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2008年7月27日日曜日

ライブドア事件の二審判決について

 本当なら判決が出た一昨日に書くべきだったのですが、何故か孫正義氏の記事を書くことを優先してしまいました。決して何の考えもなかったわけでなく、今日になってようやく出たメディアの反応を確かめた上で書こうと思っていたからです。言い訳じゃないよ。

 さてそんなこんだで出てきたメディアの反応です。YAHOOに出ている記事なんかは株価のライブドアショックの問題と掛け合わせたものばかりでしたが、今朝の朝日新聞の社説を要約すると、

「頼みになるのは顧客や従業員、そして社会からの支持だ。事業を通じて社会にどう貢献するか。ここに心を砕く経営者が増えるよう期待したい」

 社説の後半四行を抜き出すと以上の通りです。全体の内容も、判決である実刑を当然であるかのような、ホリエモンに対して批判的な内容です。
 さて残念なことですが、この社説も見当違いとしかいいようのない、非常にふざけた文章であるというのが私の感想です。

 この社説の何が問題なのかというと、朝日新聞がライブドアの失敗を、「顧客、従業員、社会への軽視」と判断した点で、そんなの言ったらほとんどの一流企業も同じことです。そしてなによりも、このライブドア事件の背景について全く踏み込んでいません。
 冷静に考えてみましょう、一体ホリエモンはどんな犯罪を起こして収監されたのでしょうか。多分普通の人に聞いても、思い出す人なんてほとんどいないでしょう。主な容疑となったのは、子会社への架空売り上げを利益に計上し、連結決算では本当は赤字のところを株価への影響を恐れて無理やり黒字化した、言うところの粉飾決算というのが主な容疑です。ちなみに、その際の水増しされた利益の額は53億円です。

 はっきり言いますが、こんなの当時はどこだってやってました。確かにこれまで検察も何度かこの容疑でしょっ引いたことはありましたが、ライブドアのは金額的にもこれほど大きな事件化するほどのものではなく、また判決の実刑二年六ヶ月(執行猶予なし)に相当する犯罪ではありませんでした。
 そしてなにより、この問題を一番おかしくしているのはその後に起きた日興コーディアル証券の事件です。この日興コーディアルの事件では、社員の一人がライブドア事件同様に子会社の売り上げを本体へと付け替えるというライブドア事件にて主容疑とされた全く同じ手口で、金額も約200億円も粉飾決算にて水増ししています。にもかかわらず、こちらの事件では逮捕者や処罰者は一人も出ていません。

 この温度差は一体なんなのでしょうか。佐藤優氏などはホリエモンとも直接会って話をして、何故彼が逮捕されたのかというのは、格差社会と呼ばれる今の時代で最も目立つ勝ち組だったからと断言しています。最も目立つ存在ゆえに、そんな人間を国が懲らしめれば、格差社会を是正しようとしているように見えるからだという意味ですが、私の意見も同感です。でなければ、これほどのあからさまな不公平は発生しません。単純に言うと、ホリエモンは犯罪を犯したのではなく、捕まえられるために犯罪を新たに作られたというのがこの事件のあらましです。同様に、このはめ込みはこの後に逮捕された村上ファンドの村上氏にも当てはまるでしょう。

 何故同じ犯罪なのに、こうも処罰が異なるのか。当時にも言われましたが、「処罰の違いは国(政治家)への献金の違い」なのでしょうか。どちらにしろ、この粉飾はどこからが犯罪なのか、そういった検証は未だに私は見たことがありません。本来、新聞の社説ともあろうものはこういった点に言及して追及すべきなのですが、全くこういったことに触れられていないばかりか、万人受けするように「顧客を大事にね」でまとめられても非常に困る話です。敢えて私風に言うのならば、

「頼みになるのは政治家や官僚、そして政府からの支持だ。事業を通じて政府にどう貢献するか。ここに心を砕く経営者が増えるよう期待したい」

 というのが、このライブドア事件の教訓です。なんか書いてて、産経新聞みたいな意見になったなぁ。

3 件のコメント:

匿名 さんのコメント...

 目立ったがゆえに逮捕されたなんて、不条理な話ですね。僕はホリエモンには少し期待していた部分があり、逮捕されたときは不当逮捕だと叫びたくなりました。逮捕された理由があいまいで、同じことを平気でしている輩が逮捕されていないなんておかしいと思ったからです。それに、ホリエモンの宇宙開発を行うという夢に共感していたのでがっかりしていた部分もありました。

 社会って不条理ですよね。熱狂的なホリエモンファンだったわけではないけど、こんな社会に貢献して何になるんだという考えがこのころに構築された記憶があります。こんな事言っている時点で社会になにか期待していた証拠だけど。

花園祐 さんのコメント...

 私は逆に、こんな記事を書いていますがホリエモンの事を苦々しい存在だと思っていました。球団騒動の際も、こんな奴に任せるくらいなら楽天が作るべきだと言って、周りと結構衝突していましたね。
 しかし、そんな好きじゃない人間とは言え、この事件に関しては深く同情します。この記事は二審判決を契機に、事件を風化させないために書いたようなものです。

 前の記事でも書いていますが、社会に対して強い不信感を持っておられるようですね。某友人が好きなアニメの冒頭のセリフですが、
「この世界が嫌なら自分を変えろ。それができなければ目と、耳をふさぎ、隔絶され場所で一生孤独に生きろ。それも嫌だというなら(ここで銃口を突きつける)」
 というセリフがあり、友人は最初の選択肢をとると言っていましたが、私なんかは三番目を選んじゃうかな。基本、革命路線だし。

匿名 さんのコメント...

 攻殻機動隊の素子のセリフですね。僕もそのように思います。それと世の中に不信感はあります。だけど僕は、世の中を変えようとか世の中が自分のために働いていないのが不満だといっているのではなくて、世の中はあらゆる人に対して不条理にできているもので、そういうものだから何も期待しないで生きていこうとある意味割り切っている感じです。割り切れていない部分はまだたくさんありますけどね。ちなみに僕は2番目選ぶかなー。今の状況がそれに近いし。1番目は挑戦するんだけどいつも挫折するからなー。

 あと攻殻機動隊は、僕の価値観構築に多大な影響を及ぼしたアニメで何回もみなおして、新しい解釈を得たりしています。非常に面白いアニメですよね。