昨日はスペシャルで放映された「トリビアの泉」を見るために途中でブログ書くのを打ち切っちゃいましたが、あんなにつまらないのであれば無視して最後まで書いとけばよかったとちょっと後悔してます。
それはさておき昨日からの続きで、そもそも何故移民の受け入れが必要かという賛成派の主張について、前回のように労働力の需給バランスを整えるという経団連からの主張に加え現在の日本ではもう一つ、人口減問題に対する少子高齢化対策としてその必要性が各所で主張されております。
この少子化対策としての移民受け入れは先の労働力の需給問題とも関わってきますが、現在の日本で起こっている歪んだ人口ピラミッド構造の是正がその目的となってきます。現在の日本は勤労を終えた高齢層(61歳以上)の人口に対して引退した高齢者を支えるべき青年層(19~60歳)の人口が相対的に低く、その上今後高齢層の人口はしばらく増えていく一方に対して出生率の低下から青年層の人口は減少していくことが見込まれ、このままでは年金や社会保険といった社会保障制度を保てなくなると言われております。日本の社会保障制度がこのままでは本当に崩壊するのかどうかについては私は内心怪しいとは思ってはいるものの、少なくとも現状より青年層にかかる負担は大きくなっていくのは間違いないとみております。
こうした少子高齢化問題にどのように移民が関わってくるのかというと、現在の日本はあの手この手と少子化対策を行いながら出生率を高める事でこの問題に対応しようとしておりますが、この際無理に少子化をどうにかしようとするのではなく、今すぐ働いて税金を納める事が出来る青年層の人間を外国から呼んでしまおうというのがこの移民政策の目的です。
いわば日本人の出生率を高めようとするのが少子高齢化問題の根治治療策であるのに対し、この移民の受け入れは対症療法とも言うべき、ショックアブソーバー的な案というわけです。
結論から言うと私は、この少子高齢化対策という観点からこの移民の受け入れに対して賛成的な立場にあります。というのも今現在の日本で最も世代別人口が高いのは団塊の世代といわれる1946~1948年生まれの層で、この層が社会保障の対象から抜けるまでなんとか頑張りぬけば、その後社会保障対象人口は減少していく事が見込まれます。私はその期間を日本人の平均寿命をやや低めに見積もって80歳と想定して2028年までと考えておりますが(実際にはもうすこし後でしょうが)、2028年まで制度を維持する事が出来ればその後は社会保障支出は減少が見込まれ、要はそれまでの期間をどうやりくりするかに日本の年金、社会保障制度はかかっているのではないかと単純に考えております。
然るに現在の日本の少子化対策ですと、仮に今年に子供を大量に生んだとしても2028年にその子供達は18歳にしか達しておらず、税金を納める年齢どころか税金を与えて育てねばならない年齢なので社会保障の維持にはあまり貢献する事はできません。
そうであるのであれば、むしろ現時点で勤労年齢に達しており来日してすぐに働いて税金を納める事の出来る移民を一定度受け入れることで青年層の人口を直接増やし、人口ピラミッドの歪みを是正しながら2028年までなんとかこらえる方法を選択した方が良いのではというのが私の考えです。また受け入れた移民がそのまま日本での生活に定着して永住を決断し、日本国内で子供を生んで増やしてくれるのであれば移民を受け入れない場合に比べて出生数は多くなり、2028年以後の人口バランスの是正にも貢献する可能性があります。
確かに移民を受け入れるに当たって社会整備や日本語教育などある程度費用がかかる事が見込まれますが、仮に20歳の移民者を受け入れるに当たって来日後3年間は教育費用がかかるとしても、その後10年、20年と日本で働いて税金を納めてくれるのであれば最終的には費用対効果はプラスに転じるのではないかと思います。もちろんこんなの私の都合のいい当て推量の計算なのでそんなうまくいくわけないという意見ももっともなのですが、それならば費用対効果がプラスに転じる可能性の高い優秀な人材を如何に呼び集めるかという案を考えるべきで、できればすぐに議論を打ち切らずにもっと内容を深めてもらいたいところです。
もちろんこの様な案は言うは易しで行なうは難し、予想し得る問題を考えるだけでも目が回ってきますが、私はこのまま座して何もしないよりは実験的に小規模でもいいからなにかしら行動を行うべきではないかと常々思います。またこの案を実行するに当たって最低限必要となってくる条件は移民者が日本に長期に滞在してくれるということで、移民者が五年程度の出稼ぎと考えて出て行ってしまえばかけた教育費用の分だけ無駄になるので、十年以上の在住で永住権の付与など思い切った決断も必要となってくるかもしれません。日本人はそれだけの決心を持って行うか、このまま座して待つか、どちらが正しい決断なのかどうかを決めるのは早いに越した事はありませんが今すぐ出さなくても良いのですから、このような議論だけは活発に行っておくべきなのではないかと思い、この連載を行うことにしたわけです。
最後にやや蛇足ですが、私は今後世界的に食糧が不足する時代が来ると見越して今後の日本は緩やかに人口が減少していく事が望ましいと考えております。しかし現在の人口構造ではあまりにも急激に人口が減少する構造ゆえにブレイクスルー的に上記の移民受け入れ案が一時一定度必要となると考えているわけですが、私が見る限り政府としては人口が今より減ってGDPを始めとした国力が落ちることは望ましく、子供をなかなか生まない日本人より多産の移民を恒久的に受け入れることでなんとか今の水準の人口を維持しようとしている節が感じられます。私の案も私が睨んでいる政府の案もどちらも少子高齢化対策という意味では同じですが、内容となるとちょっと方向性が異なっております。前者は高齢化対策に重きを置いているのに対し、後者は少子化対策に重きを置いている、という具合に。
ちょっとややこしいですが、この辺の立場の違いも理解していただければ非常に助かります。
恐らくここで書いたところがこの連載の一番ややこしいところなので、どうにか終わってほっとしました。
ε=( ̄。 ̄;)フゥ
2 件のコメント:
こんにちは。
ブログを統一してくださってから、過去の記事も検索でテーマをしぼって一気にに読めて、大変勉強させていただいています。
最近、「少子高齢化」に関する記事を読ませていただいていて、こちらの記事にたどりつきました。
「2028年までなんとかこらえる」と、具体的な数字をみたとき、半藤一利氏の「昭和史」冒頭の「国家興亡の40年」という説を思い出しました。日本の近代史では、日本人は40年かけて作った国家を40年かけて壊しているようだ、とのことです。
1865年・朝廷が開国を決意(↓)
1905年・日露戦争に勝ち、一流国の仲間入り(↑)
1945年・太平洋戦争惨敗 (1952年まで占領される)(↓)
1992年・経済大国としてピークを迎える。(↑)
2030年ごろ・(↓)?
この40年説はなんだか説得力があり、2030年くらいまではまだ下降気味の世の中なのかな、なんて何となく思っていました。今回、こちらの記事で2028年という具体的な数字をみつけて、社会保障費の負担の大きさが日本社会が根本から変わっていく(壊される?)要因なのかもしれないと思いました。
2011年10月の「世界人口70億人突破を受けて」の記事も読ませていただきました。「少子化は直近20年でいえば、日本にとってマイナスだけど、30年以降は、人口が増えないほうが良い。」とあり、確かに、今からがんばって子供を増やしても、大変さがピークのときには間に合わないのですよね、、。政府が出生率をあげようとピンボケな議論をずっと繰り返していますが、もう、遅いよ、、という気になってきました。
また懐かしい記事にコメントありがとうございます。
半藤一利氏は自分もファンでよく著作を読んでおりますが、おっしゃる通りに40年タームで日本という国は転換点を確かに迎えていますね。もちろんそんなことを意識したわけじゃないのですが、2030年頃に高齢者人口が減少に転じる可能性があることを考えると、この辺りの時期に制度などが一新される可能性も確かに高いように思えます。
それにしても、3年も前の記事ながらいいこと書いてるなと自分で書いておきながら思います。飽きもせず、ブログを継続してみるもんです。
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