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2012年6月22日金曜日

第一印象を悪く見せる理由

 自分が自分を最も偏屈足らしめている性質の一つに、敢えて第一印象を悪く見せるというものがあります。これなんか私と親しい人間などはよく知っているでしょうが、普段は赤い人みたいに常人の3倍くらいしゃべる癖に、初対面の相手に対しては割と不機嫌そうな顔してぶすっと黙り続けることが多いです。後から聞いてみると、「なんか怖そうな感じがして取っつき辛そうだった」という声が聞かれますが、これらの印象は意図的に与えていると自負します。

 一体なんでこんな面倒くさいことをするのか。一見すればただ人見知りしやすいということで片づけられますが普段の私を見ている人からは「人見知りはあんなにしゃべらない」とのことで、私も違うと思います。結論を書いてしまうと初対面の際は自分を売りに出すより相手の性格や話し方、教養、反応速度を測る方に集中して、自らの情報は極力出さないようにしています。その上で最大の目的を言うと、第一印象で相手を決めつけるような人間とはなるべく関わりたくないとの思いがあり、逆に第一印象にとらわれずに二回、三回と会っていく中で相手を見極めようとしてくれる人と付き合っていきたいとも考えており、そうした人間をスクリーニングするという意味合いでこんなことをしております。

 よく友人からはこんなことするのは間違っていると言われており、人を試す、試さない以前に自分が損するから辞めるべきだとよく諭されます。言わんとしていることはよくわかるのですが、自分の経験上、第一印象を一度定めてしまうとそこから全く相手の人格を動かさない人間はよくおり、しかもこういった人間に限って平気で嘘をつけば相手の痛みを気にせず行動する人間が多いです。私自身もこれまでにこういった輩に何度も痛い目に遭わされており、それだったら初めからビジネスライクに、必要以上に接触しないことが自分にとっても相手にとってもいいように思うようになりました。
 またほかの人はともかくとして自分の場合は周囲の話を聞くと、短時間じゃ測りきれないところが多いそうです。考えてみると日本史や世界史、政治や社会事情などといった知識に強みがあるということや、フォースと共に生きていることは数時間話しただけではわからず、後からいろんな意味で変わってる人間だと気付いたという評価をよく受けます。言ってしまえば、私の場合は第一印象ではやや伝わりづらい人間性が多いために、単純に長い目で見てくれる人ほど評価してもらいやすい性質があるということです。

 私自身もこれまでいろんな人間と会ったり、実際に指導したりしましたが、やはり第一印象というのはあまり当てにならない気がします。ちょこっとひねってみると思わぬ一面が見えたり、逆になんでも卒なくこなせそうに見えるけど少しやらせてみると極端に苦手な分野を持ってたりすることがわかったり、基本的には長い目で相手と話したり一緒に行動しないと評価はしきれないものです。
 翻ってこの頃の日本社会ですが、これはこんなことをしている私だからはっきり言わせてもらうと、なんでもかんでも第一印象で決めつけようという空気が社会中にはびこっている気がします。新入社員面接然り、商品のマーケティング然り、政治家の活動然りで、中身にはあまり目を向けず外っ面ばかり見て何もかも決めている人があまりにも多すぎます。もちろん見た目がいいということに越したことはありませんが、それは中身が伴って初めて言えることで、中身も何もないのに見た目ばかり気にされるというのは本末転倒で、それであれば見た目が悪くともまだ中身がしっかりある方がいいに決まってます。

 前にも新書で第一印象で評価はすべて決まるとかいうタイトルからして気に入らない本が売れてましたが、これも厳しく指摘させてもらうと中身を審議するのが面倒だからなるべく上っ面で判断したいという欲求が今の日本人にあるからだという気がします。日本には折角「質実剛健」という言葉があるのに、この言葉を多用しているのが自分だけというのも寂しいを通り越して複雑な気持ちになってきます。
 私が友人からかなり激しくやめるようにと言われながらもわざと第一印象を悪く見せ続けるのも、こうした今の風潮に無駄かもしれないが反抗したいという思いがあってのことです。第一印象で何もかも決まってしまう世の中だからこそ、第一印象だけで決めない人間が必要なんだと、声を大にして言いたいわけです。

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