なんかもう前置きの説明をするのも色々と面倒くさく感じてきたので簡単に行くと、今年も例年通りに派遣業界のマージン率を調べ終えました。そもそも派遣のマージン率とは何ぞやという方はまず下のコラムを見ていただければ私の代わりに説明してくれています。
・第5回 派遣会社のマージン率等の公開(日本経営合理化協会)
・派遣のマージン率について少し掘り下げてご説明します。(『ピンハネ屋』と呼ばれて)
今回で派遣会社に公開が義務付けられているマージン率の調査は予備調査を含めると四回目に当たり、特に誰かから報酬をもらうわけでもなく義務的に四年間もやり続けていて気分はもう一人NPOです。昨年1月は転職、引越し、ネットトラブルなどあらゆる困難にぶつかりながら月末ギリギリに記事をアップするなど障害が多かったもののもテンションが高かったことから一気に走り通せましたが、今年はなんかのんびり構えてしまってふんだんに昼寝しつつ調査して、トラブルなんかないのに集計調査に二週間もかけてしまいました。まぁ手間取った分、調査サンプル数はかなり膨大に増えてるんですが。
そういう御託はおいといて、いよいよ今年の調査結果の発表です。驚きの結果は以下の通りです。
※括弧内の数字はすべて昨年の調査データ
調査概要
・調査期間:2017年1月3日~1月17日
・調査対象企業:一般社団法人日本人材派遣協会(JASSA)の登録企業ほか大手数社
・調査サンプル企業数:643社(579社)
・リストアップ事業所数:1,793拠点(1,082拠点)
・調査方法:インターネットを使い該当情報の有無を各社ホームページ上で確認。
・マージン率の公開率:24.6%(18.0%)
≪マージン率≫
・平均値:30.6%(29.3%)・最大値:株式会社ニチイ学館 平塚支店、63.5%
(旭化成アミダス株式会社 IT事業グループ、51.0%)
・最低値:株式会社日本プレースメントセンター、16.1%
(株式会社インテリジェンス 中国支社、12.0%)
・前期比変動幅平均:+0.9ポイント(+0.7ポイント)
※前期比変動幅とは、昨年もデータを公開していた事業所の今年と昨年のマージン率差平均。
≪労働者派遣に関する料金の平均額(8時間)≫
・平均値:15,049円(16,509円)
・最大値:株式会社メディカルリソース 名古屋支店、46,797円
(株式会社メディカルリソース 名古屋支店、45,108円)
・最低値:株式会社フルキャスト 三宮営業課、9,362円
(株式会社シグマスタッフ 大宮支店、7,847円)
≪「派遣労働者の賃金の平均額(8時間)≫
・平均値:10,449円(11,457円)
・最大値:株式会社メディカルリソース 名古屋支店、30,389円
(株式会社メディカルリソース 名古屋支店、28,376円)
・最低値:株式会社テクノ・サービス 秋田、6,463円
(株式会社プレステージ・ヒューマンソリューション 山形事業所、6,400円)
データ注意事項
1、マージン率で少数点第二位以下の数値は四捨五入で処理。
2、マージン率が「0%」以下の事業所は統計目的上、各種計算では除外対象。
3、マージン率数値は各社が発表している直近年度のデータを引用。
4、2015年12月末より前のデータしか公開していない企業は原則、「×」評価。
5、公開データの対象期間が明らかでない会社は原則、「×」評価。
6、本社で派遣事業を行っていない企業は便宜上、適当と思われる事業所を「本社」として扱う。
データ一覧
2017年
|
2016年
|
説明
|
||
情報公開サンプル
事業所数
|
1,260件 | 607件 | マージン率を公開している事業所数。 | |
サンプル
企業数
|
643社 | 579社 | 調査対象企業数。 |
2017年
|
2016年
|
2017年該当事業所
|
||
派遣人数
(1日平均)
|
平均
|
320人 | 262人 |
―
|
最大
|
23,870人 | 6,099人 | 株式会社リクルートスタッフィング 銀座本社 | |
派遣先数
|
平均
|
200件 | 200件 |
―
|
最大
|
10,627件 | 4,581件 | 株式会社リクルートスタッフィング 銀座本社 | |
労働者派遣に
関する料金の
平均額(8時間)
|
平均
|
15,049円 | 16,509円 |
―
|
最大
|
46,792円 | 45,108円 | 株式会社メディカルリソース 名古屋支店 | |
最低
|
9,362円 | 7,847円 | 株式会社フルキャスト 三宮営業課 | |
派遣労働者の
賃金の平均額
(8時間)
|
平均
|
10,449円 | 11,457円 |
―
|
最大
|
30,389円 | 28,376円 | 株式会社メディカルリソース 名古屋支店 | |
最低
|
6,463円 | 6,400円 | 株式会社テクノ・サービス 秋田 | |
マージン率
|
平均
|
30.6% | 29.3% |
―
|
最大
|
63.5% | 51.0% | 株式会社ニチイ学館 平塚支店 | |
最低
|
16.1% | 12.0% | 株式会社日本プレースメントセンター | |
前期比マージン増減率
|
+0.9P
|
+0.7P
|
―
|
|
情報公開率
|
24.6% | 18.0% |
―
|
・調査データPDFのダウンロード
(データの公開は終了しました。必要な方はご連絡ください)
解説
≪マージン率の公開率について≫
昨年、一昨年と20%を下回っていたマージン率の公開率ですが、今年は一挙に24.6%と前年比6.6ポイントの急上昇を遂げ、5社中1社から4社中1社の公開割合に達しました。もっとも公開が法律で義務付けられていることを考えると、それでも低い数字に見えますが。
一体何故昨年にこれだけ公開する会社が増えたのかというとからくりがあり、昨年9月に厚生労働省が以下のガイドラインを新たに公布したからです。
・派遣元事業主が講ずべき措置に関する指針(厚生労働省)
平成24年改正労働者派遣法の中でもマージン率などの情報は公開が義務付けられていましたが、同法では公開方法について「ネットなどを活用して」と書かれてあり、この「など」という文言を盾にとってホームページなどでは公開せず事業所に来ればデータを見せることで義務を満たす事になると主張する派遣企業が後を絶ちませんでした。誰でも見られるというレベルの公開という観点から常々私は原則ホームページでの開示を訴え続け本調査も行い続けたのですが、そうした私の声が届いたのかどうかはわかりませんが、上記の新ガイドラインでは、
「特に、マージン率の情報提供に当たっては、常時インターネットの利用により広く関係者とりわけ派遣労働者に必要な情報を提供することを原則とすること。」
と、明記されたことにより、ネットでマージン率を公開しなければ完全な法律義務違反になることが確定したため、大手を中心に今年から一気に公開へ転じる派遣企業が続きました。実際に私が直接取材した所、リクルートスタッフィング、スタッフサービスは公開に転じた理由についてまさに上記ガイドラインの存在を指摘していました。
なおこのガイドラインの存在ですが、昨年にデータを公開したばかりのリクルートスタッフィングへ取材した際に初めてその存在を私は知りました。自分は派遣業界と何の関わりもないだけにこの時の情報は非常に得難く、またこのガイドラインの存在を知ったことにより今年の調査・取材方針を定める上で大きな支援となっただけに、勝手ながら今年度調査のMVPこと最も貢献してくれた会社にはリクルートスタッフィングさんを挙げさせていただきます。マジで取材ご協力ありがとうございました。
≪平均マージン率について≫
次はマージン率そのものについてですが、見ての通り単純に上昇したと考えてもらえばよく、業界の平均はこれまでの20%台後半から30%になったと言っていいでしょう。全体平均、前期比変動率ともに約1ポイント上昇しており、どの派遣業種に限らずとも上がったと見るべき数字です。
マージン率が上昇した背景としては、基本的に派遣のマージン率は派遣料金、派遣労働者賃金に比例して上がる傾向となっているため、昨今言われるように人手不足などから全体の賃金が上昇傾向にあることから上がったのではないかと思われます。もっともそう言いつつ、自分で統計取ったデータを見ると派遣料金、賃金ともに平均は昨年より下がっちゃってて矛盾しているのですが、この背景については後述します。
また個別のマージン率について少し触れておくと、これまでにもくどいように述べていますが「マージン率が高い、即悪徳業者」という図式は成り立ちません。派遣料金の高い派遣、特にエンジニア派遣では研修費など派遣労働者のために派遣会社が支払いながらマージン率に含まれる費用が大きくなる傾向があり、派遣労働者に対し手厚い措置を行えば行うほどマージン率が高くなるということがあります。重要なのはマージン率そのものを見るのではなくその内訳、特に派遣料金とマージン率をしっかり比較することで、具体的に言えば派遣料金が低いにも関わらずマージン率が高い所には要注意といった結論となります。もっとも、公開していない派遣企業に至っては論外ですが。
≪労働者派遣に関する料金、派遣労働者の賃金≫
昨年からデータを取り始めた両項目ですが、どちらも昨年に引き続き「株式会社メディカルリソース 名古屋支店」が二年連続トップという偉業を達成しました。ここはあとで詳しく述べますがマージン率0.1%当たりの派遣料金で割り出す「マージンポイント」でも平均を遥かに上回り堂々のトップとなり、こと派遣労働者の手取り給与に限ってみればもっとも効率のいい事業所とみていいでしょう。
一方、賃金で最低となった「株式会社テクノ・サービス 秋田」は6,463円でしたが、最低賃金とか大丈夫なのかとちょっと見てて心配になってくる数字です。っていうか派遣されてこの賃金だったら、直接雇用のアルバイトとかの方がいいような……。
≪大手派遣会社の公開状況≫
毎度の調査でお馴染みの派遣大手の公開状況ですが、改めて昨年の記事を読み返すと自分の知っている大手だけを並べてて、ランスタッドとかを入れてなかったなという事実に気が付きました。その辺を含め、注目の大手企業のホームページ上におけるマージン率などの公開状況は以下の通りです。
<昨年からずっと公開し続けている>
・テンプホールディングス系列(テンプスタッフ、インテリジェンス)
・アデコ
<今年から公開>
・パソナ
・フルキャスト
・スタッフサービス
・ニチイ学館
・マンパワーグループ
・ランスタッド
・リクルートスタッフィング
<マージン率のみを公開(派遣料金・賃金は非公開)>
・メイテック
・アルプス技研<未だ非公開>
・マイナビ
・ライクスタッフィング(旧ジェイコム)
・ザ・アール
調査開始当初から一貫して情報を公開しつづけているテンプホールディングス系列については言うに及ばず、他の所に先駆け去年から公開していたアデコは情報公開に熱心な会社だと私からも太鼓判を押します。
一方、今年から公開に転じた大手各社は上記の通り9社です。公開に転じたうち、マンパワーグループとメイテックはデータを昨年調査時にデータを請求したらホームページ上で開示こそしてなかったもののすんなり情報をくれたので、連絡しなかったアルプス技研を除き他の請求したにもかかわらず返信すらよこさなかった面々と比べれば私の中のこの二社への評価は高いです。なおリクルートスタッフィング、スタッフサービスについては今年の取材時に昨年請求した際には返信がなかったことを伝えたところ、「送受信時のエラーが疑われる」、「前任担当者が既にいないため」と理由をつけた上で素直に申し訳なかったと詫びられたので、私の中では既に水に流れています。
<ザ・アールについて>
実は処遇について悩んだ大手はこのザ・アールでした。ここは昨年にデータを請求した際に即日でデータをすぐ送ってくれた会社だったので、恐らく今年も請求したらすぐ送ってくれたと思います。しかし前述の通り既にガイドラインでネットでの常時公開が原則となっている今、ザ・アールの公開状況は規定に反している状況であるため、昨年取材に協力してくれた手前いくらか心苦しいものの今年は敢えて公開請求を行わずに「非公開」として扱いました。
<マイナビ、ライクスタッフィングについて>
残りの非公開二社についてですが、どちらにもその公開姿勢を問うため電話取材を敢行しました。その結果、マイナビについてはいくらかのやり取りを経てマージン率などのデータを送ってきたため、今年度の調査データにはそのデータを加えてあります。一方、ライクスタッフィングについてはデータすら得られなかったという結果となりました。両社への取材過程、その回答内容については別記事で取り上げます。
<独自姿勢を見せたメイテック、アルプス技研>
今回の調査中、ホームページ上でデータを公開した大手企業の中で異彩を放っていたのはエンジニア派遣の両雄ことメイテックとアルプス技研でした。具体的に述べると、マージン率だけしか公開せず派遣人数や拠点、派遣料金や賃金を公開していません。
どちらもエンジニア派遣大手でありまた公開方法が似通っていたこと、またメイテックさんについては昨年の調査時において非常に協力的且つ情報公開についても隠そうという素振りが見られなかったことから、「何か理由があるだろう」と踏んで、今年もメイテックさんに取材を行いました。
今年、マージン率のみという公開方法を取った理由についてメイテックさんに聞いてみたところ、まずホームページ上で公開に転じたのはやはり例のガイドラインによるものとした上で、当該ガイドラインでネット上での公開が義務付けられている情報にはマージン率だけしか書かれていないため、このような公開方法を取ったという回答を受けました。その上でメイテックさんは、派遣労働者の方々には全情報を常々公開しており、また請求があれば誰にでもすぐデータを公開すると述べ、実際にサンプルとして直近の秋葉原事業所のデータを何も言わずに送って来てくれました。折角だから下記に記載しておきます
「メイテック秋葉原オフィス」
・派遣労働者の人数(一日平均):622人
・派遣先の実数:209件
・派遣料金の平均額(8時間):42,515円
・派遣労働者の賃金の平均額(8時間当たり):25,057円
・マージン率:41.1%
確かにメイテックさんの言う通り、ガイドラインにはネット上の公開が原則としている情報にはマージン率しかありません。その上でメイテックさんは情報公開には熱心であり、断言しますがメディア対応も明らかに他と比べて手厚く、今年のメールのやり取りでも冒頭から、「昨年はお世話になりました」と、昨年しつこく聞きまわったせいもあるでしょうが向こうの広報は私の事を覚えていてくれました。
そうした背景を考えると、今回メイテックさんがこうした対応を取ったことについて私も理解できます。ただリサーチャーの立場として、また派遣大手として範を示すべき企業であることを踏まえ、可能ならば派遣料金などすべてを公開してほしいという要望は伝えました。
<NEOAの見解>
・労働者派遣法におけるマージン率についてのNEOAの考え方(一般社団法人日本エンジニアリングアウトソーシング境界、NEOA)
メイテックさんとアルプス技研のマージン率のデータ公開シートにはどちらも、「※当社が加盟する業界団体における、マージン率の考え方について」という文言と共に上記NEOAのリンクが添付されていました。メイテックさんは取材時にはっきりとは明言しなかったものの、あくまで私の推測で述べれば当該シートに書かれてある以下の文言が今回の公開方法に影響したのではないかと見ています。
「NEOAでは、派遣法上で定められたマージン率という数値には、上記の福利厚生やキャリアアップ支援等の費用が含まれている為、当該マージン率が派遣労働者の処遇を的確に表現しているものではないと考えます。」
既に先にも述べていますが、マージン率には研修費や有給費用、あと会社によっては交通費など派遣労働者のために派遣会社が支払う費用も含まれています。よくマージン率はその数字そのものが派遣会社の取り分だと勘違いされがちですが、実際にはそこからさまざまな経費が差し引かれる上、上記の様に派遣労働者の福利厚生を手厚くすると同時に上昇してしまいます。
こうした観点から上記の意見は私も同感であり、またリツアンSTCの野中社長などもマージン率ではなく派遣労働者への還元率といった数値を公開すべきだと常々述べていますが、研修費などが特にかかり見かけ上のマージン率が高くなりがちなエンジニア派遣大手という立場から、今回メイテックとアルプス技研はマージン率以外のデータをホームページ上で公開しなかったのではと考えられます。
<ニチイ学館のマージン率について>
ようやく最後の特記項目ですが、まずは今年と昨年における派遣料金とマージン率の相関に関する全データ散布図をご覧ください。なおこの散布図の案は昨年データを見た方からメールで送って知らせてもらったものであり、当時送ってくれた方にはマジ感謝です。
・2016年データ散布図
・2017年データ散布図
2016年データは見ての通り派遣料金とマージン率が正比例するかのように近似線が綺麗に右斜め上を向いています。一方、2017年データだと一応右斜め上は向いているものの、その傾きが極端に平べったくなってしまいました。
一体何故ホワイという状況ですが、犯人というか原因は何かというと昨年に比べ、派遣料金が低いにもかかわらずマージン率が極端に高いデータが大量に追加されデータが歪んだからです。そのデータを歪ませた犯人というのも、はっきり名指ししますが今年からデータ公開に転じた介護系派遣大手のニチイ学館です。
あくまで私個人の意見ですが、マージン率が40%を超える様な事業所の平均派遣料金は普通2万円や3万円は超すのが自然だと思います。しかしというかなんというかニチイ学館はさにあらず、正直に述べますが最初データを見た時に、「えっ、マジこれ?」って感じで絶句しました。
リンクを貼った私のデータでもいいですし直接ニチイ学館のホームページを見てもらってもいいですが、端的に言ってどの拠点もマージン率が極端に高いにも関わらず派遣料金・賃金が極端に低いです。平塚支店に至っては今年のマージン率調査において最大値となる脅威の63.5%を記録し、調査しておきながらなんですがよくこの数値を隠さず公開したなという気すらします。
そこで今回、一体これらニチイ学館の拠点はどれだけ歪なデータなのか証明してみようと、あらたに「マージンポイント」というデータを作成してみました。これはマージン率0.1%に対し派遣料金がいくらなのかを示そうとしたデータで、計算式は以下の通りとなります。
・マージンポイント=派遣料金÷(マージン率×1000)
派遣料金とマージン率が比例するという前提であれば、マージン率が上がると共にマージン率も上昇し、上記の数式である程度は「このマージン率に対する適切な派遣料金」らしい数値が出せるのかなと思って作りました。ただ細かい点などは一切考慮しないデータのため、あくまで参考程度にお考えください。
計算した結果、このマージンポイントの平均値は51.2ポイントでした。ちょうど平均に一致した拠点の派遣料金とマージン率は以下の通りです。
・株式会社KOSMO:14,088円、27.5%
・ヤマトWebソリューションズ株式会社 大阪オフィス:13,117円、25.6%
料金、マージン率は両拠点で異なるものの、マージン率に対する水準という意味で両データは一致するというわけです。なおこのマージンポイントの最大値は133.3で、派遣料金・賃金で二年連続して最大となった「株式会社メディカルリソース 名古屋支店」でした。
一方、最低値というかワーストランキングはほぼニチイ学館の拠点で占められており、以下にワーストトップテンとそのデータを掲載します。
会社・拠点名
|
労働者派遣に関する
料金の平均額(8時間)
|
派遣労働者の賃金の
平均額(8時間)
|
2017年
マージン率
|
マージン
ポイント
|
株式会社ニチイ学館 浜松支店 |
12,912円
|
6,600円
|
48.9%
|
26.4
|
株式会社ニチイ学館 倉敷支店 |
12,704円
|
6,632円
|
47.8%
|
26.6
|
株式会社ニチイ学館 八戸支店 |
12,068円
|
6,664円
|
44.8%
|
26.9
|
株式会社ニチイ学館 北上支店 |
14,958円
|
6,649円
|
55.5%
|
27.0
|
株式会社ニチイ学館 宮崎支店 |
11,782円
|
6,701円
|
43.1%
|
27.3
|
株式会社ニチイ学館 長野支店 |
13,473円
|
6,856円
|
49.1%
|
27.4
|
株式会社ニチイ学館 福岡支店 |
12,689円
|
6,845円
|
46.1%
|
27.5
|
株式会社ニチイ学館 青森支店 |
12,401円
|
6,842円
|
44.8%
|
27.7
|
株式会社ニチイ学館 和歌山支店 |
13,351円
|
6,920円
|
48.2%
|
27.7
|
株式会社ニチイ学館 札幌支店 |
13,599円
|
6,947円
|
48.9%
|
27.8
|
マージンポイントはあくまで参考値ですが、どうしてこのような派遣料金とマージン率になるのかニチイ学館は説明しなければならないデータではないかと思われます。一社だけあげつらうのも悪いと思うのでもう一社挙げておくと、スタッフサービス系列の株式会社テクノ・サービスもマージンポイントが極端に低い拠点ばかりです。
以上で、今年度のマージン率調査報告を終えます。公開していない大手各社、並びに書き残した点はまた別記事で取り上げます。本当は記事を分けたかったんだけど、記事分けると極端にアクセス数悪くなるので目いっぱい詰め込みましたが、書いててほんましんどかった。っていうか今年は公開する会社が大量に増えてたため調査の手間も増え、矛盾することはわかっていながら「公開してんじゃねーよくっそう(;Д;)」と言いつつ調査してました。
14 件のコメント:
素晴らしい調査データであるが、少し理解づらいところがあります。
その指摘はごもっとも。本来なら記事分けて、ディープな解説は後回しにするのだがそうすると全く読まれなくなる。今回は別に記事を出す予定だから、初歩的な解説はそちらで行う予定。
派遣業の実態はピンハネで、昔から暴力団の資金源でしょう。
パチンコの実質賭博行為や風俗の建前と本音の様なもの。
何かそう判断される根拠はあるのでしょうか?具体的には暴力団との結びつきを示す証拠など。
マージン率のデータ、常々思っていたのですがあくまで「平均値」しか公開してないので結構アヤシイ...と思ってしまいます
自分が一時間当たりいくらで派遣されてるかわかるようになればいいのになと思うけどそれはそれでピンハネがバレてしまうのでしょうか...
現在派遣会社の派遣を通して働いている派遣社員の方でしょうか?
仮にそうであれば、派遣会社に自身のマージン率を公開するように請求すればまともな派遣会社であればデータを公開してくれるはずです。派遣大手などは請求されるまでもなく、契約前や一年後などで定期的に個人データ資料を渡しているそうです。
もしデータ公開を請求しながら拒否されるのであれば、残念ながらそこはまともな派遣会社でないと考えた方がいいです。厚生労働省の指針でも各派遣労働者に必要なデータを公開するよう示されているので、気になるようであればはっきりと請求した方がいいですよ。
恥ずかしながら公開請求は怖くてしたことないんです...
思わぬ形で派遣料金を知ってしまったのを愚痴スタイルで書いてあるのでよろしければ...
http://saabal.hatenablog.com/entry/2017/04/02/190806
多少お節介な言い方となりますが、行動しなければ何も変わらないだけにデータ公開や給与交渉などを派遣元ときちんとやった方がいいですよ。ただ待っていれば状況が好転するなんてこと、現実にはありません。
なお日本にいると見えてきませんが、以前に私が現地採用で働いていた中国の職場ではボーナス、退職金、保険、年金なしで年収200万円以下でした。私から見れば、日本の労働法に守られているだけ派遣労働者はまだ恵まれてます。
現在、私は派遣も事業の柱の一つとして行っている会社で管理職を勤めておりますので、非常に参考になる記事でした。
ちなみにですが、「スタッフサービス系列の株式会社テクノ・サービス」と書くのはもちろん間違ってはいないのですが。
スタッフサービスはリクルートが買収した会社なので、リクルート系というのが適切だと思います。
何故こういうことを書いたのかというと実は私、元スタッフサービスエンジニアリングの社員で、私が在籍している途中にリクルートがスタッフサービスを買収したのですが、正直リクルートに経営が移って以降は社員待遇等々悪くなる一方でした。
その後リーマンショックを迎えたときに解雇される訳なんですが、状況的には特定派遣の正社員でも、派遣先で更新が行われなかった場合、3ヶ月派遣先が決まらないと解雇という通告を受けるのがその時の状況でした。
別にそれを恨んでいるという事ではないのですが、解雇される前に、僕が解雇通告されているのを知らない担当営業から電話がかかってきて「実は会社を辞めることになったのでご挨拶に…」というのでよく話を聞くと、その営業拠点の契約社員は全員解雇で拠点の人数が1/3になるとの事でした。
もちろん、経営状況を立て直す為しょうがない面もありますが、派遣先が見つからない社員がたくさんいる状況で営業を大量に解雇するというやり方がひどいのは確かでした。
実際、裁判にもなりましたし…
結局のところ、何を言いたいのかというと、リクルートはスタッフサービスの良いイメージを買い、イメージにそぐわない運営を行うが、それは簡単に広がるわけではないし、広がってもリクルート本体は痛まない訳です。
まさに「スタッフサービス系列の株式会社テクノ・サービス」と書かれるのはリクルートの思いのままだなと思ったわけです。
ZILLYさん、コメントありがとうございます。
言われてみると完全に業務が被っているにもかかわらずリクルートとスタッフサービスはブランドや営業所の統合を行っていませんね。テンプスタッフとインテリジェンスはブランドこそ分けつつも営業所などは住み分けを進めているだけに奇妙ですが、何か作為があるのかもしれません。ぶっちゃけ、リクルートもスタッフサービスもイメージ悪いのに大差ない気がしますが。
リーマンショック時の派遣切りの話をしていただきありがとうございます。やはりあまり派遣業界の人は自ら声を上げることがないためいまいち生声を聴くことが少ないのですが、あの当時は非正規雇用が大量に解雇され、その直撃を受けた人間がその後どうなったかについてはあまり報道もみません。それにしても派遣労働者も、彼らを派遣している派遣会社の営業も揃ってクビ切られていたとは、皮肉な話ですが興味深いものです。
ご返信ありがとうございます。
私がスタッフサービスエンジニアリングに入ったのは15年位まえで、実はその前にもスタッフサービス(一般派遣)でも働いたことがあったのですが、その頃のスタッフサービスは派遣会社の中ではかなり評判が良い方だったと思いますし、実際待遇もよかったです。
特にスタッフサービスエンジニアリングの待遇はメイテックと比べても遜色ありませんでした。(評判という面ではメイテックの方が少し上だったと記憶しています。)
実際当時はエンジニア不足でどの会社に入るかは自由に選べる状況でしたが、評判や待遇を検討した結果スタッフサービスエンジニアリングを選んだと記憶しています。
急速に評判が落ちていったのは大量解雇を行い裁判沙汰にもなったリーマンショック以降ではないかと思います。
労働組合がなく、派遣なので同様に解雇された人の顔も情報も知らない状況で、解雇を理由に会社相手に裁判をおこすって、普通の企業に比べてすごく大変な事だったのではないかと思います。
私も最初にコメントしたような状況でしたから、納得がいかない思いもなくはなかったのですが、流石に一人で裁判とかは考えもしませんでした。
このようなことが起こる状況ですから、かなりの数の解雇された人達の噂や口コミが広まったと思いますし、スタッフサービスの評判が地に落ちたのもうなずける結果です。
まあリクルートからすると、投資で買ったつもりがリーマンショックが来て投資失敗、とにかく損切に励んだ結果だったんだと思いますが…
結果、イメージが落ちてしまったスタッフサービスにはブラックと言われかねない派遣料金とマージン率の系列会社があってもよいと思ってるのかもしれません、こういったブログを運営されている花園祐さんですら、リクルートとは結び付けて考えない訳ですから。
またまた貴重なご意見ありがとうございます。
言われてみて思い出しましたが、2000年前後は「オー人事、オー人事」のフレーズでユニークなCMをスタッフサービスは連投していましたが、確かにある時期を境にそうしたコマーシャルはなくなってて、ちょうどその時期がリクルートに買収された時期と被ります。なんとなくですが会社の雰囲気が変わったなと当時思っていましたが、内部では私の想像以上に変動が起こっていたとのことで、非常に参考になります。
なお2005年と2006年の調査報告記事にも書いていますが、スタッフサービスは取材対応ではぶっちぎりに悪く、あまりいい印象を覚えていません。逆にメイテックはこっちが引くくらいに協力的で、やはり業界の評判というのはきちんと実態に即しているのだなと思いました。
sinさん、コメントありがとうございます。
メイテックさんとはこの取材で付き合いも長く、こちらの申請窓口を通さずともメールで「ちょうだい」と言えば多分くれるくらい親切なところです。なので2017年も入手しようと思えば入手できましたが、できれば申請なしでも見られるようサイト上で常に公開してほしいという希望を込めて敢えて今回はリストから外しました。
ただ、記事にも書いている通りにメイテックさんの言い分も全く分からないわけではありません。あそこは通常の派遣とは違ってエンジニア派遣で、その金額やマージン率もやや特殊であり、他と比較するといろいろと誤解も生じる可能性があります。どちらにしろ申請すればすぐにデータはくれるので、業界の評判通り大した会社だと思います。
コメントを投稿