2009年7月21日火曜日

北京留学記~その七、交通

 大分日が空いてしまいましたが、連載中の北京留学記です。今日は中国に行く人も行かない人も知っといて損はない、北京市の交通事情について解説します。最初にいきなり書いてしまいますが、北京市の交通事情は現地人ですらはっきりと「非常に悪い」というくらいで、お世辞にも住み易い交通だとは言いがたいです。

 恐らく私くらいの年代の日本人ならば、北京の交通と聞いてすぐに天安門広場を大量の自転車が通り過ぎる風景を思い浮かべるかと思います。私が小学生くらいだったころは中国といったら自転車大国と言われ、老いも若きもみんなして自転車に乗ってはなんちゃって超人集団が十人乗りとかしている場面がよくテレビに映っていました。
 しかし残念ながらそのような風景はすでに過去のもので、現在の北京では全くいないわけではないのですが自転車乗りはもうほとんどいません。ではかわりに北京っ子は何に乗って移動しているのかというと、これなんかは日本でも時たま報道されていますが四輪自動車です。

 日本も速度的には異常なほど早くモータリゼーションを達成しましたが、中国での普及はその日本の速度をはるかに超えて現在の北京市は道路を埋め尽くさんばかりに毎日自動車が走り回っております。そのため自転車はおろかオートバイクのような二輪車だと車道に出ると明らかに危なく、現実に毎年中国全土でおびただしい数の交通事故死者を出しております。そのような環境ゆえに自転車は自然と廃れ、私も琵琶湖一周をやってのけるくらいに自転車好きですが向こうでは危ないと判断して結局ほとんど乗らずじまいでした。なおオートバイクについてはやはりそのような環境ゆえか、北京市では運転については厳しく制限されております。

 それくらい氾濫している四輪自動車ですが、これがしょっちゅう渋滞を起こす程度ならまだ我慢ができるのですが、問題なのはその自動車乗りたちが初めから交通ルールを守ろうとせずに赤信号だろうとなんだろうと隙があればどんどんと飛び出してくる点です。中国に行った事のない人なら信じてくれないかもしれませんが向こうは赤信号になっても平気で発進させてくるので、青信号だからといえども歩行者は安心して道路を渡れるとは限らず、なかなか渡り出せずに信号がまた元に戻ってしまうこともざらでした。
 では歩行者はどんな風に車道を渡るかですが、ここはやっぱり度胸が物を言います。それこそ車より先に自分が車道に飛び出し、「そのまま来たら俺をはねちまうぞ。それでもいいのか?」と、向かってくる自動車に視線を向けて無理やり止めて渡ります。なので中国でのこのやり方にすっかり慣れた私は日本に帰国した直後、信号のない車道での横断時に周りから飛び出しすぎだとよく怒られました。最も楽なのはほかの中国人が先に飛び出して車が止まるのをみて、それによって動き出す周りに合わせて横断するという人海戦術のやり方ですが、やっぱり一人で渡るときは最初から最後まで常に怖かったです。

 そんなんで車だろうと自転車だろうと歩行だろうと立っているのすら怖い中国の道路事情ですが、先にも述べたようにあまりにも人と車の数が多いもんだからすぐに道路は渋滞します。その分地下鉄は日本ほど正確ではないものの時間通りに来てくれるので助かるのですが、ここはやっぱり中国で、朝から晩まで延々とラッシュが続いているためにただ地下鉄に乗るのすら体力が要ります。おまけに地下鉄の駅沿いに住居や目的地があればいいのですが北京市は私がいたころよりも整備されてはいますが、まだ地下鉄網が完備されているとは言えず路線網から外れた地域も少なくありません。そういったところへの庶民の交通は路線バスで補完されているのですが、これがまた地下鉄以上に体力の要るもので、狭い車内がすぐにぎゅうぎゅうになるだけでなくしょっちゅう渋滞するために急発進と停止が繰り返され、24時間あのバスを乗り続けられるというのなら相当の剛の者だと思っていいでしょう。

 バスの料金は基本的に一元(地下鉄は三元)で非常に安く、また行きたい目的地の近くまで乗り継げば大体どこでも行けるので使いこなせば便利なのですが、やはり時間帯によっては相当な覚悟を必要としました。そんなバスですが私が留学していたころは社内で乗員のおばさんに一元を渡して切符を買うというシステムだったのですが、2007年にまた訪問した際には日本のSUICAやICOCAのようなICカードがいつの間にかできており、中国人がみんなでパッとしてピッと乗っていたので非常に驚かされました。実際にぎゅうぎゅうの車内だと切符を買うのにも一苦労だったので、私は利用しませんでしたが相性のいい組み合わせだと思います。

 そんな感じであまりいい思い出のない北京の交通事情ですが、なぜだかあの頃の窮屈さが時々懐かしくなってしまうことがあります。こういう灰汁の強さが中国なんでしょうが。

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