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2016年3月20日日曜日

栃木女児殺害事件の遺体状況を巡る矛盾

 先日に私はこのブログで現在審理が続けられている2005年に起こった栃木女児殺害事件の裁判について、容疑者として挙げられた男性は冤罪の可能性が濃いのではないかという意見を書きました。

栃木女児殺害事件の冤罪可能性について

 冤罪と疑う理由については複数あり、それぞれポイント別に上記記事で解説しております。このように疑う一番大きな理由としてはあまり合理的ではありませんが捜査を行っていたのが足利事件を生んだ栃木県警という理由からで、次に大きなものとなると被害者の遺体状況を巡る疑問点があり、この論点については報道だとややわかりづらい面もあると思えるため今日は少し掘り下げて説明してみたいと思います。

遺棄現場での殺害は「ありえない」 遺体解剖の法医学者が証言
法医学者「遺体状況、自白と矛盾しない」(どちらも産経新聞より)

 何故遺体を巡る状況が本裁判で議論となったのかですが、その発端は事件発覚当時に遺体を実際に検死した法医学者が裁判に出廷し、「容疑者の自白内容と遺体状況が一致しない」と述べたことからでした。一体どんな点が一致しなかったのかというと、大別すると以下の二点に集約されます。

1、遺体発見現場の流血の痕跡
2、発見時の遺体の姿勢

 1番に関しては非常にわかりやすく、要は犯人はどこで被害者を殺害したのかということなのですが、検察が出してきた自白内容によると犯人は林道に車を止めて車内、もしくは車外で被害者をナイフを刺し殺した後、林道脇の山林に死体を投げ捨てたということとなっております。この主張に対し検死を行った本田克也筑波大教授は、

「現場に残った血液のルミノール反応は指を切ったか鼻血程度の量。(もし現場で殺害して)大量の血液が出た場合は血だまりなどができるはず」

 だと指摘し、自白内容と現場状況に矛盾があると証言しております。

 次に2番目についてですが、こちらがやや複雑で報道記事を一読した後では私も最初理解できませんでした。また報道に出ている情報も限られているため、あくまでここで述べる内容は報道内容から類推する私の推測であるということを前提として読んでいただくようお願いします。

 本田教授によると、発見時の遺体の体勢は「右肩が浮き、逆方向に頭が向いていた」 とのことです。上記リンク先以外の報道でも可動できる限界近くまで首が曲がっていたと書かれており、また「車内のシートのような場所で寝かせて殺害、死後硬直した後に遺棄した可能性がある」と書かれてあることから、恐らくは下記図のような姿勢で死後硬直が始まっていたのではないかと類推しております。

発見時の遺体姿勢
(Excelで作成)

 このイメージは記事にも書かれている通り自動車のシートに座る、または寝かせられた状態で運ばれてきたという証言から作ってみたものですが。ポイントとしては言うまでもなく頭の位置で、左肩にもたれかかるように首が前へ傾いており、車のシートにシートベルトで固定されたまま寝たりするとできる姿勢になっています。仮に検察が提出した自白内容の通りに殺害してすぐ山林に遺棄したとなると、山林の斜面に寝かされたのなら首が傾くといったこのような姿勢になることは考え辛く、血液反応といい、被害者はどこか別の場所で殺害され、車で運ばれる間に死後硬直が始まった後で山林に遺体が遺棄されたと考える方が合理的ではないかというのが本田教授の意図であると考えられます。
 またこれも別の記事に書かれている内容ですが、被害者の体に残ったナイフによるものと思われる傷跡はすべて横向きに刺されていたとのことです。一々解説するまでもないですが、立ったまま向き合って刺されたのなら普通は刃先は縦を向くと思われ、それこそ運転席から助手席に向かって刺したというのなら横向きとなるのも自然です。

 この本田教授の意見に対して岩瀬博太郎東大教授は「矛盾しない」と述べており、殺害時刻の推定に使われた直腸温度について「「1時間に3度下がる計算式もある」もという証言をしていますが、聞いててちょっとほんまかいなと思う節があります。イレギュラーな計算方式を出すのならイレギュラーが起こるデータを出すのが筋だと思うのですが。
 もっとも、私自身がこの方面の素人であることを考えたらどちらが正しいかを判断する能力はありません。あくまでここに書いたのは素人の目線で、「どちらかと言えば本田教授の意見の方が信憑性がある」と感じただけで、出来ることならもう一人、別の法医学者がこの遺体状況をどう見るかについて意見してほしいなと願う限りです。

 ただ、検察が何故検死された結果と異なる自白内容をわざわざ出してきたのかについては簡単に推測が出来ます。今回の事件ではNシステムの自動車通行記録を唯一の証拠として容疑者を逮捕しておりますが、恐らくこの通行時刻とつじつまを合わせるため、殺害時刻を実際の検視結果からずらす必要があったため、現場状況とは異なり「その場で殺害された」ってことにしたいのだと思われます。
 あまり報道はされていませんが容疑者の男性は台湾生まれの日本に帰化した人物で、報道では長年引きこもりだったと言われていますがその一方で偽ブランド品の買い付けのため海外にも出国しており、何が言いたいのかというとでっちあげるに当たって差し障りが無く、また負のイメージも氾濫させられるなど冤罪の条件が割と揃っているなということです。

2 件のコメント:

匿名 さんのコメント...

冤罪でしょう。禍根を残します。日本国民としては徹底して調べなければいけないと思います。
女児が殺害されたことは大変痛ましいことですが、デッチ上げで犯人にされてしまうことも大変な悲劇です。

花園祐 さんのコメント...

 コメントありがとうございます。
 自分も、将来はもしかしたら考えを変える可能性があるかもしれませんが、現時点では冤罪だという確信があります。また仮に冤罪でなかったとしても、これほど薄弱な根拠で刑罰を科すというのは司法上に問題があると感じます。なによりも、真犯人を野放しにしているという事実が一番の問題なのですが。