先日に消費税増税を含む一体改革法案が衆議院を通過したのは記憶に新しいかと思います。これら法案に対する反対意見として、「不況期の今に増税するべきではない。財政再建は景気が回復してからだ」という声がたくさん、っていうかこれ以外の反論はほぼなかったかと思います。こういった意見を主張する人はまだしばらく赤字財政が続くこととなっても景気刺激策を打ち、公共事業などをしていくべきだという案を披露していますが、私はこうした意見には真っ向から反対です。またでかいことを書いてしまうのならば、彼らの言う景気回復という状態は今後永遠に日本には訪れず、あるとしたら今の40代以上の世代がすべて死んだ後に来るでしょう。
あまり長くする話でもないのでちゃっちゃとまとめてしまいますが、上記のような意見を主張する人が言う「景気が回復した状態」というのはほぼ間違いなくあの90年代前後のバブル景気の時代で、当時くらいに税収が集められる状態を指していると私は感じます。しかし以前からも書いておりますがあの高度経済成長期という時代は冷戦に挟まれた特殊な状態であったことから実現したのであって、少なくとも日本一国がどう努力したところで再現することは不可能と言っていいでしょう。これは言い換えるならあの時代ほど景気が良くなることはもう有り得ず、今の税収、経済規模でどうにか国をまわしていくしかない。更に言えばあの時代を無理に再現しようとしてムダ金使った分の借金を返しつつやるしかない、というのがかねてからの私の持論です。
これは断言してもいいですが景気回復優先論者達は何を以って景気が回復したと判断するか、具体的な経済指標を示したことはないと思え、あるとしたらバブル期並みの歳入実現しかないでしょう。それこそ失業率が何%を下回ったら、GDPがどの程度に達したら、経済成長率が年率で何%成長に達したら財政再建に取り組むとか、そういった具体的な議論は今まで全く見たことも聞いたこともありません。更に言えば小泉政権時代に連続して経済成長を達成していた際も、「国民は景気回復の実感を持っていない」と言って景気回復には至っていないという強弁もありました。私に言わせるなら指標で確実に成長しているのだから、国民の実感云々は再分配の問題で、公共事業がいるかいらないかは別問題な気がしてならないのですが。
以上のような観点から私が何を言いたいのかというと、景気回復優先論者はどのラインで景気が回復したと判断して財政再建に取り組むのか、具体的な数字を上げてもらいたいの一点に尽きます。仮にそれが現実離れした桁外れな数値だったらそこまでの話ですが。
なお私個人の意見としては失業率が10%を下回って、GDPがプラス成長であれば今の国際環境であればまだ景気がいい状態なんじゃないかと思います。特に日本は今、少子化で人口も減り始めているのですからGDPは自然減するのが当たり前です。そういった点を考慮してほしいのですが、このところよく思うこととして、中国にいるせいかもしれないけど日本人はなんでこんなに経済指標を意識しないのかが不思議でしょうがないです。変なことを言うと日本のGDP成長率以上に中国のGDP成長率を気にしているようにも見え、一桁になったとか、成長が大幅に鈍化しているとかで大騒ぎしているのはやや滑稽に見えます。
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