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2010年1月20日水曜日

JAL破綻についてあれこれ

 すでに各所で報じられているように、JALこと日本航空が会社更生法の適用を申請したことで事実上破綻をすることとなりました。さすがにかつては日本を代表する企業であっただけにどこのメディアでも取り扱いは大きく、その一挙手一足についてあちこちで報じられています。
 リンクこそ貼りませんが昨日にはJALの取引先銀行が今回の破綻を受けて債務放棄を迫られることとなり銀行側へのショックも大きいというニュースがありましたが、元を質せば経営のおかしくなっているJALにほいほい金を貸し続けた銀行側のリスク意識も問題だと思うので私はあまり同情しません。

 むしろ今回の一件で一番同情するのはJALの現役社員です。何に同情するのかというと経営再建のために新たに会長職に就任するのがあの稲盛和夫氏だからで、実際に私が京セラで働いたことがあるというわけではありませんがあそこは京都府民なら誰もが知るほど激務ゆえに離職率の高い会社だと言われており、給与などの待遇はともかくまるで人を部品のように扱って経営を行っているという評判ばかりが耳につくからです。稲盛氏もいろいろ本を書いて会社は人なりとか言ってますが、松下幸之助といい、社員を死ぬまでこき使っても平気な連中というのはみんな似たようなことを言うんだなとこの前友人と話していました。

 そうした余計な邪推は置いといて、この稲盛氏の就任についてなかなかうまい指摘をしている方らがいるのでまずはそれを紹介しておきます。

3人の財界人が語る「稲盛日航」が危ういこれだけの理由(ダイヤモンド社)

 リンク先で語られている意見はというと、要するに今回JALの再建のための会長職に稲盛氏が選ばれたのはその人物の適正さなどというよりもただ単に、民主党と交流のある財界人が稲盛氏しかいなかったからだという意見です。元々稲盛氏は前原国交省の後援会長をやっており長らく民主党と関係のあった人物でその通りなのですが、逆を言えば稲盛氏以外の財界人と民主党関係者は自民党と比べてほとんど伝手がなく、そうした点が今後の政権運営において大きな障害となるのではないかと早くも懸念を持たれております。

 この意見について私は、財界人とのチャンネルが民主党にないということは長所にもなるし短所にもなると今のところは考えております。財界と縁がないということは言い返すなら財界からの応援を見返りとした要望を気にせずに政策を打って出られるということになり、恐らくそれが鳩山首相のCO2の25%削減宣言にもつながった一因だと思います。これ自体がいいかどうかは置いといて。
 実際にこのところニュースを見ていると安倍、福田首相時代にブイブイ言わせていたキャノンの御手洗富士夫経団連会長がこのところ急に露出が減ってきて、そのかわりに早くも次の会長は誰だと現会長そっちのけの意見まで聞こえてきます。

 私なんかこうしたところがなかなかマスメディアにとって皮肉だなと思ってしまうのですが、去年の総選挙前は岡田外務大臣がイオングループの創業者一家であることから民主党が勝利すると選挙後は財界が権力を握るという意見を言うメディアをいくつか見かけたのですが、岡田氏自身があまりお家の看板を掲げないのもあるでしょうが、蓋を開けてみるとこのところ財界の力がめっきり落ちたように思えます。少なくとも安倍首相時代が恐らく戦後以降で経団連が最も力を持っていた頃だと思うので、その頃に比べれば大分弱まったといっても言い切れます。

 その一方で鳩山首相にかけられている疑惑の故人献金の出元は母親からで、その母親の原資はブリジストン株だったので、ある意味では民主党は財界と非常に密着しているという事もできるでしょう。小沢幹事長の疑惑も、こちらは財界とはいえませんがゼネコン絡みだし。
 ただこうした財界との関係は今後の民主党を見ていくうえでいい判断材料になるかと思います。自民党から離れて民主党につくのか、あるいはこのまま財界自体が地盤沈下をおこすのか、またあるいは民主党から財界に近づいていくのか。

 話は大分脱線して行きましたが、最後にこのJALの問題を中途半端な形で終えずに法的整理に持っていった前原国交省は素直に評価していいと思います。本来このJALの問題は数年前には手をつけなければならなかったのを自民党が全く手をつけなかったのを、トップダウンにて一気にここまで持ってきて今後民主党が下野してもひっくり返されない状態にしたのは大したものです。

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