上海万博が始まったことからこのGW中のトップニュースはそれこそ中国一色でしたが、その中でも万博開始前に上海市政府が住民に対し、「パジャマで外を出歩くな」という呼びかけなどといった紹介をよく見たように思えます。これなんて私も今まで知らなかったのですが、なんでも中国ではパジャマは富の象徴でよくパジャマを着たまま外に出歩いたり買い物をしたりする人が多かったそうなのです。言われてみると、そんな格好をしたような人が朝方なんてよくいたような気がします。
このパジャマの例を筆頭に、近いのに、いや逆に近いがゆえに日中ではお互いの文化や生活習慣について意外に知られていない内容が数多くあります。ご多分に漏れず私も決して中国の生活習慣などについて詳しいというわけじゃないのですが、中国の若者が日本に対してどのように考えているか、または日本の文化をどれほど知っているかについて、日本人は知らずに損しているなと思う事が多くあります。そこで今日は幾つか、といっても私の中国人の知り合いから得た日本への見方について紹介しようと思います。
1、熱血高校
ある日私の中国人の友人と一緒に歩きながらゲームの話をしていると、「熱血高校って知ってる?」と唐突に聞かれました。最初は何のことだか分からなかったのですが詳しく話を聞いてみると、どうやらかつてテクノスという会社から出ていた「熱血高校くにおくんシリーズ」というゲームのことを言っているのだとわかりました。
このゲームは私くらいの世代なら何かしら触れた事のある、ファミコンからスーパーファミコン時代における代表的なパーティーゲームのシリーズです。あいにくこのゲームを作っていたテクノスが倒産した事から続編が作られなくなってしまったのですが、仁義ある不良のくにおくんがいろんな人の求めに応じて他校の友人(元ライバル)の彼女を救いに殴りこみに行ったり、ドッヂボールで戦ったり、果てには時代劇で空中電気あんまを披露したりなどと、下手したら今の最新のゲームなんかよりずっと自由度の高いゲームでした。
その友人は子供の頃、この熱血高校シリーズを友人同士でやっては楽しく遊んでいたそうです。まさかこんなゲームを日中で共有していたとは思いもせず、妙なショックを受けました。
2、スラムダンク
さすがに今の中高生くらいだとちょっと知名度が落ちてくるかもしれませんが、現在「バガボンド」を連載中の井上雄彦氏がジャンプ黄金期に連載した「スラムダンク」という漫画は、今に至るまでの日本におけるバスケットボールの地位や人気へと大きく押し上げる原動力となったと間違いないでしょう。最近少し思うところがあってこのスラムダンクを読み返しており、連載当時に私は小学生だったのですが、そこそこ年のいったこの年齢で改めて読んでみると小学生時代とはまた違った視点で読め、実に良く出来た漫画だと再認識をしております。「バガボンド」はそんなに好きじゃないんだけど。
それでこのスラムダンク、恐らく日本以上に中国では大きな影響力を持っているのではないかと私見ながらに思っております。なんでも例の私の中国人の友人に聞くと、中国でもこのスラムダンクは大ヒットしてバスケットボールを始める中高生が続出したそうで、実際にその後中国ではアメリカのNBAでも活躍する選手を輩出するほどバスケットボール熱は高まり、今でもこのスラムダンクは中国では経典の如く扱いを受けているそうです。
3、浜崎あゆみ
日本では往年ほどの勢いはなくなっている歌手の浜崎あゆみですが、さすがに今はどうなっているかまでは分かりませんが、ちょっと前までは中国人も非常に愛好しておりました。今回の万博直前の岡本麻夜の音楽パクリ騒動といい、日本のアーティストは中国でも全般的に受けがよく、私の留学時代などはよく街中でKiroroの曲を耳にしておりました。
ただ浜崎あゆみが中国で権威を持つのは彼女の曲が中国人に受けるからというだけでなく、彼女流のメイクが中国の都市部の若者に非常に受けがいいという理由も大きく絡んでおります。私なんかは彼女のメイク方はちょっとけばく思えてそんなに好きではないのですが、件の友人に言わせると浜崎流の日本人女性のメイクは世界一だなどと聞いててこそばゆくなるほど誉めておりました。
4、村上春樹
これは中国に限るわけじゃないのですが、村上春樹の小説はかねてより中国でも高く認知されております。この前に出版された「1Q84」も相当売れたそうですが、私が留学した頃は「海辺のカフカ」が大ブレイク中で街の至る本屋どこでも平積みにされていたほどでした。また例によって、私はそんなに好きじゃないんだけど。
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