ページ

2010年5月19日水曜日

就活期の早期化と大学教育、及び私の体験

<就職活動>「授業より就活」 3年秋に始動、4年秋以降の内定も(毎日新聞)

 今に始まった事でもないし以前にも似たような事を書きましたが、今日また新しいニュースが出たのでもう一度この問題を取り上げておこうと思います。
 上記リンクに貼ったニュースは企業の新卒大学生採用選考時期、大学生の側からすれば就活時期が年々早まり、かつては四回生の秋からだったものが今では三回生の夏からスタートで一般化した事により、就活に時間を取られる学生が授業に出席しなくなって大学教育の本質が失われてきているという内容のニュースです。

 近年に就職活動をやった経験のある人間なら話は早いのですが、現在大半の企業で採用内定を出すのはゴールデンウィーク前となっており、実質就職活動はその前の春休みが本番です。仮にゴールデンウィーク前に内定が取れれば四回生の一年間は比較的自由に行動が出来ますが、それまでに内定が取れない学生となるとそれ以降も延々と就職活動をせざるを得ず、本来ならば卒業論文などにもボツボツ取り組まなければならないにもかかわらず、余計に授業やゼミに出席できなくなって学業でも就職でもどんどんと追い込まれていきます。特にリーマンショック以降はどこも採用を減らしたので、このような悪循環に陥る学生はかつてないほど多くなっていると見て間違いないでしょう。

 この問題で誰が一番悪いかと言えば、それはやっぱり採用日程を早めた企業側です。大企業などは三回生の夏休みから自分ところのインターンシップに参加する学生を集めて青田刈りを行おうとするなどしてますますこの動きに拍車をかけていますし、他の一般企業も遅れまいと、まるでチキンゲームのように新人研修をしている横で採用面接をやっているのが当たり前となってきました。普通に考えるなら、人事部は採用選考と新人研修の時期を分けた方が効率的だというのに。

 このように就活時期が90年代の頃より早まっている事について、以前に読んだ評論では現在の大学生は実質的には三年間しか自由がなく、またようやく自分で勉強、研究が出来るようになってくる時期に学問の機会が奪われているという指摘がありました。実際に私の周りでも、それまで遊び回ってた連中が四回生になってからもっと勉強しておきたかったと言う人間が増えてきました。まぁ夏休み終了前に、「ちゃんと宿題しとけばよかった(´Д⊂)」というの一緒だろうけど。

 あまりグダグダ話すのもあれなので私の就活の実体験をここで話すと、やはり企業に対して納得いかない思いが強かったです。普通の学生は三回生の12月位から企業訪問を本格的に始めるのですが、私は就職のためではなく勉強するために大学に進学したのだという自負があったので敢えて三回生の後期テストが終わる二月までは一切そういう活動は行いませんでした。そしたらそしたで、二月以降から就活を始めたと言うとどこの企業の面接官も、「君、遅いねぇ」と私に言うので、「それ以前からやっている奴は勉強もまともにしないクズです」と言い返したかったです。

 しょっぱなからこんな感じなので、私が就活をした年は「かつてない売り手市場」と言われていたにもかかわらず私は激しく苦戦しました。しかも私の場合、就活真っ只中の4月に突然肺に穴が空き(自然気胸という病気。痩せ型の若い男しかならない)、手術をして約二週間も入院したためにその間の面接や説明会も全部キャンセルする事態となりました。
 なおこの時、病院と通っていた大学が近かったために医師に頼み込んで一部の重要な授業には病院から直接通わせてもらいました。その際には肺に溜まった空気を抜くために、胸に突き刺している管を紙袋に入れた小さなポンプと接続させたまま外出して授業を受けましたが、今思うと結構グロいし、あそこまで無茶しなくてもという気もします。幸い、周りにはばれなかったけど。

 こんな思いを経て退院後もあれこれ就職口を捜しましたが殆んどどこからも相手にされず、合計するとシャレや冗談じゃなく100社以上から不採用通知を受けました。さすがにうちの広島に左遷された親父も見かねて大学院への進学を勧めてくれましたが、これ以上は両親に迷惑を掛けられないために歯を食いしばって探し続け、最終的には今勤務している会社に七月に内定を貰いました。その間、登録してある授業はほぼ100%の出席率で出続けております。

 このような自分の体験があるだけに、当時は企業の採用選考のスタートが四回生の10月からであればと何度も思いました。途中にも書きましたが、今の就活のシステムだと授業やテストなどをほっぽり出したり、要領よく単位を取ろうとする学生ほど得をするシステムで、真面目に授業に出ようとすればするほど馬鹿を見るようでなりません。頑張る事、真面目にやる事の意義がこれでは見出せず、また大学の存在価値自体も揺るがしかねません。

 ではこのチキンゲームの様相をなしている新卒採用選考をどうすればいいかですが、この際法律で強制的な措置をするのが一番いい気がします。そもそも内定自体が法的根拠が何もなくて近年流行している「内定切り」という問題もあるのですから、大学生の採用選考は卒業後でなければならないなどと法制化してしまったほうが全体の利益に適うかと思います。

  おまけ
 私がこの就活期の苦労を話しつつ、ちょっと得意になって中国語も使えるのにここまでむげにされなくてもと友人に話した所、「花園君みたいな危険思想を持った奴なんて、どこも取りたがらないよ」と言われて、何も言い返せなかった事があります。

  おまけ2
 私がなかなか内定が取れない頃、就活状況を聞いてきた当時授業に出ていたロシア語の講師に話をした所、「当たり前じゃん。だってあんた、愛想がないもの(・∀・)」と言われました。この発言には周りの学生もドン引きして、
「せ、先生、何もそこまで言わなくとも(;´Д`)」
「何言ってんのよ。あたしらの世界でこれは誉め言葉よ。あんたもそう思うでしょ!( ゚Д゚)」
「え、えぇ、まぁ……(´A` )」
 という会話がありました。確かにいつもだったら「愛想がない」と言われても誉め言葉として私は受けるのですが、この時は弱ってただけに内心胸にきました。

0 件のコメント: