本日、午後一時半から吉祥寺で行われた、「温暖化対策とリサイクルは地球を救う ウソ?ホント?」というシンポジウムを見学しに行ってきました。主役はこのブログでも何度も取り上げている、「環境問題はなぜウソがまかり通るのか」という本で、環境省やリサイクル団体を批判している武田邦彦氏です。
このシンポジウムは他にも数人のパネリストを揃え、それぞれが温暖化とリサイクルについて持論を展開して討論する形式でしたが、なかなか有意義で面白い内容でした。パネリスト、司会者もそれぞれの意見に対して、「それが正しいかどうかはともかく、さまざまな異論が聞けたことがよかった」と口々に述べておいり、聞いている私個人も同感でした。
パネリストの中には現役の環境省の役人もいれば、国立研究所の研究員もおり、やはりそれぞれの立場から武田氏とは全く意見が異なる、というより、「でたらめを言うな」という言い合いもありましたが、なにも罵り合うというほどでもなかったので、よい討論の仕方をしていたと思います。
それで、この討論をすべて一から書いていたまたえらく長くなりそうなので、いくつか気になった点だけを紹介します。
まず全体的な内容ですが、すべてのパネリストの方の一致した意見として、「内容はともかく、武田氏の環境問題への問題提起はすばらしい」ということでした。いくつかはスタンスの違い、根拠となるデータが怪しいなどの反論はあるものの、実際に環境対策として使われているお金、そしてリサイクルの仕組みには不明瞭なものも多く、環境の名の下で無茶が通っているものもすくなくないのですが、そういった部分に光を当てた意味では武田氏の功績を皆評価していました。
それで各パネリストの意見はというと、主役の武田氏の主張については彼の書いた本を読んでいたのでほとんどがすでに知っている内容でした。もし興味をもった方があるなら、是非本を買って手に取ってください。それにしても、テレビでも何度かこの人を見たことがあるのですが、実際に見てみると本当に喋り方がうまい。話の展開が早く、論点が結構知らないうちに変わってたりするので、学者より政治家のが向いている気がします。
この武田氏以外だと、朝日新聞の社員である杉本裕明氏の話が一番面白くて、彼の話によると、なんでも政府の環境を守る名目としてとして集めた税金は、現段階でも余っているそうなのです。特に使い道がなく余っている横で、現在の道路特定財源を環境税に変えるといって、また余計な方向へ政府がそのお金が使うのではないかという危惧を持っていましたが、これは初耳でした。けど、なんかそうありそうです。
さらに、現在国が立ち上げている環境対策の計画を実行することとなると、一世帯辺り四十万円もの負担を新たに強いることとなるのですが、そういったことは一切説明せずに、「環境にいいから」という意味で認めてはならないということも言っていました。これは他の話題についての武田氏の言及でしたが、政府はそれが本当に環境にいいのかどうか詳しい内実を話さずに、計画を実行する癖があるとも言っています。
このほか一般の方の質問で、
「燃費のいい車に乗り換えることが環境にいいというが、それまで使われてきたまだ乗れる車を放り捨て、新たに車を製造会社に作らせることの方がかえって環境に悪いのでは?」
という鋭い質問も出てきました。これについては武田氏も言及しており、白熱電球から蛍光灯に取り替えれば電気使用量は減るが、製造コストを考えるとかえってマイナスだともいっています。
とまぁ片っ端から書いたらこんな感じなのですが、やはりテーマが環境という事なので、一部の参加者からは感情論とも取れる、やたら長いだけで面白みのない質問も数多く出てました。何もこの環境問題だけに限るわけではありませんが、どうも議論を感情論と事実論がごっちゃになって、途中で双方訳がわからなくなることが多いような気がします。もうすこし、はっきりとした事実のみに目を当てて議論はすべきだと思うのですが。
ただ、この環境問題というのは地球科学からリサイクル関連の経済学など、幅広い知識を持って語らねばならないところ、現在各専門家がそれぞれの分野の立場だけに立ってあれこれ言うのが混乱を作る主要因だと何人かのパネリストが言っていました。実際に範囲がだだっ広いことは間違いなく、いろんなところから意見を聞き、最終的に自分で考えねばならないといって、この討論会は終わりました。
3 件のコメント:
投稿有難う御座います。
今回のシンポジウムはキャンセルでしたので、とても参考になりました。
またきちゃいました。武田邦彦氏ですか。僕も彼の話を聞いたことがあるのですが、彼の説明には、きちんとした論拠がありますし、データも計測者の名前を挙げるなど、きちんとした裏づけがあるように思いました。世間での常識をバッサリ切り捨てるような話の展開は、聞いていて心地いいぐらいのテンポのよさを感じました。
武田氏はその著書の中でも繰り返し述べていますが、ペットボトルのリサイクルについて自治体がただ回収している回収率ではなく、実際に再利用されているかのリサイクル率を自治体が出さないために、武田氏独自に調査してデータを出しました。しかしそのデータが捏造だと各所で言われているおり、そのことにシンポジウムでも相当腹持ちならない様子でしたね。
自分としては、少なくとも他にこの再利用率のデータがない現状から、この件について武田氏を支持しています。
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