現在ではインターネットが発達し、たとえ現地に行かなくとも海外の事情や情報も簡単に入手できる時代となりましたが、ほんの十数年前はそうした外国の情報というのはやはり限られており、そのため外国人に対して実態とは異なったイメージを日本人全体で持つことも少なくなかったと思います。
特にこれは外国人のイメージに限るわけじゃないですが、人間というのは「複雑だけど真実に近い情報」よりも「簡単だけど真実に必ずしも近くない情報」の二つを与えられると、やっぱり簡単そうな後者の情報を受け取りやすい傾向が多く、とっつきやすい情報から自己の中で物事を組み立てていってしまいます。
そんなもんだから昭和末期から平成初期に至るまで、特に子供たちの間では国によってはとんでもないイメージを持っていたところも少なくなかったように思えます。そしてそれらのとんでもないイメージというのは彼らにとってとっつきやすいところこと、漫画やゲームから作られていました。そこで今日は、そうしたとんでもないイメージを作ってしまったのではないかと私が考えるキャラクターたちをいくつかここで紹介しようと思います。
1、ラーメンマン(筋肉マン)
「中国人って言ったら、辮髪だろ」
すいません、本当にこんなことを小学四年生くらいまで私は信じていました。
さてラーメンマンといったら漫画「筋肉マン」の正義超人たちの中でも随一の技巧派で、その人気ゆえに「闘えラーメンマン」という独立した連載まで作られた人気キャラです。そんなラーメンマンの特徴ですが、まず第一にその辮髪。長い髪をお下げにして垂らす満州人独特の髪型ですが、中国なんて当時はそんなに行き来する人も今ほど多くなかったから普通にこういう人たちはまだいるんだと私も子供の頃は信じていました。
この辮髪もさることながら、ラーメンマンが強烈な印象を残したゆえに日本人のイメージに焼きついているのはその顔の特徴の「糸目」、「ちょび髭」でしょう。実際の中国人、それも北方の人は日本人並に目の大きな人もいるのですが、やっぱり今でも漫画とかで描かれる中国人は細目にかかれてしまっています。まぁ地域によっては決してはずれじゃないんだけど。
そしてこちらは逆に廃れてしまって今じゃジャンプで連載中の「銀魂」の神楽しか言いませんが、セリフの語尾に「~アル」とつくように中国人が描かれたのも、このラーメンマンのせいでしょう。なんで作者のゆでたまご氏がこんな口癖をつけたのかはわかりませんが、昔に友人が言っていたこの「~アル」の語源は、戦後日本に不法入国してきた中国人は大抵が麻薬の密売人で、慣れない日本語で「麻薬アルヨ」と言っていたことからだという、ちょっと信じたくなるような冗談みたいな説を紹介してくれました。
2、ダルシム(ストリートファイター2)
「ヨガをすれば、手足が伸びて火を吹ける」
何をどう解釈してカプコンはこんなキャラクターを作ったのかまではわかりませんが、さすがにこんな奴はいないだろうと思いつつも、ヨガというのは底知れぬ修行をするのだろうと子供心に畏怖していました。
インドも私は言ったことがありますが、まだあまり日本人が行かない国ということでとにかくインド人は不思議人たちなんだと、大人はわかりませんが当時の日本の子供たちはみんな信じていたと思います。どうでもいいですが、初期のシリーズでヨガテレポート中に気絶させたら画面からダルシムが消えるという現象がありました。
3、マザーのキャラたち
「アメリカはこんな国なのか……」
任天堂の名作「MOTHER」シリーズですが、言わずもがなでこのゲームはアメリカの田舎町を舞台にしていますが、小さい頃にこれをやった私は非常にアメリカは恐い国なんだなと思いました。
というのも主人公の初期の武器が「ボロのバット」で、出てくる敵は「おにいさん」とか、「おじさん」、果てには「ゾンビ」などと、身近過ぎてかえって不気味だと思えるような敵キャラをバットで次々と撲殺する光景を想像してはアメリカは恐いところだと思い、絶対に行くもんかと心に誓っていました。
4、シャーロックホームズ(ファミコンのゲーム)
「イギリス人は地下に入ったり、蹴ったりするのか」
これも子供の頃に遊んだファミコンのゲームですが、主人公のシャーロックホームズがいきなりノーヒントでロンドン中を走り回り、通行人へ脈絡なく蹴り攻撃を放っては金を奪うという破天荒な内容でした。ちなみにプレイステーションの伝説的なクソゲーの「ノットトレジャーハンター」でも主人公のイギリス人は蹴り攻撃がメインでした。イギリス人紳士は手を振り上げないのだろうか。
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