2009年7月18日土曜日

何故若者は結婚しないのか

 少子化問題特集シリーズも三回目で、これでようやく完結です。まずはこれまで通りに今までのおさらいですが、前々回の「日本の少子化対策の問題点」の記事で私は日本の少子化の原因として日本人の未婚率の増加が問題ではと分析し、前回の「少子化問題と若者問題」記事で未婚率の増加は現在の日本の若者の置かれている不安定な雇用環境に代表される経済的影響が強く及ぼしているところがあり、いわば少子化問題は若者問題と同一線上にあると分析しました。しかしその一方で出産はともかく文化的要素の強い結婚にまで経済的影響が強く及ぼすのかという疑問もあり、では何故日本の若者は結婚をしなくなったのか、そしてどうすれば結婚するようになるのかということについて私の考えを紹介します。
 最初に結論を言えば、私は経済的影響は実際は言われているほど大きな要因ではなく、若者が結婚をしなくなったのは意識的な要因の方が断然大きいと考えています。そしてその結婚しなくなる意識を作っている主犯はマスコミだと睨んでおります。

 これはもう五年くらい前の話ですが、前東京財団会長の日下公人氏が雑誌上にてこんなことを書いていました。

「昔あるアメリカの学者が、テレビの画質が高画質化するにつれて婚姻率は下がると主張したことがあった。この発言の意図する意味とは視聴者が高画質のテレビを通して容姿の美しい異性の役者や芸能人を見慣れることによって、実際に周囲にいる異性に美を感じられなくなってしまうからだという」

 こう前置きをした上で日下氏は、現実に日本でも婚姻率の現象と共に少子化問題が起こっているので、ここは一つこの問題を解決するためにテレビ局などのマスコミに協力してもらって美形の芸能人の露出を控えてもらってはどうだろうかと冗談めかして主張していましたが、案外的を得ているようにも思えます。ドラクエでいうなら「けんじゃ」に慣れてしまうと「まほうつかい」はもう使えなくなるように、やはり芸能人に見慣れてしまうと現実にそこらにいる異性の容姿では物足りなくなるのもごく自然でしょう。

 こうした容姿の見方の偏りもさることながら、これなんか私も力を入れて以前に「男女が異性に求める理想像のすれ違い」の記事で書きましたが、異性へ持つ理想像と同性像の歪みも見逃せません。詳しくはリンクに貼った前の記事を読んでもらいたいのですが、各マスコミが「こんな風にすると異性にもてるよ」と言っては自分たちのマーケティングに合った適当な同性像を提供するために、異性からすると決してモテるわけでないファッションや振る舞いが流行してしまうことが過去から現在に至るまで多々あります。

 実際に私の視点からしても、別になんか恨みがあるわけじゃないけどどうして浜崎あゆみ氏や倖田來未氏のファッションが女性に持て囃されたのか未だにわかりません。はっきり言ってこの二人のファッションは見た目にもそれほど美しいと思わないし、振舞い方についても浜崎氏の「あゆは~」って自人称にむしろ引いてしまいます。じゃあどんなのが好みかって言ったら私は井上和香氏と多部未華子氏が好みなのですが、何故この両極端な二人が一緒に挙がってくるのか自分でも不思議です。

 それはともかくさらにこうしたモテるであろう同性像の歪みに加え、こっちは贅沢になったというのか分を知らないというのか、相手の異性に求める桁外れな高望みも未婚率に大きく影響しているでしょう。
 特にこれが激しいのが女性が見る男性相手の年収で、このところ世の中に流布しているという「婚活」の特集番組などを見ると、30代くらいの女性の方が平然と結婚相手に求める年収として1000万円以上を主張する方を見たりします。前にも一回書きましたが、少し古いデータ(2003年頃)では年収一千万円の世帯割合は全体の5%弱で、20代や30代でそれほど稼ぐ人ととなるとそれこそホリエモンみたいなの、って言うとちょっとひどいですがそれくらいしか残らなくなります。データを知らないにしてもそれくらい現実離れしたハードルを交際相手に平然と課してしまうのも、結婚情報誌とか週刊誌とかで適当な情報を流しているマスコミの影響だと言わざるを得ません。

 上記のような意識に及ぼす影響こそが現代の若者を結婚から遠ざけてしまう主原因だと私は考えており、これらすべての作為者であるマスコミが少子化を産んでいると睨んだわけです。
 原因がわかったところでじゃあどうすればこの少子化ならぬ未婚者の増加を止めれるのかですが、やはりマスコミのこの様な行為を規制するのが一番でしょう。それこそ最初に挙げた日下氏の提言のように毎日朝から晩まであまり見た目が綺麗じゃない芸能人に出演し続けてもらえば、例に挙げるのも悪いけど最終的には千原せいじ氏のような人でも普通の容姿に思えるようになるかもしれません。どうでもいいけど、ドッキリ番組で素人女性の前にキムタクと思いきや千原せいじ氏が出てきたら、あまりの容姿のギャップに女性が腰を抜かしてへたり込んだことがあったそうです。

 しかしこの方法を実際にするとなると誰もテレビを見なくなる可能性も否めず効果が限定的になる恐れもあり、必ずしも有効とは言える作戦ではありません。じゃあ他にどんなのがあるかといったら、こちらはそれこそ何をしてもいいと言うのなら私がやってみたい方法で、理想の夫婦像を強く国民に見せ付けることです。
 どんな方法かというとそこそこの容姿の芸能人男女一組を秘密裏に選び出し、普通の芸能情報としてその男女が交際していく過程から結婚し、その後の生活までも逐一テレビなどで報道し、「理想の夫婦像はこんなもので、結婚っていいもんだね」っていうのを飽きるくらいまでとことん日本人に見せ付けるやり方です。前回の記事でも書きましたが結婚というのはやはり文化的な要素の強い行為なので、文化的な慣習として色濃く根付かせることこそが単純に効果があるように思えます。

 それこそ戦前までは結婚しなければ男女共に一人前として見られないという世間の見方が結婚に走らせていましたし、「それが当たり前」という認識ほど結婚へ誘導させるのに強い武器はありません。また先ほどの理想の夫婦像を見せ付けるやり方は一見強引な方法に見えるかもしれませんが、はっきりいって戦後の日本人の結婚観は現平成天皇と美智子様をモデルに作られたと言っても過言ではなく、決して前例のない方法というわけじゃないと思います。まぁ皇太子夫婦と芸能人じゃ効果に差があるでしょうが。

 価値観が多様化していると言われる現代ですが、その一方で私の目からすると「こうすればいい」という固まった価値観を現代日本人は欲しているような面もあるような気がします。結婚についてもそうで、「出来ちゃった結婚」が一つのパターンとして確立されたのもそういった流れの上であるような気がし、それであればてこ入れできるところもまだあると思います。そうしたところをお上でもいいし下からでもいいし、とにかく持ってきて黄金パターンとして確立させることが未婚率の減少、ひいては少子化問題の対策になるのではないかという結論で以ってこの連載をまとめさせてもらいます。

2 件のコメント:

  1.  現代の日本において、結婚がそれほど強要されるものでもなくなったからではないでしょうか。昔は無理やりお見合いをさせられたりする機会が多かったみたいですし。

     余談ですが全体主義国家を描くジョージ・オーウェルの小説「1984年」における結婚に関する設定が興味深いです。結婚は支配層は隷従する子供を生ませるために奨励しているもので、しかも結婚相手は支配層が認めた相手ではなくてはならず、自由恋愛は認められていません。また離婚も許されていません。結婚が世間から強要されていた以前の日本社会みたいですね。

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  2.  実はその辺の部分をこの記事に入れようか悩み、最終的に外したんですよ。この問題を解決させるために社会上で結婚を強制するような空気を作るほど効果的なものはないのですが、別に今の恋愛結婚の形が正しいというつもりはありませんが、昔も昔でいろいろ問題があったような気がするので、この方法は挙げちゃいけないと入れませんでした。

     ただ後十年もしたら男女比が大きく偏っている中国人男性が日本人妻を求めて大挙してやってくるので、そこでまた結婚の価値観が大きく変わる気がします。

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コメント、ありがとうございます。今後とも陽月秘話をよろしくお願いします。

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