2008年4月19日土曜日

日本経済の効率の話

 結構この関係のネタがたまってきたので、今日あたり一気に放出しようと思います。

 さて経済効率の話ですが、要するに如何に少ないものから多くを生むかという指標のことを効率といいます。日本はGDP、生産高で見るならば世界二位ですが、果たしてその世界二位の価値を生むためにどのような効率を持っているのかを紹介します。

 まず最近何かと話題の環境問題ですが、日本は単位あたりGDPを作るのに必要なエネルギー量の少なさを表す、エネルギー効率という点では世界でもトップクラスです。簡単に調べてみたところ、ちょっと古いデータだと原子力による発電を入れると世界一位、抜くと韓国についで二位です。その要因は言うまでもなく、燃費効率の高い日本の自動車や家電製品が普及しているおかげだといわれています。実際に「不都合な真実」のアル・ゴア元副大統領もこの点で日本を誉めています。在任中は冷たかったくせに。
 以前に紹介した武田邦彦氏もこの点に着目し、日本は二酸化炭素の排出権を他国で買うようなまねをせず、国際会議などでこの効率の良い製品自体に排出権を持たせるべきだと主張しており、私もこの主張を支持します。

 そんな感じで意外に日本はエコな国なのですが、その一方で労働時間についてはあれこれ議論の種になっております。OECD(経済協力開発機構)の調査による労働時間の国際比較を見ると、まずダントツに一人当たりの年間労働時間が高いのは韓国で2006年で2357時間働いています。そして二位はアメリカで1797時間、三位になって日本が現れ1784時間です。
 結構この話をすると周りに驚かれるのですが、日本が一番労働時間が多いと思われている人が多いようで、この三位という順位をなかなか信じてもらえません。ちなみに、韓国には韓国が調査対象に加わって以降はずっと負けており、アメリカには2000年くらいからほとんど差がなくなって2004年以降はずっと負けております。

 これを見せると、「日本人は世界で最も働き者」、というアイデンティティが揺らぐ方も多いです。まぁそんなアイデンティティなんて知ったことはないのですが、この統計にはずっと裏があるといわれております。というのも、カウントされる労働時間というのは雇用側が給料を支払うのを認めている正規の労働時間なだけで、帰宅後の作業やいわゆるサービス残業などは全く含まれていないからです。実際に日本では雇用側が提出した労働時間の平均と、労働者自身に行うインタビュー調査の平均は毎度の如く大きな隔たりがあり、決まって後者の方が多くなります。
 そのためさきほどのOECDの順位も、韓国までとは行かないまでもアメリカはまず上回っているだろうと言われています。

 そこで今日の話の味噌になりますが、生み出したGDPに対してそれをどれだけ効率よく生んだかという指標こと、「生産性」という指標があります。これはさまざまなものに対して使える指標ですが、その中の一つに労働生産性というものがあり、これは単位あたりの労働力に対してどれだけ効率よく価値を作り出したかというものがあります。
 簡単に説明すると、ピザを作るのに入ったばかりのバイトの人では一時間に十枚しか作れないのに対して、その道30年の達人は一時間に六十枚作ってしまいます。この例だと後者の達人はバイトに対して六倍も労働生産性が高いということになります。

 そこでこの労働生産性をマクロな国際比較がなされたOECDの調査によると、2004年の段階で日本は加盟国中なんと19位にランクインしています。因みにトップからはルクセンブルク、アメリカ、ノルウェーの順番になっています。
 この結果からあれこれネットで調べてみると、日経新聞などは「先進国中最低」だと報じていますが、もし日本が先進国中最低だと日本より下の韓国やロシアは先進国じゃないことになるんだけど、これはどうなのかな。はっきり言わせてもらうと、ちょっと日経さんは偏向報道になるんじゃないかな。

 それはともかくとして、とにもかくにもGDPは二位の癖に労働生産性、つまり働き方の効率は非常に悪いというのは間違いない事実です。そして先に説明した、その計測のために使われる労働時間の統計結果は現実より下回っている可能性が高いことを考慮すると、実際にはもっと低い可能性すらあります。単純に言って、日本人は非効率的に無駄に長く働いているということです。

 なぜこのような結果になるのかについてはあれこれ議論があります。効率や採算の悪い既得利権団体が多いだの、日本全体で競争が歪んでるだの、闇社会に資金が流れ過ぎだの(ロシアほどではないだろうが)。
 私から言えることは、全体での数値であるGDPを如何に上げるかということに議論を尽くすより、こういった効率を上げることのほうが意義はあるのではないか、どうすれば効率が良くなるのかを全体で行えないのかという風に思えます。それこそ、たとえGDPは下がったとしても、この効率が良くなれば国民的にはあまり好きじゃないけど今流行りのQOLことクオリティーオブライフも良くなるのではないか、また効率が上がることによってGDP自体も上がる可能性も多分に含んでいます。しかしこうした議論は未だに私はよく聞きません。

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