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2015年6月16日火曜日

派遣雇用の3年ルール改正案について

 先週末に友人二人とスカイプでグループチャットをした際、なんかの拍子に、「アマテラスって絶対ブラコンだよな」と発言し、そのあとカマキリの雄が交尾後にメスに食われることについて、「彼らだって、本音じゃ死にたくなんかないよ」などと妙なことを口走ってました。しかもその後はオニヤンマがどれだけ強いかという議論になったし。

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 そういうわけで話は本題に入りますが、現在国会では派遣法の改正議論でそこそこ盛り上がっています。本音を言えばマージン率公開義務が全く機能していないことを誰か口にしてくれれば私としてはありがたいのですが生憎そうではなく、主題となっているのは上記リンク先で雇用問題に関しては信頼のおけるコメントをいつも出す城繁幸氏が語っているように、派遣開始から3年後に直接雇用を義務付ける3年ルールについてです。

 そもそも3年ルールって何ってところから始まりますが、結構この法律の解釈は話す人によって変わるのであくまで私による一つの解釈として説明すると大まかな骨子は下記の通りです。

<派遣雇用の3年ルール>
1、同じ業務作業に対する派遣雇用は最長3年まで。それ以降雇うならば直接雇用に切り替えなければならない。
2、直接雇用にするのが嫌だからと、同じ業務で別の派遣社員に切り替えることは禁止。
3、専門26業務に関しては、上記の規定に従わず無期限に派遣社員を使い続けてよい。

 これが現在出ている改正案は、城氏の記事から引用するとこうなるそうです。

<改正案>
1、専門26業務と呼ばれる派遣労働者にも「受け入れ後3年で直接雇用に切り替えさせる」という3年ルールが適用される。
2、一定の条件を満たせば、3年ごとに派遣労働者を替えることで、企業はずっと同じ職場で派遣労働者の受け入れが可能である。

 この改正案が認められないとして先日、民主党は委員会で採決しようとした議長を締めだしたりなど一悶着を起こしたわけですが、城氏によると民主党自身も政権時に3年ルールの規制強化によって逆に派遣労働者を追い詰めた所があり、いまいち強気で攻めきれないという読みがあるとのことで、私もこの見方に同感です。
 実際に派遣の現場でこの3年ルールがどれほどまで遵守されているのか非常に疑問だし、またルール2に書いた「同じ業務なら3年越えの派遣社員を別の人に切り帰るのも駄目」という内容も、言い方次第で案外どうとでもなってしまうのではないかと私は考えています。たとえば、「パソコンへのデータ入力業務」を「データの分析業務」と言い換えたりして、実質同じ業務を別の業務に切り替えたと言い張ったりするなどして。

 またこの3年ルールの弊害として、特に問題なく働いているのにこのルールのせいで雇用側も被雇用側も3年経ったら契約を打ち切らなくてはならないというケースもある、というかそれが今一番問題となってるわけです。これが改正案2に関わる所ですが、直接雇用に切り替えろったって雇用側がはいそうですかと同意するわけなんてほとんどないだろうし、となるとそこそこ派遣社員といい関係を築けていたって契約を切るしかないでしょう。確か今年の10月でこの3年ルールが適用開始になるそうで、このまま民主党が手を加えた状態のまま放っておいたらどうなるのかいろいろ楽しみです。

 ここまで読めばわかるでしょうが、私個人としては現在出ている自民党の改正案に実は賛成だったりします。派遣がいいか悪いかではなくこの3年ルールは現場に無駄な混乱しか生み出さないようにしか思え、やはり廃止するのが早いでしょう。正社員化を促すのであればこういう規則ではなく、税制面で正社員化によって企業負担をもっと軽くさせるなどの方がもっと効果が見込めるでしょう。

 以前にも書いていますが私は派遣社員を減らすのではなく正社員を減らすことが日本社会全体、それは企業にとってだけではなく労働者にとってもプラスになると私は考えています。そういう意味で派遣社員が増えて雇用の流動性が増すことは歓迎すべきだと思うものの、それはあくまで定められた効果的なルールが確実に実行されることが前提であって、マージン率の公開義務が果たされていない現状は望ましくありません。
 現状、派遣法に関しては二転三転しているところがあり、これらはすべてどういう方向に派遣雇用を持っていくのかという終着点を誰も持っていないせいだと思います。派遣は一時的な代替雇用手段で日本人全員正社員化を変に目指そうとするからこうなってるのであって、そういう無駄な幻想は早く捨てるべきだというのが私個人の主張です。

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