2015年12月5日土曜日

パソコン三社の事業統合報道について

パソコン3社が事業統合 東芝・富士通・VAIO交渉へ (日経新聞、12/4 2:00)
東芝と富士通、パソコン事業で合弁交渉(読売新聞、12/4 3:15)
<東芝>富士通とVAIO パソコン事業統合検討(毎日新聞、12/4 11:20)
東芝、富士通、VAIOの3社がPC事業を統合か--報道に対し3社が否定のコメント(CNET Japan、15:01)

 本日、各メディアで東芝、富士通、VAIOのパソコンメーカー大手三社が事業統合を検討していることを報じるニュースが飛び出してきました。私が確認する限りだとこのスクープを物にしたのはやはり日経のようで、いろいろ調べた中では最も早くかつ具体的、そして簡潔に報じております。
 この日経の報道を受けてすぐ後追いで記事を出したのは読売で、日経の配信から約1時間後に記事を配信しています。ただ読売の記事では東芝と富士通しか触れておらず三社目のVAIOについては名前すら出てきません。恐らくこれはVAIOに関しては裏付けがきちっと取れなかったため安牌を切るようにほぼ確実そうだと見込めた先の二社に限って報じたのでしょう。そのかわり2014年の日本国内パソコン市場シェアを引用して統合後はNEC、レノボ連合を追い抜くと説明している辺りは好感が持てます。

 読売の報道から大きく時間が経った11時台に報じたのは毎日ですが、ここはスクープに追いつけなかった代わりに後追い取材が丁寧になされており、東芝に対して行った取材(恐らく電話取材)の回答内容を詳細に乗せた上で今後の展望などをしっかり書いてる当たり合格点です。逆にふざけてるというか「てめぇもう記者辞めろ」と言いたくなるのが最後のCNET Japanの記事で、ここは見出しに「報道に対し3社が否定のコメント」と載せていますが、後追い取材を行ってはいるもののそのコメントを見る限りだと否定しているとは言い難いものです。大まかなコメント内容を抜粋すると下記の通りです。

  東芝
「報道は当社が発表したものではないが、事業編成を含め様々な可能性を検討している。まだ合意、決定した事項はない」

  富士通
「報道は当社が発表したものではないが、パソコン事業の分社化は既に決まっており、分社化後の展開に関しては様々な可能性を検討しているがまだ決定した事項はない」

  VAIO
「憶測記事に対してコメントは差し控える。現時点においてVAIOとして交渉を行っている事実はない」

 これらのコメントを見る限り、報道されている通りに事業統合を検討をしていることを暗に認めているとしか思えません。要はまだ完全合意になって決定したわけではないけど、検討している案の中に統合は入っており、でもって完全否定できないほど現実味は持ち合わせているってことでしょう。何をどう読んだらこれで「報道を否定」だなんて言えるのか、この会社はあんま深く知らないけどいい加減で取材力のない記者もいるもんだなと読んでて呆れます。
 ちなみにVAIOにこんな返答された場合私は、

「じゃあ日経の記事は間違った報道だって言うんですか?誤った事実が世の中に伝播することに御社は黙って見過ごすってんですか?VAIOとして交渉を行っていないってのはどういう意味で、役員がスタンドプレーで交渉してるとでもいうのかっ!」

 って、早口&怒鳴りで次の回答を引き出します。
 こうした取材では相手広報への余計な容赦は必要なく、記者は徹底的に攻めなくてはなりません。だからこそ記者って人間性を段々失っていくんですが。

 ちなみに、同じ後追い取材でも実力の差がはっきり出てしまったというか、毎日の方では検討している事実を相手先に認めさせています。以下、その箇所を抜粋しましょう。

「東芝関係者は毎日新聞の取材に対し、統合検討の事実を認めた上で『各社のブランドをどうするかも固まっておらず、いつ合意できるか分からない』と指摘。また、VAIOの関係者は統合に慎重な見方を示しており、東芝・富士通だけの統合になったり、統合自体が白紙になったりする可能性もある。」(上記リンク先の毎日の記事より)

 この毎日の取材内容と比較するにつけ、CNET Japanの記事の書き方は誤報と言ってもいい内容です。普通こういう時は曖昧にして逃げるんだが、よくデスクもこんな見出しでOK出したなぁ。

 なお三社のパソコン事業統合の可能性について私個人の見方を述べると、十分あり得る話かなというのが正直な感想です。ノートパソコン事業は既に斜陽産業となっており、その機能の大半はスマートフォンに取られたため今後再浮上する可能性はほとんどないでしょう。特に東芝に至っては不正会計をした中にこのパソコン事業も入っていたと見られており、いまいち実態が明らかになりませんが既に赤字事業と成り果てている可能性すら有り得ます。
 となるとまだ息してる間にほかの会社と事業統合するというのは次善の策であり悪くはなく、また三社とも明らかにブランド力が落ちているのでここらが潮時かなというのが寂しさと共に感じます。先程も友人に延々と説明し続けましたが、このところ日系パソコンメーカー各社は値段と性能が釣り合わないというか、レノボやASUSのパソコンと比べても性能は同じなのに値段は高いだけというラインナップが目立ちます。しかもデザインもこう言ってはなんですがどれもダサく、特にかつてはデザインの良さで一世を風靡したVAIOに至っては現在のラインナップを見て、「正気か?」と思うくらいダサいです。表面カバー本体に「VAIO」って書いてあるだけで、ぶっちゃけ「FUJITSU」とか「NEC」、「dynabook」と書き換えたらそれで済みそうなくらいダサいです。

 逆にというか、この統合話に入っていない会社の方こそ注目に値するような気がします。NECに関しては既にレノボと連合組んでいるのでそれほど言及することはありませんが、パナソニックは「レッツノート」のブランドで「頑丈でタフなパソコン」というイメージを幅広いユーザーに認知させており、業界において独自で確固たる地位を築いているのではないかと見ております。実際私の周りのIT関係者もレッツノートを絶賛する人間が多く、将来はわかりませんが今回の話に入っていないだけなかなか有力株なのかもしれません。パナソニックの製品は系列会社にいる友人がアホみたいに働かされている(月間残業時間200時間オーバー、みなし残業で)から買うつもりないけど。

1 件のコメント:

  1. Lenovoはこの三社を統合する可能性がありますか?

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コメント、ありがとうございます。今後とも陽月秘話をよろしくお願いします。

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