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2009年4月23日木曜日

私と鳥取

「今度、わしと鳥取行かへんか?」
「いやおじさん、俺、今度行くんですけど」

 思えば、これが私と鳥取県が関わるはじめの一歩でした。
 ある年の夏、当時京都に住んでいた私に兵庫の叔父から電話が来て、次の連休に鳥取県の海に素潜りに行くから一緒に来ないかと誘われた際のやり取りが上記の会話文です。一体何故叔父の誘いにこんな返し方をしたのかというと実はこの電話が来る約一週間前に、自動車の免許合宿先に鳥取県にある「日本海自動車学校」を選んですでに申し込みをしていたからです。そういうわけで約一ヵ月後に鳥取に行くことが決まっていた矢先の叔父からの誘いで、この時には何かとこの夏は鳥取に行くことが多いなとは思いましたが、まさかそれが今にまで続くとはこの時は全く思いもしませんでした。

 そんなわけで叔父の電話があってからしばらくしてから私は叔父の自慢のベンツ(安く買い叩いたらしいけど)に乗って鳥取に行き、民宿に泊まりながら近くの海で泳いだりサザエを取ったりして楽しく過ごしました。なおこの時スイムウェアを叔父から借りて一応着て潜ったのですが、まだ七月の中ごろだった上に体脂肪率が現在も続く10%強の体ゆえ、海に入ってもすぐに体を冷やしてどっちかって言うと海辺で日に当たっていることのが多かったです。

 この叔父との旅行から数週間後に今度は免許合宿のために鳥取の日本海自動車学校に行ったわけですが、よく教習所というと教官の不遜な態度などでストレスを溜めやすい場所とは言われていますが、この日本海自動車学校は「笑顔日本一」というのを売りにしているだけあって教官らの態度は常に良く、また教え方も非常に上手で一瞬たりとも不快な気持ちになったことはありませんでした。路上教習中も私の教習原簿を見てはよく話しかけてくれ、

「君、関東出身だとしたら鳥取は初めてじゃないの?」
「いや、実は先月に叔父と海に潜りに来てるんですよ。まさかひと夏に二回も来るとは思っていませんでしたけど」
「そうだろうなぁ。一生に一回来るか来ないかだろうな、君だったら」

 というような会話をしたりして、終始なごやかに教習を続けました。なおこの時AT限定で免許を取ったので路上教習ではよく女の子と一緒になったりしたのですが、何度か一緒になった地元の女の子が何故か運転中にカーブを曲がる際、必ず片手を一旦離してなにやら手を動かしているのを見て、

「あのさ、左右の方向をはしを持つ手で必ず確認しているでしょ」
「うるさいっ(`Д´) ムキー!」

 という風に怒られました。教官もえらい笑ってたけど。

 こうしてひと夏に二回も鳥取に行き、さすがにもうこれからはあまり訪れることがないと思っていたらその次の年の二月、ひょんなことから鳥取県出身の人間と突然友人になり、しかも同時期に日本海自動車学校に通っていたと聞いて一挙に意気投合して今でも交流が続いています。しかも当時に師事し始めてこれまた現在も交流が続いているK先生も鳥取出身だとわかり、自分はなにか鳥取と縁があるなとこの頃から意識し始めました。

 そしてそれから中国留学を経て京都に戻った際、新しく借りた下宿の近くの本屋にてついに私が出会ったのが水木しげるでした。
 その本屋は京都の本屋らしく狭いながらも商品が精選されていて当時によく通った本屋だったのですが、何故か漫画本のコーナーにはこれでもかと言うくらいに水木しげる氏の著作が常に置かれていたのを見て、少し高いが手にとってみようと買ったのが「水木しげる伝」こと水木氏の自伝漫画でした。この「水木しげる伝」から猛烈に水木氏の著作にハマりだして、水木氏が幼少の頃に住んでいた鳥取県境港市(生まれたのは実は大阪)にも興味を持ってこれまたある年の夏、今度は親父とレンタカーを借りて山陰地方を回った際に境港にも寄ってあの水木しげるロードも訪れました。

 率直な感想を言うと水木しげるロードは確かに妖怪のブロンズ像が並んでいたりして楽しかったのですが、まだ境港の持つコンテンツを完全に生かしきれていないように思いました。どっちかというと同時期ではひこにゃん擁する彦根城の周辺の方が雅な茶店や庭園があったりして、街全体の雰囲気では上だった気がします。
 とはいえ私の水木氏への情熱はこれだけで満足することはなく、境港も一度立ち寄っただけなので是非いつかは一週間くらいかけてじっくりと滞在してみたいものです。そんな風に思っていたら、何でも来年のNHKの朝ドラの原作が水木氏の奥さんの自伝小説、「ゲゲゲの女房」に決まったそうです。

 私もこの本は発売してすぐに買って書評まで書いていますが、もし境港で撮影などがあるのなら見学を兼ねてまた行ってみようかなと計画中です。私は鹿児島で生まれて物心ついてからずっと千葉で育っていますが、将来的には鳥取県か奈良県で骨をうずめたいとこの頃は思うようになりました。鳥取に埋まれば、なんとなく妖怪になって化けて出れそうだし。
 少なくとも千葉県に関しては、他の千葉県民同様にあまり郷土意識は持てません。なんで郷土意識が持てないのか研究してみたら面白そうだけど。

2 件のコメント:

SOFRAN さんのコメント...

鳥取…そうですね、いいところは自然が豊かなところとか、でも、それは東北や北海道の方が凄そうですし。でも、食べ物は美味しいかもしれません、蟹や魚など新鮮な食材が手に入れやすいですしね。先日、米子に行く機会がありましたが、やはり東部と西部で気風とかが異なるように見受けられました。今度の連続テレビ小説で西部の方は経済効果などの期待が持てますが、東部の方は微妙かもしれません。 蛇足ですが、今日のニュースはびっくりしました。うーん、どうなんでしょうか、家宅捜索はやりすぎでは…検査では薬物反応も出なかったらしいですし。

花園祐 さんのコメント...

 同じ県内でも全然風土や文化が違うというのはよくあることですよ。私に至っても、千葉市の人間は同胞だと思ってないし。

 草彅氏の事件については私なりの意見を改めて書きました。SOFRANさんの言う通りになんでここまで警察が公然としゃしゃりでてくるのか、こうした点について今後批判をしてしかるべきだと私も思います。
 まぁ個人的には面白いニュースだったけど。