕事で官僚と関わったときに持った印象ですね。
外交や経済などの領域はともかく、教育や福祉の世界ではこの手のエリートは全く役に立たないだろうと思います。上澄みだけを見て生きてきて最大公約数を知らなすぎるので。

花園祐 さんのコメント...

 安倍首相側近の質の低下も間違いなくあるでしょうね。言い方悪いですが安倍首相自体が人を見る目(嫁を含め)がなく、以前は菅官房長官などが軌道修正していましたが、最近は目立ちたがり屋の側近の言うことを真に受けておかしな言動をしてしまっているように見えます。
 官僚もさることながら、やはり最近の日本の階級格差と階級間の断絶が笑えないレベルになってきたようにも思います。実際大企業出身者と話を聞いていると、中小企業の日常はギャグマンガ(トネガワ的な)の中だけの世界と本気で思っている人が少なくありません。まぁ私も「ペリカ」という通貨は架空の世界の話だと信じていますが……。