ガンダムシリーズの世界では、なんでもミノフスキーで片づけてしまうほぼ無尽蔵なエネルギーとか、未だ模型で完全再現がなされていない謎なゼータガンダムの変形機構などあり得ない設定がたくさんありますが、中でも自分が一番あり得ないと思うのは地味に通信です。どういう意味かというと、戦闘中にもかかわらず敵機と延々と通信して話し続けるという点です。
通常、っていうか普通の神経していたら戦闘中に敵軍と会話するなんてまずあり得ないことです。作戦目的や行動の意図が読み取られる恐れがあり、自分のみならず味方すら危険に招きかねない行為なのに、なぜかガンダム世界では戦場で敵同士が出会うと当たり前のようにおしゃべりを始めてしまいます。SEEDに出てくるアスランに至っては、味方よりも敵との通信時間の方が長いんじゃないかと思うくらい延々と敵機とおしゃべりを続けてました。でもって案の定毎回すぐ裏切るし、でもって強いしで、ガンダム界の呂布奉先もいいところでしょう。
なぜガンダムでは敵同士なのに会話するのかというと、これは昔のテレビインタビューで監督の富野氏自体が「リアリティがないのはわかっている」と話した上で、会話シーンを持たせないと作画が持たないためという苦肉の策だということを認めてました。まぁそれを考慮してもアスランは適としゃべり過ぎだし、裏切り過ぎですけど。
改めてこの点に着目すると、ガンダム世界における戦闘というのは基本的に駆け引きがないということにも気が付きました。例えば戦闘機であれば現代では数機でフォーメーションを組むのが当たり前で、また二機一組でも一機が旋回しながら囮となって敢えて敵機を背後につかせ、もう一機がそのさらに背後を突くというのが定石の戦法となるなど、戦闘における駆け引きは非常に複雑かつ有用です。
にもかかわらずガンダム世界では双方ともに真正面から相撲の様にガチンコでぶつかり合うだけで、僚機がいても何も通信しながら連携を取ることなく、互いに好き勝手に敵機と戦うだけです。中には味方機から勝手に離れて勝手に戦い続ける奴すらいる始末です。
なんでこんなことを書くのかというと、意図の読めない相手というのは非常に手ごわいと感じるからです。味方機が撃墜されても気にすることもなく移動を続けようとしたり、一機だけ前に出ながら他の僚機は何故か延々と旋回していたりとか、こうした何をするかわからない相手だとこちらもどう出るか判断が難しく、そこをどう打開するかというのが空戦における駆け引きになってきます。
然るにガンダム世界ではそんな高尚な戦場の駆け引きなど一切なく、っていうか作戦目標すらあるのかと疑いたくなるくらい目の前の敵と戦うだけです。基本、戦闘は攻略戦などは少なく両軍出会い頭の遭遇戦ばかりというのも、上記の「敵と通信で会話する」という要因の影響ではないかとすら思います。
何もとことんリアリティを追求しろと娯楽作品に向かって言うつもりはないですが、やはり戦闘における味方との連携、敵を出し抜く作戦とかあった方が面白いと思うので、こんなこと書きました。なおガンダム世界にはこれらがないないと言ってますが、08小隊のグフカスタムは長距離砲の破壊という目的をはっきり持って、見事に敵を出し抜く戦いぶりを見せており、何気にガンダムシリーズ最高の戦闘シーンだと個人的に思ってます。
あと連携だと、いちおう初期にジェットストリームアタックというのが存在していますが、その後似たような連携攻撃戦術はほとんど皆無な状態です。あ、でも今思い出したけどガザストームはあったか。大抵こういうのやるとその後すぐ負けちゃんだけど。
6 件のコメント:
ガンダムの戦いは時代劇調のチャンバラ・決闘の要素が強いのです。ガンダムの名場面
の大部分がビームサーベルという刀を使った剣技です。
そもそもリアリティを追求するならガンダムがビームサーベルを両手で握る必要は
ないはずです。人間なら刀が重いため両手を使わないと振り回せないという制約が
ありますが機械のガンダムならそんな制約はありません。 実用性からみても
両手を使わなければいけないビームサーベルよりも、片手で扱えるビームサーベル
の方が兵器としての完成度が上です。片手でも扱えるはずのビームサーベルを両手
で握っているのはリアリティよりも 見栄えのいい娯楽としてのカッコよさを
追求した結果でしょう。
そもそもサーベルで格闘戦すること自体がリアリティがないのですが、やはり見栄え優先のため、砲撃戦はアニメだとあまり描かれませんよね。そのせいで支援機はやられメカ化しちゃいますが、その点ギレンの野望だと支援機の運用が重要で、リアリティ高くできてる気がします。
もっとも、支援機のはずのドムキャノンが通常のドムより格闘戦も強く、支援砲撃も異次元の強さを持っているというところもありますが。
まぁ低予算アニメであることと、Z以降はプラモの売上が最優先であったことが大きいでしょうね。
ただ逆襲のシャアは割と一貫して両軍が戦術的行動を取ってますよ。状況説明が少ないので分かりにくいですけど。
逆シャアはその辺の駆け引きが確かに俊逸ですよね。ただその分、見ていて展開把握するのが難しく、他でも言われているとおりあれは複数回見て初めて価値がだんだんわかってくる作品だと思います。だとすると、やはり戦術の駆け引きを映すことはアニメとは相性が悪いのかもしれません。
ハッハー、それな!
現実の作戦は 相手を脳裏に描きながら作るじゃん?
ソレって、アニメにすると
相手の描写がスゲー長くなるんよ。
だから戦闘中、言い争いするのは描写を短く対立えがく、
って意味で秀逸なのよ?
リアリティー犠牲にしてでも、やってみる価値ありますぜ、
地球がダメになるかならないかなんだ!
>支援機の運用
空気が無い宇宙で近接信管みたいの有効なのか
わからないyoね。
砲弾破片の散布状況と、自機・敵機の仮想距離/時間
から考えるんかな?とか
>状況説明が少ないので分かりにくい
ソレ富野わざとやってるよね
現実でこういう状況になったら、
解説アナウンスなんか無ェですよ?ってカンジを
なんか別のところで読みましたが、宇宙空間で爆発音がする点について富野氏も、「俺の宇宙には音を伝導する物質があるんだ」と言っていたそうです。まぁさすがに無音の宇宙戦闘はスターウォーズでもないですしね。
ここら辺はエンタメとしてはっきり割り切るしかないところでしょうが、逆を言えばこういう戦術面をうまく表現するクリエーターとか出たらまた表現の技法が上がるのではないかとも思っています。
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