2009年8月9日日曜日

共同体の壁

 先週の「テレビタックル」において面白い議論があったので、ここで紹介させていただきます。

 先週は主に中国や北朝鮮関係の議論が行われ、ゲストも三宅久之氏を初めとしたいつもの面々に加えて韓国人ジャーナリストの方、漢族系中国人学者の方、朝鮮系中国人ジャーナリストといった三者三様の出自を持つゲストが出演していました。
 そこでウイグルの暴動について話題が及んだ際に、漢族系中国人学者の方が以下のように述べました。

「仮に私と隣の朝鮮系中国人ジャーナリストの方が喧嘩をした場合、(中国)国内の目線で見れば同じ中国人同士の喧嘩で終わるのですが、これを民族で見たら漢族と朝鮮族の争いになってしまうのです」

 この方がこの様に話したのも去年に中国広東省で起こったウイグル人を中心とした暴動のきっかけというのが、出稼ぎに来ているウイグル人女性が漢族の男性に暴行されたという真偽がわからない噂によるものだったことからです。それこそ同じ中国人個人同士の争いであればその間で済む話が、民族や宗教といった枠で以って語られてしまうとどんどんと直接的に関与しない人間も争いに加わっていき、争いの度合いもそれに比例するかのように大きくなっていきます。

 本来共同体というものはばらばらな個人を文化や習慣、地域の距離といった一定の枠内に収める事で無用な争いや犯罪を抑える目的で作られてきました。しかし今に始まるわけではなく、この枠が出来上がることで別枠同士の個人の争いが発展して枠同士の争いにまで発展する可能性もこの結果生まれてしまいます。いくつか例を挙げるとすれば現代のイラク戦争が「イラク対アメリカ」から「イスラム対アメリカ」になってしまったものなど好例です。
 日本にいると民族や宗教といった大きくて強固な枠がないために、国単位でほとんどの物事を考えてしまうところが少なからずある気がします。もちろん中国の一部少数民族への弾圧は非難されてもやむを得ないものもありますが、彼らがどの枠でどう争っているのか、この様な視点を持たなければ見えてこない事情もあり、日本人としては意識的にこうした視点を持つことが私は重要だと思います。

2 件のコメント:

  1.  僕もウイグル人の暴動など何が原因で起こっているかがわからないことがあるので、ちゃんと民族間の立位置を把握しなければと花園さんの記事を見て思いました。

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  2.  別にこの点に限るわけじゃありませんが、自分の長所と短所を常に意識することは大事で、こういった民族や宗教問題について日本人は明らかに不得手としているので強く意識を持つべきでしょう。

     ただこのウイグル問題は単純化できないほど複雑な事情があるので、解説をかねて次の記事にて取り上げます。三連続コメント、ありがとうございました。

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コメント、ありがとうございます。今後とも陽月秘話をよろしくお願いします。

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