2015年6月22日月曜日

中国製造業の現場の声

 先日、所属しているサークルの懇親会に参加してやってきたほかの参加者と歓談する機会を得ました。ちなみに出席者の中で30代は私一人で、40代もおらんかったなぁ……。
 主に話をしたのは中国法人の駐在員の方で、住んでいる場所がらか自動車関連企業の人が多かったのですが、最初に話題になったのは「次はどこに行くべきだろうか?」でした。

 結論から書くと、こちらの現地駐在員の間ではもはや中国で製造業は成り立たないという認識が強く持たれています。既に繊維業を始めとした軽工業系の日系企業はほぼすべて中国から撤退してベトナムやフィリピンといった東南アジア諸国に移転して、家電を始め斜陽気味の電子関連も現在移転を進めており、そして残った自動車関連も移転へのウォームアップを始めている状態です。

 移転に動く原因は何か。突き詰めれば中国で高騰する人件費が何よりも大きく、次に急激な円安です。円安に関しては特に歓迎する企業よりもこれによって苦しんでいる企業の方が実感としては多いように思え、具体例を挙げると鋼材の価格等は日本材の価格は既に中国材を下回る所まで来ており、だったら質も安定している日本材を使って日本で作った方が物も安くていいじゃないかという運びになるほどです。実際、中国から第三国への出荷を取りやめ、日本からへの出荷にどこも切り替えてます。

 もう一つ、中国からの撤退に動こうという大きな動機としては、中国国内で製造業の技術が過去20年間、何一つ向上しなかったという声もありました。たとえば日産は中国の合弁相手である東風自動車と共同で中国オリジナルの自主ブランドを作りましたが、結局この自主ブランド車に使われている部品はほぼすべて日系企業の手によるもので、ローカル企業の部品はほとんど採用できず実質的に普通の日産車と変わらない内容になってしまったようです。

 もし仮に中国のローカル企業で独自技術なり品質の高い生産が実現できていればまだ中国に残る理由も出てくるものの、そう言ったものはほとんど何もなく、昔と変わらない生産環境でただ人件費だけ上がってきたというのが現状とよく指摘されており、私自身もそう感じます。そのため不良率を換算した生産コストはこの頃だと日本が中国を大きく上回るようになっており、中国国内向けに供給するものを除くと海外に出荷できる価格ではないそうです。

 恐らく、中国政府としては軽工業から重工業への転換を狙っており、雇用の吸収力の高い自動車関連に関しては自国内に大きな市場を抱えるだけに主力産業として育得ていこうという意識を持っていました。しかし現状では他の産業同様に外資なしでは成り立たない産業と化しており、その外資の撤退によっては急速な衰退も有り得なくもありません。中国贔屓の私の目からしても、恐らく部品メーカーなどは第三国に撤退して彼らが抱えていた労働者の吸収先に困る事態が起こる気がします。

 ただ第三国に撤退すれば日系企業は安泰かというとそうとまでは言い切れません。移転した当初はまだよくても、移転先の国でも経済力が高まれば中国同様に人件費は高騰していき、それも人口大国の中国以上に急激なスピードで高まることが予想されます。そのため、移転から数年はよくても10年くらいたったらまた移転しなければと腰の落ち着かない経営になることも考えられます。

 逆を言えば中国は現在でこそ人件費が高騰しているものの、そのスピードは非常にゆっくりだったのではないかと私は考えています。それでいて世界中から製造業が集まって世界に商品を供給していた、言うなればここ10年ちょっとくらいは中国によって世界中がデフレ傾向にあったと思えます。ある意味でこれは消費者にとって黄金時代で、今後は逆に世界中で商品価格が上がるインフレ傾向が起こり、「昔はパソコンが10万円もあれば買えたのに」という時代に逆戻りするかもしれません。もっとも、私としては現在の供給過剰な状態を考えるとそうなった方が良いと思っていますが。

 最後に繰り返しとなりますが、製造業に関しては確かに中国はもう限界になりつつあるというのが私の見方です。こうなったのも状況の変化、また産業育成の失敗にあるというのが私の分析です。

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