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2010年5月23日日曜日

またも佐野眞一氏講演会

 去年も行ってきましたが、昨日ノ某所で行われたンフィクション作家の佐野眞一氏の講演会に友人と一緒に参加して来ました。前もって予想はしていましたが、一般参加者で若い世代となると私とその友人を除くと数人程度で、ほとんどがお年を召した方ばかりでした。

 今回の佐野氏の講演のテーマは平成以降の総理大臣についてで、全般的に政治関連の話題が多かったです。
 まず佐野氏が言うには自分は昭和生まれの人間であってこれまで自らが取り上げてきた内容はダイエーの中内功など昭和の人物が多く、時代としては昭和を扱って来はしたが、すでに平成に入って二十年が過ぎており一つの時代として歴史的に見るの十分なほどの年月を過ぎていると切り出しました。そう踏まえた上で佐野氏は、平成期の総理大臣の数は他の時代と比べて明らかに多く、どの首相も弱い政権基盤ゆえに短い任期で終わってしまう傾向があるとして、そのような流れを作る事となった悪い意味でのターニングポイントが二回あったと述べました。

 まず最初のターニングポイントは、平成以降に初めて誕生した宇野宗佑内閣だったと佐野氏は言いました。宇野内閣は詳しくはWikipediaを見てもらえば分かりますが、佐野氏曰く愛人への給金を渋ったがゆえに造反を起こされて、スキャンダルによって発足からわずか二ヶ月で退陣を余儀なくされた内閣です。この宇野宗佑はそもそも首相となれるほどの政治家ではなかったものの、前任の竹下内閣を襲ったリクルート事件によって自民党内の主要政治家はどれもすねに傷を抱えており、唯一この事件の煽りを受けなかったことから首相に就任したと通説では語られています。

 しかし佐野氏が言うに、竹下登退陣後に当時のキングメーカーであった金丸信は、当時自民党が非常に厳しい立場に置かれている事から知名度も実力もあり、宇野同様にリクルート事件に関わっていなかった元首相の福田赳夫を再登板させるべきと考えてあちこちへ働きかけていたそうなのですが、この金丸の動きに待ったをかけたのが福田赳夫と犬猿の中だった中曽根康弘氏で、なかばねじ込む形で自派の宇野宗佑を次期総理にねじ込んだそうです。結果は自民野党転落の第一歩を踏んだわけですが。

 この宇野宗佑に続く第二のターニングポイントは、森喜朗内閣だそうです。森内閣については私も前から佐野氏とほぼ同じ意見を持っており、密室で作られた内閣だけあって空転に空転を重ねてダメになった内閣という印象しかありません。あのえひめ丸の事故も、今考えてもどうしてまだ議員を続けられるのか不思議なくらいに唖然とする対応だったし。
 ただ佐野氏は、この時の自民党にはまだ復元力があったとして、まさにジョーカーとも言うべき小泉純一郎氏をこの森内閣の後に持ってきて延命を図ったと指摘しました。しかしその小泉内閣以降は森内閣の誕生同様、支持率が落ち込むたびに首相を取り替えればなんとなかるという思考ゆえに総理大臣を支える事をせず、自ら崩壊の道を歩んで行ったとまとめました。

 そんな佐野氏が平成以降の総理大臣で印象に残った人物として、小渕敬三と小泉純一郎を挙げておりました。小泉氏については異色の総理大臣としてそれほど多く語りませんでしたが、小渕氏についてはいろいろと因縁もあって詳しくあれこれ語っていました。
 特に今の鳩山政権で問題となっていて、今日も訪問して大反発を食った沖縄と小渕のこだわりについて詳しく話し、小渕が学生時代に沖縄を訪れて感じた体験から沖縄サミットを強行したことなどを話していました。

 最後に今の鳩山由紀夫首相については、ちょっと前に自分で本を書いたのもあってそれほど多く時間をかけて語ることはありませんでした。ただ鳩山一族については簡単に、
「鳩山家は四代続けて政治家となった、嫌な人間の一族だ。特に一番嫌な奴だったのは鳩山一郎の父親の鳩山和夫だ」
 と話していました。私から簡単に付け加えておくと、鳩山和夫というのは留学から帰国後に日本で初めて弁護士業を起こして政界では衆議院議長を務めた人物なのですが、表では欧米に倣って日本も一夫一妻制を採るべきだと言っておきながらも、自分はちゃっかり愛人を沢山囲っては隠し子も沢山作っていたという人物です。本の中で佐野氏は、鳩山家と言うのは平気で自分の発言とは逆のことを行える一族だとしております。

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